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戦略なき「量産型」エンジニアは淘汰される。エンジニア市場の潮流が示す、今後勝てるスキルと働き方

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生成AIの台頭や開発環境の高度化により、エンジニアの転職市場は大きく変わりつつある。現場の実感として、「ただコードを書けるだけ」の人材に対する市場評価が頭打ちになることに、漠然とした不安を抱くエンジニアは少なくない。

では、今市場で何が求められ、どんなスキルや案件が価値を生み、どれほどの年収レンジが現実的なのか。もはや“作れるだけ”では差別化できない時代に、市場価値を左右しているものは何なのか。

その実態を探るため、フリーランスITエンジニア向けサービス「Midworks」を手掛ける株式会社Branding Engineerに話を聞いた。同社は、東京証券取引所グロース市場上場のTWOSTONE&Sonsの中核会社であり、グループ会社においてもエンジニア転職支援の「TechStars Agent」、学習支援の「tech boost」など様々なITエンジニア向けのサービスを展開している。

市場の動きが速い今、若手エンジニアが市場価値を高め年収を伸ばしていくためのヒントを、Branding Engineer執行役員の伊藤雅哉さんに語ってもらった。

プロフィール画像

株式会社Branding Engineer
執行役員
伊藤雅哉さん

大学卒業後、レジャー・アミューズメント企業の事業企画を経て、大手IT人材派遣会社へ転職。事業企画およびエンジニア人事制度設計、中途・新卒採用、社内研修の設計などを手がける。その後、大手技術者派遣会社へ転職し事業企画、人事領域を担当した後、25年1月より株式会社Branding Engineer 執行役員へ就任

エンジニアの市場価値を左右するのは「事業貢献力」

ーー生成AIの目覚ましい進化により、数年前と比較してエンジニア市場の潮流は変わったという意見もあります。現場の最前線では、どのような変化を感じていますか?

ここ半年〜1年の間で、エンジニアに求められる役割の重心が変わってきたと感じています。大きな傾向としては、「実装メインの案件」から「上流工程・ハイエンド案件」へのシフトが見られます。

数年前までは、PHPなどを用いた「仕様書通りにコードを書く実装案件」が豊富にありましたが、現在はそうしたシンプルな案件は減少傾向に感じます。代わって増えているのが、プロジェクトマネジメント(PM)や、ビジネスサイドに近い上流工程の案件です。

技術領域で言えば、やはりAI開発やクラウド(AWS、Azure、GCP)関連が増えています。特にAI関連の引き合いは多く、AIモデルの作成から、LLMを使った新サービスの企画のような案件まで多種多様になっています。

Branding Engineer 伊藤さん インタビューに答える様子

ーー「作る力」だけでは差別化が難しくなっていると。では企業はエンジニアに対して、技術力以外に何を求めているのでしょうか?

特に重視されているのが「ビジネスサイドの理解」です。これがエンジニアの市場価値を左右する大きな要因になりつつありますね。

AI活用が進み、ある程度のコーディングが効率化される中で、人間には「事業をどう進めるか」「プロダクトやサービスの付加価値をどう高めるか」という視点や思考が求められるようになっています。例えば「ボードゲームの携帯アプリ」の開発であれば、ボードゲームそのものへの理解やそのボードゲームへの愛、ユーザー心理への深い洞察などが求められる。

以前のような「営業が価値を売り、エンジニアが作る」という完全な分業から、エンジニア自身も「技術を使ってどう事業に貢献するか」を理解していることが、評価に繋がりやすいフェーズに入っていると感じます。

ーーその役割の変化は、実際の年収・単価の相場にどう反映されていますか?

前提として、業界や業種、勤務エリア、各プロジェクトの状況にもよりますので、一概には言えません。しかしながら、あくまで傾向としての話にはなりますが、フリーランスや業務委託の単価ベースで見ると、以下のような三つの層が見えてきます。

年収~500万円の層【労働集約型(作業層)】

QA(品質保証)やテスト、定型運用などが該当します。ここは「時間」と「正確な作業」に対して対価が支払われる領域なので、特別なスキルがなくても参入しやすい反面、仕組み化されやすく単価が上がりにくい。ここから抜け出すには、誰でもできる作業ではなく「自分にしかできない領域」を作る必要があります。

年収500万〜700万円の層【技術実務型(自走層)】

業界経験3〜5年の中堅層で、一人称でコードが書ける方々が該当します。主に「機能の実装」に対して対価が支払われるイメージです。市場のボリュームゾーンですが「仕様書通りに作る」だけでは差別化が難しく、このレンジで年収が頭打ちになるケース(中堅の壁)も見受けられます。

年収800万〜の層【事業貢献型】

PMやテックリード、あるいはSAPやセールスフォースなどの導入プロジェクトにおいて、要件定義や業務設計から担えるコンサルタントクラスの方が該当します。単にツールを使えるだけでなく、ここでは「事業課題の解決」や「代替不可能な技術」に対して対価が支払われるイメージです。

「あなたがいないと事業が進まない」という状態を作れるため、単価設定の主導権を持ちやすくなります。年収1000万円を超えるケースも多いですね。

Branding Engineer 伊藤さん インタビューに答える様子

高単価な若手は、スキルを活かす場所を選ぶ

ーーここまでお話ししたように、技術実務層(500〜700万円)で伸び悩む人が多い中、若いうちから上位レイヤー(800万円以上)に到達する人もいます。彼らにはどのような共通点があるのでしょうか

市場価値が高い若手のエンジニアの方を見ていると、技術力はもとより「その技術をどこで使うか(ポジショニング)」の戦略が非常に巧みに感じます。

例えば「ネットワーク技術」一つとっても、一般的なWebサービスのインフラに関わるのか、自動運転の通信制御に関わるのかだと、圧倒的に後者が高くなります。技術力があることが前提ではあるものの、自分の技術を「どの業界で活かすか」までを考えられる人が、結果として若くして年収を上げている印象があります。

また、「ビジネスと技術の垣根を越えようとしている」点も大きな特徴です。

以前は「仕様書通りに作ること」が最優先でしたが、「この機能をこう変えれば、もっとユーザー体験が良くなり、売上に繋がるのではないか」と提案できるエンジニアが高く評価をされる時代になりました。

「ビジネス上の課題を技術でどう解決するか」を語れる人、もっと言えば、エンジニアであってもコストや利益の感覚を持ち、自分のアウトプットがどう事業貢献するかを意識している人が、結果として高単価な案件を獲得しています。

ーーそのように市場価値の高いエンジニアになるためには、具体的にどのようなキャリアパスを描いていけば良いのでしょうか。

成功パターンとして、大きく二つの方向性が考えられるのではないでしょうか。

一つは、早期に「マネジメント・コンサル」へシフトを目指す型のキャリアパスです。20代のうちに多くのプロジェクトを渡り歩き、リーダーやPM補佐を経験し、マネジメント領域へ早期に軸足を移すパターンですね。ゆくゆくはITコンサルティングの領域に行き着くイメージです。

この領域は単価水準が高く、転職回数よりも「プロジェクトを完遂させる力」が評価される傾向にあります。転職回数が増えることを過度に恐れることなく、様々な案件で実績を積み重ねていくスタイルが有効だと思います。

Branding Engineer 伊藤さん インタビューに答える様子

ーーでは、もう一つのパターンは?

技術志向の方であれば、「技術」×「高予算領域」へのスライド戦略が良いと思います。最初はネットワークやサーバー監視や運用といった工程からスタートしていき、そこからスキルを拡張していくパターンです。

例えば、ネットワーク運用の経験をベースに、AWSや仮想ネットワーク技術を習得する。そして、その技術を持って「自動運転」や「高度セキュリティー」などの予算が豊富や領域へスライドしていく形です。

自動運転などの先端技術も、根幹にあるのは「データの高速通信」と「堅牢なネットワーク」です。「サーバー運用×AWS×セキュリティー×特定業界の知見」という掛け合わせができると、希少価値が生まれ、大幅な単価アップに繋がることがあります。

また、「供給が構造的に不足している領域」を狙うのも手です。例えばC++などは、他の言語よりも相対的に覚えることが多いことから難易度が高い言語の一つとされており、若手の参入障壁が高いため、常に人材が枯渇しており単価が高い傾向です。

ーーその一方で、技術力はあるのに「市場価値が上がりにくい」といった若手に見られる傾向などはありますか?

「今の現場の居心地が良いから」という理由だけで、変化の少ない領域に留まり続けることは、中長期的に見ると市場価値の停滞を招くリスクになります。

技術的な革新が起きにくく、ビジネスモデルも完成されている領域では、個人のスキルが高くても、市場原理として単価が跳ね上がりにくいからです。

もちろん、これは良し悪しの問題ではありません。落ち着いた環境でじっくり働いていきたい方も当然いますから、ご自身のキャリアプランと照らし合わせて判断することが大切ですね。

AI開発の次は、AIを動かすインフラ領域がホットに

ーー年収をあげるために、「フリーランス転身」を検討する方は多いです。正社員とフリーランス、どちらを選ぶべきかという正解はあるのでしょうか……?

どちらが正解ということはありませんが、リスクヘッジの観点からは、「スキルが確立するまでは、正社員という環境を活用しながら成長する」のが一つの堅実な選択肢にはなり得ると思います。

当社はフリーランス向けのエージェントサービスを行っているのですが、実務経験1年程度で参画できるフリーランス案件はやはり少なめです。

Branding Engineer 伊藤さん インタビューに答える様子

また、「大手企業の正社員からフリーランス」になるのは比較的容易ですが、逆に「フリーランスから大手企業の正社員」に戻るのは、一定のハードルがあるのも事実です。ですので、いきなり二者択一で独立するのではなく、「正社員として働きながら、副業でフリーランス的な動きを試してみる」というハイブリッドなアプローチも良いのではないかと思います。

まずは正社員として2〜3年の経験を積み、市場で通用するスキルセットを確立すること。 その上で、副業などでフリーランス的な動きを試して、自身にあったキャリアを選択してみるというステップを踏むのが、安全かつ確実に市場価値を高めるルートだと感じています。

ーー副業として案件を手がけていく上で、どのような領域・業界のプロジェクトがおすすめでしょうか?今後半年〜1年ほどで、注目すべきものがあれば教えてください。

AI関連とクラウド関連は言うまでもないですが、あえてそれ以外で言うならば、目下、予算が潤沢で大きなお金が流れるという視点で言うと、「情報セキュリティー」や「電力・エネルギー」の領域ではないでしょうか。

まずセキュリティーですが、25年に話題になった飲料業界や物流業界でのインシデント事例を見ても分かる通り、今やセキュリティー対策は企業の時価総額すら左右する最重要経営課題です。ここは景気動向に関わらず、企業が投資額を増やし続ける「聖域」と言えます。

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加えて、電力・エネルギーもホットな領域です。イーロン・マスク氏やジェフ・ベゾス氏が「これからは電力だ」と言及しているように、AIの普及によってデータセンター等の電力消費量が爆発的に増えています。そのため、「エネルギー効率化」や「電力制御」に関わるシステム開発には、世界中から資金が集まると考えています。

今後は、「AI開発そのもの」だけではなく、「AIを動かすためのインフラストラクチャー」にもお金が流れる。この構造を理解してポジションを取れるエンジニアが、次の高単価層になっていくと思います。

Branding Engineer 伊藤さん インタビューに答える様子

ーーここまでのお話で「市場の波を読むこと」や「変化すること」の重要性は理解できました。ただ、個人の力だけで常に最適解を選び続けるのは、ハードルが高いようにも感じます。

重要なのは「リアルな市況感」を知っていることと、「リスクを管理しながらも、数多くの打席に立てるかどうか」です。そして、私たちBranding Engineerの強みも、まさにそこにあります。

技術トレンドや単価相場は、正社員市場よりもフリーランス市場の方が圧倒的に早く動きます。私たちはその最新のデータを持っているので、「今、どの領域のニーズが過熱しているか」をリアルタイムで把握しています。

だからこそ、社員として所属エンジニアに対して「今のうちにこのスキルを伸ばしておけば、来年は単価が上がる」といった、相場に基づいた具体的な戦略を提示できるのです。

フリーランス案件を豊富に抱えていることから、例えば「週3日はA社の案件、週2日はB社の案件」といったパラレルワークを正社員のまま実践するなどもできますので、リスクを抑えつつも市場に合わせて自分をアップデートし続けたいと願う方には、これ以上ない環境を提供できると確信しています。

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撮影/赤松洋太 取材・文/今中康達(編集部)

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