“優秀なエンジニア”ってどんな人? 著名エンジニア・識者が示す五つの素養
「優秀なエンジニアになりたい」と夢見て、自己研鑽に励むエンジニアは多いだろう。しかし変化の激しいITの世界では、ただ技術に精通していれば優秀であるとは限らない。技術の価値は常に、栄枯盛衰だ。
移り変わり行く時代の中で、活躍し続けることができるのは一体どんなエンジニアなのか。業界で一目置かれる識者たちへのインタビューを通して、「優れたエンジニアが持つ素養」を明らかにしていこう。
『メタスキル』ー 未踏の父・竹内郁雄
登大遊さん、落合陽一さんなど数々のスーパークリエータを輩出してきた「未踏IT人材発掘・育成事業」の統括プロジェクトマネージャー・竹内郁雄さん。のべ2000人を超える修了生を見てきた竹内さんは、「優れたエンジニアに共通した素養とは?」という質問に、次のように答えてくれた。
千差万別、いろいろな人がいます。「こういうタイプの人に限る」とはなかなか言えないですよ。多種多様でなければ面白くないしね。
ただ、未踏を終えた後に成功している人には、共通する部分がある気がします。彼らはスキルのもう一段階上の、メタスキルを持っている。
スキルを素早く習得する能力というか、スキルを使いこなす能力というか。メタスキルがある人は、それまで使っていたのとは別の言語でも問題なくやれる。別の分野に移っても活躍できる。要するに、自分の持つ技術の活かしどころをいくらでも変えることができます。
自分の持つスキルを俯瞰で見て「ああ、このスキルではもう先がないな。じゃあ次はこっちへ行こう」という判断ができる。これはおそらく、できるエンジニアには不可欠な能力でしょう。
未踏の修了生には、未踏でやったことと全く関係のないことをやって大成功している人も多いんですよ。それはメタスキルを持っていればこそ。そういう人が本物のエンジニアだなと思います。
竹内さんが語る「メタスキル」を身に付けるためには、何が必要なのか。ぜひ記事を読んでその答えを確認してほしい。
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『思考力』ー 厚切りジェイソン
お笑い芸人、投資の達人などさまざまな顔を持つ厚切りジェイソンさん。実は、キャリアの最初に選んだ仕事はエンジニアだったことをご存じだろうか。「働く目的はお金でした。とにかく稼ぎたかったんです」と語るジェイソンさんの話を聞くと、変化の多い時代に必要とされるエンジニアに求められるスキルが分かった。
変化の多い時代だからこそ強く求められるのは「考える力」です。
仕事をしていれば、さまざまな問題にぶち当たります。そのたびに僕たちは解決策を考えていかなければいけない。しかも、ある問題で有用だった解決策が、別の問題でそのまま通用するとは限らない。新しい問題が発生するたびに、僕たちは新しい解決策を生み出していく必要に迫られるのです。
エンジニアのみなさんからすれば「何をそんな当たり前なことを」と思う人が多いとは思います。僕自身もエンジニアという職業は、自分で考えて課題を解決する仕事だと思っています。
ただ、日本のIT業界を見ているとどうもエンジニアという職業に対して誤った捉え方をする人も少なくはない気もしています。
ジェイソンさんはなぜ「考える力」の重要性に気付いたのか。異色の経歴を持つジェイソンさんならではのメッセージは、キャリアをより良いものへと導く新しい気付きを与えてくれること間違いなしだ。
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『イマジネーション』ー 伊藤穣一
続いて紹介するのは、元MITメディアラボの所長・伊藤穰一さんのメッセージ。伊藤さんは2023年5月に上梓した『AI DRIVEN AIで進化する人類の働き方』(SBクリエイティブ)の中で、「人間が『合理的であること』の重要性は、どんどん薄れていく」と示唆した。
ジェネレーティブAIが有能なツールになればなるほど、「人間にしかできないこと」をすることが、人間の仕事になっていきます。では「人間にしかできないこと」とは何かというと、「おもしろいこと」「風変わりなこと」です。
伊藤さんが考えるには、「ジェネレーティブAIの生成物は、蓄積された過去のデータのサンプリングにすぎない」とのこと。そして「人間のクリエイティビティも過去のデータを多分に参照したうえで生まれるもの」とした上で、「そこに『自分』という人間ならではの『ひねり』を加えることは人間にしかできない」と述べている。
ジェネレーティブAIは、とんでもない間違いをおかすことがありますが、膨大なデータを参照して整合的な答えを導き出すという、きわめて合理的な存在です。人間が第一にジェネレーティブAIに求めるのも、そうした合理性です。
そして合理性という点で優れているAIが浸透すればするほど、人間が「合理的であること」の重要性は、どんどん薄れていくでしょう。
伊藤さんの記事では「新時代に活躍する人の働き方」というテーマにも触れられている。ジェネレーティブAIが仕事や働き方にもたらす転機とは一体何なのか。
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『挑戦心』ー Turing山本一成
続いては、将棋界で前人未踏の偉業を残し続ける藤井聡太さんと、世界で初めて名人に勝利した将棋 AI『Ponanza』の開発者・山本一成さんの対談から見えてきた「挑戦心」の重要性について紹介しよう。
山本さんは将棋AIの開発から転じて、「Teslaを超える企業をつくる」という目標を掲げて完全自動運転EVの量産を目指すスタートアップTuringを創業した。なぜそのような高い目標に挑戦したのかという問いに、次のように答えてくれた。
世界を見渡せば自動運転、電気自動車開発の分野の事業を行う企業はいま続々と増えているのですが、日本国内に限っていうと、まだまだ少ない状況です。
ですから、誰か日本発の企業でこの分野に挑戦する人が出てこないかな……と思っていたのですが、誰もやらないなら自分でやろう、と。
将棋界のおかげもあって私自身がAIのプログラマーとして有名になりましたし、自分みたいな人間がチャレンジをしないのは世の中に対してアンフェアかなと思いました。 だからこそ、この領域で、自動運転のシステムをつくるだけじゃなくて、完全自動運転EVを量産するというところまでやってみようと。
ひと昔前までは不可能だと思われていたような話も、現代の技術を使えばたどりつけるはずですから。
いつの時代も、世の中を動かすエネルギーは人間のあくなき「挑戦心」から生まれるものだ。なお記事では、藤井聡太さんが日々の対局にかける思いについても言及されている。挑戦を続ける二人の対談を読めば、きっとあなたのチャレンジ精神にも火が付くだろう。
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『知的探究心』ー 伊藤淳一×遠藤大介
最後に紹介するのは、共にソニックガーデン顧問CTO/プログラマーとして活躍する、伊藤淳一さんと遠藤大介さんによる対談記事。
生成AIをはじめとする新しいテクノロジーの進化によって、プログラマーはその「本質」に立ち返る必要があると述べる両名は、「本質的な仕事」を手掛けられるエンジニアの特徴として次の要素をあげてくれた。
技術を探求すること、顧客を理解すること、それを踏まえて持てる知見をシステムに実装することに対してどれだけモチベーションを高く保てるか。そういったことをまずは意識できるといいのではないでしょうか。
いずれにしても仕事以外ではコードを書きたくないとか、顧客のビジネスにも、新しい技術にも関心がないプログラマーの将来はかなり厳しいでしょう。自らの強みを磨く機会が少ないわけですから。
生成AIの進化をめぐって今起こっていることを正確に評価するまでには、まだ時間がかかるでしょうが、さらなるブレークスルーによって、変化のスピードがよりいっそう速まる可能性は非常に高そうです。
こうしたタイミングに居合わせることが幸運だと思えるなら、プログラマーの未来はきっと明るいものになるでしょう。
他の人に先んじて知識やできることを増やせれば、全くのゼロからトップに躍り出ることだってできるかもしれません。悲観的にならず、かといって楽観的になり過ぎず、チャンスを捉えてどんどんチャレンジできるといいですよね。
その他にも、変化の激しい時代を生き抜くヒントが多く詰まった内容の記事となっている。本記事を通して、この先も長く活躍できるエンジニアの素養について考えてみてはいかがだろうか。
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文/エンジニアtype編集部
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