エンジニアtypeが運営する音声コンテンツ『聴くエンジニアtype』の内容を書き起こし! さまざまな領域で活躍するエンジニアやCTO、テクノロジーに関わる人々へのインタビューを通じて、エンジニアとして成長していくための秘訣を探っていきます。
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岩瀬義昌が実践。ワーカホリックでも自分に無理をさせ過ぎないシンプルな働き方【fukabori.fm MC・iwashi】
NEW! 働き方
技術・組織・マネジメントなどなど、各分野のエキスパートから幅広く話を聞けたらいいのに……。
そんな欲求を満たしてくれるのが、テック系Podcastの代表格である『fukabori.fm』だ。
MCを務めるのは、iwashiさんこと岩瀬義昌さん。NTTコミュニケーションズのエバンジェリストとして働く傍ら、書籍の翻訳やイベント登壇など多方面での活躍を見せる。
今回は、エンジニアtypeが運営するPodcast『聴くエンジニアtype』のMC・ばんくしさんこと河合俊典さんとの対談を通じて、エンジニア人生を無理せずに歩んでいくコツを探った。

NTTコミュニケーションズ株式会社
『Generative AI プロジェクト』リードエンジニア | エバンジェリスト
ポッドキャスト『fukabori.fm』運営者
岩瀬義昌さん(@iwashi86)
東京大学大学院修士課程修了後、2009年にNTT東日本に入社。大規模IP電話システムの開発などに従事したのち、内製、アジャイル開発に携わりたいという思いから14年にNTTコミュニケーションズSkyWay開発チームに転籍する。 20年には組織改善に尽力すべく、ヒューマンリソース部に異動。22年からは再び開発部に戻り、全社のアジャイル開発・プロダクトマネジメントを支援。現在は、同社のイノベーションセンター テクノロジー部門 で Generative AI PJリーダーとして活躍。『エンジニアのためのドキュメントライティング』(日本能率協会マネジメントセンター)『エレガントパズル エンジニアのマネジメントという難問にあなたはどう立ち向かうのか』(日経BP)など、数多くの技術書の翻訳に携わる。エンジニアに人気のポッドキャスト『fukabori.fm』を運営

【MC】
エムスリー株式会社 VPoE
河合俊典(ばんくし)さん(@vaaaaanquish)
Sansan株式会社、Yahoo! JAPAN、エムスリー株式会社の機械学習エンジニア、チームリーダーの経験を経てCADDiにジョイン。AI LabにてTech Leadとしてチーム立ち上げ、マネジメント、MLOpsやチームの環境整備、プロダクト開発を行う。2023年5月よりエムスリー株式会社3代目VPoEに就任。業務の傍ら、趣味開発チームBolder’sの企画、運営、開発者としての参加や、XGBoostやLightGBMなど機械学習関連OSSのRust wrapperメンテナ等の活動を行っている
「頑張らない時期」が生産性を高める
Podcastをはじめ、岩瀬さんの活動を見ていると「技術が好き」ということがひしひしと伝わってくる。しかし、多忙であろう日々の中でどうやって多方面での活動を成り立たせているのだろうか。
問うと、岩瀬さんも仕事との両立に苦労することがあるという。
fukabori.fmはかなり下調べをしたうえで収録を行っているので、本業が大変な時期なんかはパンクしそうになるタイミングもありましたよ。
今はどうやってバランスをとっているんですか?
僕なりの働き方ハックのひとつなんですが、「頑張る時期」と「頑張らない時期」を分けて作るようにしています。
その上で、頑張る時期は意図的に締め切りを設ける。そうすると、締め切りが近づけば否が応でも夏休み最終日のような爆発力が出せるんです(笑)。デッドラインドリブンな環境を作ることで、生産性が高い状態を生み出しているイメージですね。
逆に、頑張らない時期はひたすら何もしない。だから僕、マネジャーだけどめちゃくちゃ休んでますよ。トータルで見て成果が出せていればOKという考え方で生きています。
現在はマネジャーとしてチームを率いている岩瀬さん。技術志向のエンジニアがマネジメントポジションで葛藤する……というのは業界ではよくある話だが、岩瀬さんはマネジャーという仕事にもやりがいを感じていると語る。
岩瀬さんがマネジメントの面白さに目覚めたきっかけは何ですか?
以前はテックリードとしてコードをバリバリ書いていたのですが、ある日ふと周りを見てみたら、磨けば伸びそうな若手人材がたくさんいることに気付いたんです。なんなら僕よりもできるエンジニアもいました。
なので、彼らがより主体的に活躍できるように1歩退いたマネジャーという立場で眺めていたら、いつの間にかそれが面白くなった……という流れです。
そもそも、みんなが楽しそうに働いているのを見るのが好きなんですよ。それが事業貢献につながるのだとしたら、こんなに面白いことはないですよね。
メンバーやチーム、組織の成長に醍醐味を感じるという岩瀬さん。しかし、やはりマネジャーとして苦労した時期も経験してきたそうだ。
2023年の7月くらいに立ち上げた新しいチームの規模がどんどん膨らんでいったことで、EMやらPdMやらさまざまな役割を担う必要が出てきまして。スケジュールがテトリスのように、隙間なく埋まっていくんです。コンテキストスイッチがどんどん増えて、めちゃくちゃ大変でしたね。
マネジャーをするうえで避けては通れない道ですよね。どのように乗り越えたんですか?
シンプルですが、優先度を決めて表明することにしました。だって、リソースは有限ですから。
「自分のリソースバジェットはここまで」というラインをしっかり持つこと。そしてそれを周りに表明することで、コンテキストスイッチが増えないようにコントロールしています。
自分がパンクするラインを見極めるのって、案外難しいですよね。でも岩瀬さんはそのへんがすごく上手に見えます。
僕はもともとワーカホリックな人間なので、気を抜くとずっと働いちゃうんですよ。とはいえ、当たり前ですが度が過ぎると身体にガタがくる。30歳くらいの時にめちゃくちゃ働いてそのラインが分かるようになったので、今はそれを超えない範囲で働いています。
成長の近道は、好きな分野を“広く”学ぶこと
最後に、エンジニアとしてさらなる成長を目指す若手に向けて、岩瀬さんおすすめのインプット法を聞いてみた。読書家としても知られる岩瀬さんらしく、教えてくれたのは書籍を使った方法だった。
僕の場合、新しい分野の技術を学ぼうと思ったときは、まずは「ざっくり学ぶ」ことから始めます。
とりあえず本屋さんに行って、そのジャンルの棚から適当に5冊ぐらい選んでみてください。1冊1冊をじっくり読み込む必要はありませんし、分からない部分があっても全て理解しなくてOK。最初からきっちり理解するのは大変なので、ざーっと流し読みするのがポイントです。
何冊か読んでみると、共通して出てくるワードに気付いて、結果的に早く全体像が把握できますよ。
これまでさまざまな領域で活躍してきた岩瀬さんは、知識欲の強さで自身のキャリアを切り拓いてきた。だからこそ、若手エンジニアにも「熱中できる分野を見つけることが成長の近道」とエールを送る。
僕はマニアックな分野であるほど興味が湧いてくるタイプなので、知らないことに対して面白みを見つけるのが得意。だから専門分野を変えたり、転籍したりしながら、常に楽しく学べる環境に身を置いてきました。
だから、成長したいと思うのであれば、ぜひ自分のテンションが上がることを見つけてほしい。いろいろなことに興味を持って勉強をしていけば、必ず面白いと思える分野に出会えます。まずは一つ、これぞという分野を見つけて深いところまで学んでみましょう。それはきっと、あなたの武器になるはずです。
※本記事は聴くエンジニアtypeオリジナルPodcast『聴くエンジニアtype』#72、#73、#74をもとに執筆・編集しております
文/赤池沙希 編集/秋元 祐香里(編集部)

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