株式会社LayerX
代表取締役 CTO 兼 AI・LLM事業部管掌
松本勇気さん(@y_matsuwitter)
東京大学在学時にGunosy入社、CTOとして技術組織全体を統括。2018年にDMM.com CTOに就任し技術組織改革を推進。2021年、LayerXの代表取締役CTOに就任。開発や組織づくり、及びFintechとAI・LLM事業の2事業の推進を担当。CTO協会理事
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2025年、仕事始めを迎えたエンジニア読者は多いだろう。新たな一年を前に、業界をリードする“あの有名エンジニア”は、昨年どんな技術書に魅了されたのか、気になる人も少なくないはずだ。
そこで今回、LayerX 代表取締役 CTO・松本勇気さん、『ソフトウェアファースト』著者・及川卓也さん、米マイクロソフト・牛尾 剛さん、チューリング 共同創業者 取締役CHRO・青木俊介さんの計4名に、24年に読んだ中での「イチオシ技術本」を伺った。
第一線で活躍する彼らが選ぶ一冊と、その理由とは? その答えは、25年のスタートダッシュを切るヒントになるかもしれない。
目次
最近は「公式ドキュメント」や「ソースコード」、それに「ChatGPT」で学びを得ることが多く、技術書を読む機会が減ってしまいました。また、LLM等の先端領域だと知人や社内のメンバーとの会話の中で学び、気付きが多いため、そうした一次情報からのキャッチアップを重視しています。今回は、技術関連の書籍で今年一番印象に残っている『AI覇権 4つの戦場』を推薦します。
書籍では最新の軍用ドローン技術などが紹介されており、ソフトウエア技術の利用の現実を知ることができます。現代の戦場では、技術革新によって従来の常識がどんどん塗り替えられている様で、その変化に衝撃を受けました。
この本は、ソフトウエアが産業や社会をどう変えていくのかについて深く考えさせられる内容となっています。プロダクトマネジャーやエンジニアリングマネジャー、テックリードなど、技術とビジネスの境界で働く方々に特に読んでほしい一冊です。
個人的には、日本社会においてソフトウエアが担う責任はますます大きくなっていると感じているため、世界で起きている「ソフトウエアによる変化」を知ることは非常に重要だと改めて実感しました。技術が世界をどう変えるかというテーマに対して、膨大なリサーチと多くの事例を通じて深い洞察を与えてくれるという点で、今年一番心に残った書籍です。
株式会社LayerX
代表取締役 CTO 兼 AI・LLM事業部管掌
松本勇気さん(@y_matsuwitter)
東京大学在学時にGunosy入社、CTOとして技術組織全体を統括。2018年にDMM.com CTOに就任し技術組織改革を推進。2021年、LayerXの代表取締役CTOに就任。開発や組織づくり、及びFintechとAI・LLM事業の2事業の推進を担当。CTO協会理事
開発プロセスやチーム運営を改善しながら、投資対効果を最大化するための実践的なアイデアが詰まった一冊です。エンジニアリングマネジャーやリーダーにぜひ読んでいただきたい本です。
ソフトウエア開発の本質は、単にコードを書くことだけではありません。本書は、ソフトウエアが生み出す価値を最大化する視点から、生産性向上を考えるヒントを提供します。
生産性向上の目標は、短期的な効率化にとどまらず、中長期的な成果を視野に入れたチーム作りや育成にあります。この視点を取り入れることで、仕事の楽しさややりがいも増していくはずです。
Tably株式会社
代表取締役 Technology Enabler
及川卓也さん(@takoratta)
外資系IT企業3社にて、ソフトウエアエンジニア、プロダクトマネジャー、エンジニアリングマネジャーとして勤務する。その後、スタートアップを経て、独立。2019年1月、テクノロジーにより企業や社会の変革を支援するTably株式会社を設立。著書『ソフトウェア・ファースト~あらゆるビジネスを一変させる最強戦略~』(日経BP)、『プロダクトマネジメントのすべて』(翔泳社)
今年一番お世話になった技術書的なものは、マイクロソフトの公式ドキュメントですね。マイクロソフトに限らず、最近の公式ドキュメントは非常に充実しているものばかりで、チュートリアルから最新のアーキテクチャまで網羅されています。昔なら本として出版されていたような内容が、今ではWeb上で最新の形で提供されています。
例えばMSLearnでは、クラウドデザインパターンやC#のインターナルといった情報が全て揃っていて、チュートリアル形式で実際に動かしながら学べます。ライブラリの設計思想や使い方、対象バージョンに応じた情報などが明確に整理されていて、はっきり言って最高ですね(笑)。昔は分かりにくいイメージがあった公式ドキュメントも、今は全然違います。
さらに、公式サイトからGithubへのリンクをたどれば、ライブラリのソースコードや更新履歴まで見られる。サンプルプログラムも豊富で、これ以上の学習リソースは今のところないと思います。
ちなみに最近読んだ本の中でも『ソフトウェア設計のトレードオフと誤り』(オライリー・ジャパン)はおすすめです。
特に分散コンピューティングなどモダンなアーキテクチャの文脈で役立つ内容で、経験者にとっては良い復習になりますし、新たな発見もあると思います。技術的な濃度も高く、非常に良い一冊ですね。
米マイクロソフト
Azure Functionsプロダクトチーム シニアソフトウェアエンジニア
牛尾 剛さん(@sandayuu)
1971年、大阪府生まれ。米マイクロソフトAzure Functionsプロダクトチーム シニアソフトウェアエンジニア。シアトル在住。関西大学卒業後、日本電気株式会社でITエンジニアをはじめ、その後オブジェクト指向やアジャイル開発に傾倒し、株式会社豆蔵を経由し、独立。アジャイル、DevOpsのコンサルタントとして数多くのコンサルティングや講演を手掛けてきた。2015年、米国マイクロソフトに入社。エバンジェリストとしての活躍を経て、19年より米国本社でAzure Functionsの開発に従事する。ソフトウェア開発の最前線での学びを伝えるnoteが人気を博す
生成モデルの導入から始まり、スコアマッチや拡散モデルがなんたるかを数理的に解説した良書です。AI・コンピュータサイエンスの研究界隈でも名が通っている岡野原さんの著作なので、迷わず買いました。拡散モデルを体系的にまとめたという点で、他に例を見ない傑作だと感じています。
本格的な数理の本って感じなので、教訓というよりも「拡散モデルの科学」がちゃんと理解できて良いですよ、くらいの感じですかね。実用書というよりも理論の本です。今日明日の実務にすぐ役立つ本ではありません。
一方で今のAIもバックグラウンドに理論があるので、その理論をしっかりと理解する意義はあると考えています。生成AIを使うだけでなく、作る・研究する側に立ちたい方には必携の一冊かと思います!
チューリング株式会社
共同創業者 取締役CHRO
青木俊介さん(@aoshun7)
米・カーネギーメロン大学 計算機工学科で博士号取得。米国では自動運転システムの開発・研究に従事し、サイバー信号機の開発や大手自動車メーカーの自動運転機能の開発に携わる。2021年より国立情報学研究所 助教として着任し、青木研究室を主宰。名古屋大学 客員准教授・JSTさきがけ研究員を兼任。MITテクノロジーレビュージャパンより35歳未満のイノベーターIU35に選出
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