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日本のVR第一人者・GOROmanはなぜ「消滅」したのか

働き方

「GOROmanはトラックに撥ねられて死にました」
「VRはもう一生やらないです」

GOROmanこと近藤義仁さんと言えば、Oculusの創立者に直談判してもともと予定のなかったOculus Japanを立ち上げるなど、日本のVR黎明期を牽引した一人。

Oculusを買収したFacebook(現Meta)を2016年に退職したあとは、光学レンズメーカー・HOYAからスピンアウトしたスタートアップ・ViXionのテクノロジー・エバンジェリストを務めていた。

しかし、2025年5月をもってViXionも退職。その有給休暇消化期間中に突如、「LLM無職」の「ナル先生(null-sensei)」を名乗り始め、以降、ひたすら生成AIについての情報収集・発信に専念している。

今回はそんなナル先生へのロングインタビューを前後編でお届けする。

ガジェットてんこ盛りのバックパックを背負い、溜池山王のオフィス街に姿を見せた、GOROman改めナル先生。

小脇に抱えたMac Studioには、世界初の完全自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」を開発するCognition AI社のCEO・スコット・ウーのサインが見える。

GOROmanはなぜ死に、なぜナル先生は誕生したのか。VRに続き、生成AIにどっぷり浸かった彼だから見通せる、エンジニアの未来とは。

ナル先生プロフィール

LLM無職代行
ナル先生(@GOROman

ゲーム業界で経験を積んだ後、遊技機業界の企業へ転職。2010年に起業し、22年に散開。14年、VR業界に参画してOculus VR Japanを立ち上げる。その後、Facebook(現Meta)にジョイン。23年にハードウェアスタートアップにて執行役員 兼 CTOに就任。現在、無職(アクティブ無職)

出社するフリして芝公園で寝てた

━━今日の取材テーマはお送りした通り・・・

読んでませんけどね。読んじゃうと面白くなくなっちゃうので。「楽屋が一番面白かった」みたいになりがちじゃないですか。読んじゃうと答えを考えちゃうので、アドリブの方がいいかなと思って来ました。

ナル先生に渡した取材依頼書

null先生に読んでもらえなかった取材依頼書。読むも読まないも、確かに自由である。

━━それで大丈夫です。お聞きしたいのは、VRに続き、今度は生成AIに全ベットされたということで・・・

これね、誤解されがちなんですけど、別に「ベット(賭け)」していたわけじゃなくて。VRには確かに賭けてたんですけど、結局は失敗してしまって。ある意味では、その失敗が会社を潰すくらいになってしまった、という感じですね。

━━VRは儲からなかったですか。

儲からなかったっすね。2012年にまずクラウドファンディングでOculus Riftを見つけてきたんです。それを見て「これはすごい!」「世界が変わる!」って勝手に盛り上がって、アメリカまで創業者に会いに行きました。

で、Oculus Japanを立ち上げたんですよ。

でも、その直後にFacebookが買っちゃったんですよね、Oculusって会社を。だから俺がOculusにいたのは3カ月だけ。

3カ月後には、なりたくもないのにFacebook社員になっちゃった。10日で辞めようと思いました。合わなくて。

━━どこが合わなかったんですか?

広報の人に「勝手にしゃべるな」って言われて。上場企業だし、もう大きな会社だから。俺はエバンジェリストとしてOculus Riftを広めたいから入ったのに、登壇も許可制になって、資料の事前チェックとかもあって。あと、もちろんTwitter(当時)とかにも勝手に書けない。勝手なこと書くとすごく怒られるんで。

一緒に入った同僚に「俺、もう辞めたいんだけど」って相談したら、「勘弁してくださいよ。こんなに苦労して作ったのに10日で辞めるなんて。日本人が頭おかしいって思われるから」って説得されて、「もうちょっと頑張るわ」って言って、2年ぐらいいました。

なので、会社に行くふりして芝公園で寝てましたね。東京タワー見ながら寝てて、「うーん、そろそろ帰るか」みたいなことを。うつ病みたいになってましたね。

━━そんな時期があったとは。

上司がクリス・プルエットって人で、今はもう出世してディレクター、ザッカーバーグの次の次の次ぐらいの人ですけど、この人がすごくいい人で。日本語もペラペラで、すごくコミュニケーションを取ってもらえたおかげで途中からはストレスがだいぶ減りました。

クリスを通じて会社との信頼関係ができて、結構裁量を任せてくれるようにもなったんで。ある程度は登壇していいよ、みたいな。その信頼を勝ち得るまでが大変でしたよ。そりゃそうなんですけど。

で、2016年のクリスマスイブに退職して、そこから自分の会社に戻りました。自分の会社は2010年に起業してて、一応まだあるんですけど。今年で15期目ぐらいかな。

自身の会社について語るナル先生

━━社員は全然いない会社ですよね?

もともとは30人ぐらいいたんですよ。でも自分がFacebookに入っちゃったんで。そのときに、自分の会社には出社せず、報酬も受け取らないって条件で入社のサインをしてるんです。

とはいえ自分の会社は存在していて、社員もたくさんいる。なので副社長だけ任命して「俺は行かない」ってことにしたんです。そうしたらめちゃめちゃ辞めていきました。バラバラバラっと。社長が来ないんだから、当たり前ですよね。

で、3年前にもう完全に解散しました。Slackでの連絡よりも先に、Twitterに「散開します!」って投稿したんです。YMOが好きなので、「解散」ではなく「散開」と表現して。

全員クビ。「えー」って驚いていましたけど、しょうがない。むしろ、俺の会社に入るやつが悪い。で、人生で初めて「無職」という期間に入ったわけです。

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撮影/桑原美樹 編集/玉城智子(編集部)

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