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技術力とは「企画を実現できる力」。企画がなければ高い技術を持っていても意味がない【特集:76世代の今 2/4】

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    特集:76世代の今

    1/4:家入一真×内藤裕紀が対談!76世代企業の逆転成功パターンに見る、10年後も生き残る企業の条件
    2/4:技術力とは「企画を実現できる力」。企画がなければ高い技術を持っていても意味がない
    3/4:グリー、はてな、ドリコム…現場を束ねるエンジニア三人が教える、変化適応の技術
    4/4: 「エンジニアはサービス業」を実践するドリコム開発部長が明かす、雇いたくなるエンジニアの見分け方

    ―― なるほど。企業が方向転換するのに合わせて、求められるエンジニア像も変わっているんですね。

    内藤 そう思う。これから求められるエンジニアは、3つのタイプに分かれるというのが僕の持論。1つ目が、さっき言ったような「①ビッグデータを扱ってデータマイニングできるスペシャリスト」

    2つ目が、「②大学院とかでもの凄く高度な基礎研究をやってるスペシャリスト」。自動学習や人工知能を活用したりできる人は、どんな時代でも希少価値があるよね。で、最後が「③自分で企画を立て、自分で手を動かしてサービスを作れる人」かな。

    純粋に「技術だけ」でやっていけるのは、この中で①と②だけだけど、これに当てはまる人はほとんどいない。たいていのエンジニアなら、③のタイプを目指すべきだと思うんだ。

    家入 分かるなぁ。そういう意味では、昔と今とで、「技術力」の定義が変わったかもしれないね。

    つまり、以前は「技術力」といえば、「高度な技術」のことだった。でも、今では「企画を実現できる力」が「技術力」だと思うんだ。だとすれば、必ずしも「高度な技術」を持っている必要はない。

    むしろ、「企画」がなければ、どれだけ高い技術を持っていても、「技術力がある人」として評価されにくいんじゃないかなあ。

    なんにせよ、一番マズいのは「仕様書がないと何もできません」って人。こういう人が入社すると、周りのモチベーションを下げちゃうしね。

    内藤 あと、ユーザー視点の有無やセンスの良しあしも、エンジニアにとって重要になってきてるよね。

    家入 そうだね。最近立ち上がったIT系企業では、デザイナー出身者が経営者を務め、エンジニアがサポートするパターンが多いみたいだよ。それだけ、UIが大事になっているということかもしれない。

    エンジニアの人材価値は「UI・UX」を学ぶことで担保される

    内藤 なるほどね。「技術だけ」のエンジニアでは、もう通用しなくなってるのかもね。優れたサービスを作るには、今やUIやUXは欠かせない要素だもんな。パッと見て使い方が分からないサービスやサイトを作るエンジニアは、厳しいと思う。

    逆に言えば、UIやUXを勉強して、変なところに「気付ける」ようになれば、エンジニアとしての人材価値は上がるだろうね。サービスをつくれるエンジニアになる上で、「気付く」ことはすごく大事だと思う。

    家入 そうそう、「魂は細部に宿る」んだよ。でも、そもそも「気付く」ことができなかったら、細部にこだわることもできないもんね。

    若い世代をみてると、10年前に比べてセンスの良い子が多いよね。僕らの若いころは、エンジニアが作ったダサいままのサービスを、そのままリリースしちゃいましたってことがけっこうあったじゃない。

    内藤 あったあった(笑)。

    家入 でも、今はそんなに見かけないよね。

    内藤 当時はPCがメインだったしね。画面が大きいから、センスよく見せるのは難易度が高かったんじゃない? 今はスマートフォンで画面が小さいから、見せやすいというはあるかも。

    家入 なるほど、それはあるかもね。あと、お手本になるようなサービスも昔に比べればたくさんあるから、センスが磨きやすいというのもあると思う。

    もし、「オレってセンスがないなぁ」と感じてるなら、優れたものをパクるのも一つの手だと思うんだ。例えばCSSとかちょっといじるだけでも、UI・UXはだいぶ変わってくると思うんだ。ただ、良いものをパクるのって、意外と難しいんだけどね。

    内藤 そうだね。表面だけパクってみても、センスよく仕上げることはできないからね。

    「なぜこのUIにしたのか?」、「こういうUIにすることで、どんなUXを生み出したかったのか?」っていう本質を分かってなければ、ただ表面だけマネしたダサいサービスになっちゃう

    家入 たぶん、ただ条件反射的にパクるだけじゃダメで、内藤くんが言ったように、それを作った人が何を考えながら作ったのか、想像して、制作者の思考をトレースしながらパクる必要がある。

    そうすることで、サービスの奥にある「哲学」が見えてくるんだ。そうやって良いものの「哲学」を学んでいくうちに、優れたセンスを吸収できるんだと思うよ。

    『LINE』が成功したのは、開発者の「哲学」が消費者に受けたから

    内藤 最近はやってるコミュニケーションアプリの『LINE』。あれの「スタンプ(大きなイラスト)」とか、良い例だよね。

    このサービスがすごいのは、「スタンプ」の送信機能を搭載したことだと思うんだけど、表層だけでこの機能をパクれば、「スタンプ送信機能を作ればヒットするコミュニケーションアプリを作ることができる!」ってなる。

    でも、LINEの本質はそこじゃない。

    家入 あのスタンプの本質って、「キモかわいい」ことだよね。そこがイイ。ああいうところに、センスって出ると思うね。普通の会社なら、多分あのままリリースしない(笑)。

    あのスタンプのおかげで、別に会話したくない時でも「元気?」って送っちゃうもんね。今オレ、知ってる女の子あてに、無差別にメッセージ送ったりしてるよ(笑)。

    多分、LINEの開発者には、ちょっとした感情の機微をスタンプに託して、コミュニケーションを図ってほしいっていう思いがあったんじゃないかな。それこそがサービスの裏にある「哲学」だと思う。

    内藤 なるほどね。LINEのスタンプ機能の場合、ボタン一つで送信できちゃうっていうのも、すごいよね。普通の企業なら、「送信間違いが増える!」とか言って絶対に採用しないよ(笑)。

    これなんかも、家さんが言った「ちょっとした感情の機微をスタンプに託して、コミュニケーションを図ってほしい」っていう開発者の意図と照らし合わせて考えれば、すごく納得がいく。

    家入 センスがある人っていうのは、要するに「思想」や「思い」を持ってる人だと思うんだ。逆に、裏に思想がないサービスなんてクソだよ。

    内藤 今後は、「自分の思想や哲学をUI・UXとして実現するために技術を使う」という考え方が、主流になるのかもしれないね。

    (3/4に続く)

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