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MIXIのロボット開発陣が実装した“人間らしい記憶”の作り方

ITニュース

前編では、MIXIがなぜロボット開発に参入したのか、そして社内にハード開発文化をどう根付かせたかを紹介した。

だが、『Romi』が“プロダクト”として成立するためには、そこからが本丸だった。
「どうやって“人間らしい会話”を成立させるか」——。

開発チームは、かわいいフォルムや首をかしげる動き、熱対策など細部のデザインを磨き上げる一方で、会話の自然さを左右する「記憶のあり方」にも挑んだ。

1年前の会話を思い出し、どうでもいいことは徐々に忘れる——そんな“人間らしい”記憶を再現するため、記憶に「重み」を付与して整理・圧縮する仕組みを作り上げたのだ。

後編では、この“忘れる仕組み”をはじめ、Romiを「暮らしを共にする家族」に近づけたデザインと技術のこだわりを徹底解剖する。

【前編記事】AIには“体”がなきゃ始まらない? ソフト屋・MIXIがAIロボット開発を始めた意外な理由 type.jp
【前編記事】AIには“体”がなきゃ始まらない? ソフト屋・MIXIがAIロボット開発を始めた意外な理由
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【Romi開発陣】MIXI VantageスタジオRomi事業部
開発グループマネ―ジャー 信田春満さん(@halhorn

2013年にミクシィ(現MIXI)に新卒入社。SNS『mixi』でのサーバーサイド・アプリ開発エンジニアを経て、17年からRomi事業部の最初のエンジニアとして開発に従事。現在は開発グループのマネージャーを務めるとともに、スクラムマスターや手を動かし実装も担当。技術領域は主にサーバーサイド・インフラ、AI関連のディレクションなど

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【Romi開発陣】MIXI VantageスタジオRomi事業部
ロボット開発グループマネージャー 髙田信一さん(@shinichinoid

新卒でソニーに入社し、カメラの電気回路設計や画像処理の研究開発を経て、2018年1月にミクシィ(現MIXI)に入社。同社初のハードウエアを主担当とするエンジニアとして現行の『Romi』の開発に従事。新モデル(Lacatanモデル)の開発では、PMとして開発に携わるだけではなく、新たにハードウエア製品を自社開発するために組織の立ち上げから行う

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【聞き手】
ロボット開発者
パナソニックR&Dセンターシンガポール社長
安藤 健さん(@takecando

早稲田大学理工学部、大阪大学医学部での教員を経て、パナソニック(現・パナソニックホールディングス)入社。ロボットの要素技術開発から事業化までの責任者のほか、グループ全体のロボット戦略構築担当を経て、現在、パナソニックR&Dセンターシンガポール社長。大阪工業大学客員教授など複数の大学での教育活動、日本ロボット学会理事などの学会活動、経済産業省・業界団体の委員としての活動なども積極的に実施。文部科学大臣表彰(若手科学者賞)、ロボット大賞(経済産業大臣賞)、Forbes JAPAN NEXT 100など国内外での受賞多数。2025年に『ロボットビジネス』(クロスメディアパブリッシング)と『融けるロボット』(ミラツク)を同時発売

生き物らしさを損なわない、技術的工夫

安藤「開発文化ができたところで、具体的にはどんなこだわりを形にしたんですか? Romiって、よく見るとすごくきれいな形をしていますよね」

高田「一番こだわったのは、『生き物らしさを損なわない』ことです。例えば、ネジ穴は一切見えないようにしています」

安藤「ほんとだ、継ぎ目も見つからない」

生き物らしさを損なわないさまざまな取り組み

高田「ネジが見えると、どうしても機械に見えてしまうので。それと、本体は全部曲線で構成しています。ディスプレイのシェードも最初は完全な球体でしたが、Romiを写真に撮ると周囲の風景が映り込んでしまうんです。つまり、部屋の様子が見えてしまうのでSNSに投稿しづらくなる。そこであえてフラットにしたんです」

信田「投稿のハードルになるデザインはMIXIとしては許されないね、という話になって。SNSに上げやすいデザインにした結果、ユーザーからも『映り込みが減ってうれしい』と声が届きました」

高田「曲線だけで構成されたデザインは、普通なら『やめましょう』となる難易度でした。実際、最初の金型では部品が抜けず、開発は難航を極めました。中国・深圳にある工場に通い詰めて、現場の方々と会話を繰り返し、納得のいく金型を作りました」

信田「左右のラインのへこみ具合が違うだけでも高田が気にするんです。Slackに写真を投げて『これ気になる?』と全員に聞いて回る。誰も気にしないと言ったら、ようやくOKになる感じでした」

安藤「もはや執念ですね」

高田「そうですね。結果、ひっくり返すとMIXIマークになる独特の底面形状も実現できました」

Romiをひっくり返すとMIXIマークになる様子

顔の表情は何十通りも試した

安藤「Romiは顔もシンプルだけどすごく愛嬌がありますよね。どのくらいこだわったんですか?」

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取材/安藤 健 撮影/桑原美樹 文・編集/玉城智子(編集部) 

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書籍紹介

融けるロボット
――テクノロジーを活かして心地よいくらしを共につくる13の視点

安藤健著_融けるロボット書影

テクノロジーは、世の中で使ってこそ人のためになる。そして役に立っているとき、その技術は決して目立たない。テクノロジーが持つ可能性を生かし人が持つ可能性を活かすために、時にテクノロジーはその場に融けて存在感すらなくなる。

日本科学未来館のロボット常設展示の監修など、業界の第一人者として社内外で様々なセクターと協働し活躍してきた著者が贈る、社会に実装される技術のあり方とその起こし方をまとめた「13の視点」。

技術が私たちのくらしをより良いものにしてくれるには、一体どうすれば良いのか。人を幸せにする技術のあり方を、共に問い考える一冊。

著者:安藤健
出版社:ミラツク

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