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20代の特権を使い倒せ。「視点」を広げ、圧倒的な「実績」を作る生存戦略【川邊健太郎、徳丸浩、河野太郎、鳥嶋和彦、まつもとゆきひろ】

NEW!  働き方

目の前のタスクをこなすだけの働き方では、いつかAIに代替されてしまう。その不安は、多くの若手エンジニアが抱えるリアルな悩みだ。

しかし見方を変えれば、20代という時期は体力も溢れており、失敗からのリカバリーも効く。正解の見えない時代にあって、これは最強の特権とも言える。

AIによって業界のルールが変わろうとしている今、目先のトレンドや同調圧力に惑わされず、この貴重な時期に何を捨て、何を得るべきか。

本記事では、第一線で活躍するトップランナー5人の視点から、20代エンジニアの生存戦略を解き明かしていく。

20年分の常識を捨て、「夢中」を武器にする

社会は今、AIの登場により大きな変化に直面している。LINEヤフー代表取締役会長の川邊 健太郎さんは、これからの社会を「人類にとって『未体験ゾーン』の始まり」と表現する。

川邊さん

先が見通せず、決まったレールがなくなったことは、裏を返せば「何にでもなれる」ということ。ですから、やらない理由を10個探すより、やれる理由、やりたい理由を10個挙げるような生き方をしてほしいです。

「こうあるべき」という答えがないからこそ、まずは人生を主体的にデザインした上で、「この生き方を実現するには、どの仕事や会社を選択すべきか」を考える必要があります。

大半の知的労働において人間よりAIの方が優秀になる今後、「『仕事ができる人』という概念はいずれなくなる」と川邊さんは指摘する。そのとき、人間だけが持つ価値となるのが「夢中になれること」だ。

川邊さん

もし皆さんが将来のキャリアに迷っているなら、「気付くと時間がたつのも忘れて夢中になっているものは何か」を自分に問いかけてみてください。

それが何であれ、今はいくらでも商業化できる時代です。ニッチな分野でも、SNSで発信すればその価値を求める世界中の人たちと出会えるのだから、事業化することは十分に可能です。

何にでもなれる時代には、夢中になれることが自分のキャリアの可能性を開く鍵になります。

だからこそ、同調圧力の中で身についた「20年余りの人生で受けてきた教育や身に付いた常識は、きれいさっぱり忘れてください」と川邊さんは語る。

アンラーニングを通して自らの好奇心を解き放ち、「やらない理由を10個探すより、やれる理由、やりたい理由を10個挙げるような生き方」へとマインドセットを切り替えることが、すべてのスタート地点となる。

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LINEヤフー川邊代表「夢中になること”だけ”が価値になる」AI時代を生きる若手へ送る、後悔しないキャリアの築き方

5年で廃れるトレンドより「ゼロから書く力」を

好奇心を原動力に走り出す一方で、技術者としての「地肩」を鍛えることも忘れてはならない。

日本のサイバーセキュリティー分野を牽引するEGセキュアソリューションズCTOの徳丸 浩さんは、特定のツールや言語といった「技術トレンドは、5年もすれば廃れてしまう」とした上で、原理原則を身に付けることの重要性を説いている。

陳腐化の早いツールの代わりに徳丸さんが求めるその原理原則とは、極めて普遍的な能力だ。

徳丸さん

私は昔から「読み書きそろばん」だと言っています。現代で言えば、「国語・数学・英語」の基礎学力です。

まずは基礎を固め、そこから論理的思考力を養う。セキュリティーなどの専門教育は、大学3年生(19〜20歳)くらいから始めても全く遅くありません。基礎さえしっかりしていれば、専門知識は後からいくらでも積み上げられます。

逆に、基礎がないままツールの使い方だけを覚えたとしても、それは応用が効かない「作業員」で終わってしまいます。

そして何より「ゼロからコードを書く能力を失ってはいけない」と、徳丸さんは警鐘を鳴らす。

徳丸さん

AIは活用すべきですが、付き合い方を間違えてAIに頼り切ると、逆に能力が落ちてしまう危険性があります。

私は将棋を見るのが好きなのですが、将棋界でも「AI研究で強くなった」という棋士がいる一方で、「AIに頼ると弱くなる」という声も聞かれます。AIが正解を出してくれるからと、自分で考える組み立てをしなくなるからです。

最近、新しくプロ(四段)になった棋士のプロフィールを見ていると、意外と「私はAIを使いません」「あえて自力で考えます」という人が結構いるんですよ。これはエンジニアの成長にとっても、重要なヒントだと思います。

ゼロからコードを書いた経験がない人間に、適切なコードレビューはできない。流行りに飛びつくのではなく、あえて自力で考えることで基礎力を磨くことが、AIに代替されない技術者の土台となるのだ。

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日本を飛び出し、世界の資本を「ぶんどる」

強靭な基礎力を身につけたら、それを「どこで試すか」が重要になる。

元デジタル大臣の河野太郎さんは、BTSとAKB48の差を例に挙げ、「最初から80億人を相手にしようと思っていたか、あるいは1億2000万人でいいやと思っていたか」というターゲット設定の差が、残酷な結果を生むと指摘する。

「日本という国に固執しない」という選択を提示し、河野さんは若者たちの背中を強く押す。

河野さん

今、他の国でAIに莫大な投資がされているのであれば、そこへ行けばいい。そこへ行って、自分もその投資を受け、その研究費を使い倒して、何かを成し遂げればいいんです。

皆さんのような若い人たちが最初から日本という枠をはめてしまうのは、大きな損失です。金があるところへ行き、その金を奪ってくる。それくらいの気概で全く問題ありません。

河野さんは、自身が20代でアメリカに渡り、その後シンガポール駐在などを通じて「外の視点」を体得した経験を振り返りながら、こう訴える。

河野さん

早いうちに海外へ出て、世界標準で戦うとはどういうことか、身をもって体験してほしい。若いうちは体力もあるし、たとえ叩かれても、そこから這い上がる余裕がある。

これが50歳になってから『お前、明日から海外に行け』と言われても、もう右も左もわからず、立ち直るのは非常に厳しいでしょう。

世界でやるのはやっぱり荷が重かったな、と気付くこともまた、立派な収穫です。何が足りないのかが明確になれば、それを身に付けてもう一度挑戦すればいい。その試行錯誤ができるのが、20代の特権なのです。

居心地の良い日本市場というガラパゴスを抜け出し、世界標準で叩かれる経験こそが、キャリアを飛躍させるのだ。

「若者よ、技術と資本をぶんどってこい」河野太郎はなぜ、AI時代に“早く世界で叩かれろ”と言うのか? type.jp
「若者よ、技術と資本をぶんどってこい」河野太郎はなぜ、AI時代に“早く世界で叩かれろ”と言うのか?

「最初の一枚のドミノ」を倒し、圧倒的実績を作る

世界標準の厳しい環境に身を置いたなら、そこで目指すべきは「実績」である。

『ドラゴンボール』など数々のメガヒットを生み出した伝説の編集者・鳥嶋和彦さんは、「圧倒的な実績を出せば誰からも文句は言われない」と語る。

鳥嶋さん

僕は入社2年目の25歳で『ドラゴンボール』作者の鳥山 明さんを見つけて、前作の『Dr.スランプ』が大ヒットしたことで実績を築けた。

ドミノ倒しみたいなもので、最初の一枚を倒せたら、あとはドミノを切らさないことを考えればいい。若手のうちに大きな実績を出しておけば自分のやり方を通しやすくなるし、その後はかなり楽だね。

実績を作るために必要なのは、前例や上司に従うことではない。本質を考えて「事に仕える」ことだ。

鳥嶋さん

仕事は「事に仕える」って書くでしょう? その意味をちゃんと考えれば、仕事はつらくないの。会社や上司の考え方に合わせて、前例に従って正しいやり方をするから苦しくなる。

例えば、やりたいことの承認が上司から下りない場合、本当にやりたいなら決裁者がどういう人間か、リサーチするよね。ボスを知らずに攻略しようとしたって討死するんだからさ。それでも駄目ならさらに上の上司に話を通す手もある。

本質を考えて、そこに対する傾向と対策を立てた方が結果として楽しいし、自分なりのやり方になるじゃん。決まりきったやり方の方が楽かもしれないけど、それは事に仕えていないし、自分で自分を殺しているよね。

加えて鳥嶋さんは、「相手に関心を持てば『相手から見た自分』が分かって、自分を客観視できる。要するに、視点が一つ増えるんだよ」と述べている。

他者との違いを知り、自分は何者なのかを深く考えることが、唯一無二のアウトプットへと繋がっていくのだろう。

『ドラゴンボール』編集者の“事”に仕えるものづくり哲学「圧倒的成果を出して、誰にも文句を言わせない」【鳥嶋和彦】 type.jp
『ドラゴンボール』編集者の“事”に仕えるものづくり哲学「圧倒的成果を出して、誰にも文句を言わせない」【鳥嶋和彦】

「奴隷契約」は不要。数パーセントの楽しさを味わう

常識を破り、世界へ飛び出し、圧倒的な実績を出す。これらは非常に熱量の高い挑戦だが、だからといって、人生の全てを仕事に捧げる必要もない。

プログラミング言語『Ruby』の生みの親・まつもとゆきひろさんは、「仕事との関わり方は自分で決めていい」と語る。あくまでも“仕事として”ソフトウェア開発者をやっているという姿勢も、何ら卑下されるものではないのだ。

ただ、そこで意識しておきたいのが、「学び」そのものを省略することはできないということだろう。

まつもとさん

人は時間とともに、求められる役割が変わっていきます。

ソフトウェア開発者としてキャリアを始めた人が、次第にマネジャーになったり、OSS開発をしていた人がプロダクトオーナーとしての役割を担うようになったりする。そういう変化は、ごく普通に起こります。

その変化に対応するためには、新しい立場に応じた学びが必要です。自分の役割が変わっているにもかかわらず、「もう学ばない」と決めてしまえば、環境の変化についていけなくなる可能性はありますね。

自分の人生を犠牲にする必要はない。だが、「変化を拒絶せずしなやかに構えながら、仕事の中に自分なりの楽しさを見つけ出すことが大事」だと、まつもとさんはエールを送ってくれた。

まつもとさん

どんな仕事でも、バグは出ますよね。「頭の中ではこう動くはずなのに、実際には違う動きをしている」。この期待と現実のズレがどこにあるのかを探していく作業は、まさにパズルです。

仕事である以上、100%楽しいわけがありません。でも、どんな環境でもパズルを解く楽しさや、自分で解決策を決める裁量は残っています。「向いていない」と悩む前に、その数パーセントの楽しさを味わう工夫をしてみるといいと思いますよ。

20代という特権を使い倒して視点を広げた先には、変化の波を乗りこなす、しなやかで息の長いエンジニアとしてのキャリアが待っているはずだ。

「休日もコードを書け」は正義か? Ruby父 まつもとゆきひろが肯定する“仕事と割り切る”エンジニアの在り方 type.jp
「休日もコードを書け」は正義か? Ruby父 まつもとゆきひろが肯定する“仕事と割り切る”エンジニアの在り方

※本記事は、過去の掲載記事より一部内容を抜粋・編集して作成しています

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