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コンシューマーからスマホへ、配信継続中のAPI移行…『パワプロ』3大チャレンジに見る、開発チームの「攻め」のスタンス

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日本人なら誰もが知っている野球ゲームの代名詞『パワプロ』(正式名称:『実況パワフルプロ野球』)。

コナミデジタルエンタテインメント(以下、KONAMI)が開発し、家庭用ゲームの累計売上本数は約2,360万(2021年6月時点)、モバイルゲームの総ダウンロード数は約4,500万(2021年7月時点)と、圧倒的な人気を誇るシリーズだ。

スーパーファミコン時代から変わらない二頭身のキャラクターデザインに、スポーツ経験者もハマるバッティングや投球の細やかさ、サクセスモードなどの多彩な遊びの仕掛け。これらの要素が長きにわたってファンに愛されているパワプロだが、シリーズ1作目から現在までの27年の中で、アプリ版のリリースや派生タイトルの制作など、数々の大きな挑戦を重ねてきた。

しかし、KONAMIの看板タイトルともなると、下手な「攻め」は返ってファンの期待を裏切りかねない。パワプロ開発チームは、「パワプロらしさ」を維持する“守り”と、シリーズを進化するための“攻め”のポイントを、どのように見極めてきたのだろうか。

開発の裏側について、プログラマー、エンジニア、ディレクター、プランナーに聞いた。

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コナミデジタルエンタテインメント プログラマー Aさん

前職でゲームプログラマーとして従事した後、2017年中途入社。モバイル版『実況パワフルプロ野球』の開発に携わった後、新規コンテンツ開発のメインプログラマーとして企画開発業務、20人程度のプログラマーの取りまとめを担う

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サーバーサイドエンジニア Bさん

他業界にて業務系システム開発に従事した後、2012年中途入社。モバイル版『実況パワフルプロ野球』サーバーサイド業務にてとりまとめ役を担当

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ディレクター Cさん

ゲーム業界にてクライアントプログラマーとして経験を積み、2013年中途入社。入社後のキャリアチェンジにて、現在はパワプロシリーズの派生タイトル『実況パワフルサッカー』にてディレクションを担当

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オペレーティングプランナー Dさん

Web系大手グループのゲーム事業でコンテンツ運用業務に従事。2018年中途入社。モバイル版『実況パワフルプロ野球』の売上向上に向けたKPI確認~企画提案を担当

二頭身のキャラデザ、リアルな野球、サクセスモード……脈々と受け継がれる「パワプロらしさ」

各種家庭用ゲーム機やスマートフォンなど、さまざまなハードウエアで数々のタイトルが展開されてきたパワプロシリーズの始まりは1994年。スーパーファミコン用ソフト『パワプロ94』が原点だ。

パワプロのファンが考える「パワプロらしさ」の要素といえば、真っ先に「パワ体」と呼ばれる「二頭身で目だけの顔」という、独特のかわいらしいキャラクターデザインが挙げられるだろう。

さらに、高低のある投球や自由度の高い守備など、実際に野球をプレーしている感覚を味わえるシステムや操作性を備えたゲーム性。加えて、試合を盛り上げる応援や実況音声の演出、『パワプロ3』から実装された選手育成モード「サクセスモード」なども、パワプロを成す上で欠かせない要素だ。

パワプロシリーズの開発にプログラマーとして携わるAさんに「開発者が考えるパワプロらしさ」について問うと、「野球要素とゲーム要素、その両方のクオリティを追求していることだ」という答えが返ってきた。

「部署内には『野球班』と呼ばれる野球の専門家チームがあり、ルールの確認をしたり、野球ならではの面白さを取り入れるためのアドバイスを行ったりしているんですよ。

とはいえ、実際の野球を忠実に再現するだけではゲームとして面白くなりません。直感的な操作や誰でも遊べる分かりやすいシステムを維持するため、30~40人規模でチェック、レビューをしてもらっています。するどい突っ込みなんかも当然受けます。

そうすることで、「野球をする面白さ」と「ゲームをする面白さ」の両立の実現を目指しているんです」(Aさん)

パワプロ

前述の「サクセスモード」や、高校野球部の監督としてチームを育成しながら名門野球部を目指す「栄冠ナインモード」などは、本編の野球を楽しみながらも、さらにゲームとしての面白さを高めるために生み出されたコンテンツ。

「当然これらのサブ要素にも、厳格なレビューが入る」と、派生タイトルの『実況パワフルサッカー』(以下、パワサカ)の開発に関わるCさんは続ける。

「パワサカはパワプロの『サクセスモード』をメインに押し出したタイトルです。開発の際には定期的にパワプロ開発チームとミーティングをしたり、何かアイデアが出てきた時は監修してもらったり、キャラクターイラストのチェックを受けたりと、パワプロ本体からのレビューを密に受けています。

パワプロの全てを知ったメンバーからの厳しい目が入るからこそ、メインシリーズのみならず、アプリ、アーケード、派生タイトル全てにパワプロらしさが保たれているのだと感じますね」(Cさん)

三つの事例に見るパワプロの“挑戦”

こうしてシリーズの「らしさ」を維持しながらも、27年の中でさまざまな挑戦を経て進化してきたのがパワプロだ。

特に、過去の歴史の中で最もチャレンジングだった取り組みを聞くと、以下の三つのトピックスを紹介してくれた。

パワプロ開発チームの挑戦

事例①:モバイル版(スマートフォンアプリ版)の移行
事例②:派生タイトル・新規コンテンツの開発
事例③:独自エンジンでの開発手法

事例①:モバイル版(スマートフォンアプリ版)の移行

コンシューマーゲームが原点のパワプロにとって、2014年リリースのスマートフォンアプリ(以下:パワプロアプリ)は大きな挑戦だった。パワプロはフルスクラッチで開発しているため、新規プラットフォームでリリースする場合、仕様に合わせて一からシステムを作り替える必要があったからだ。

さらに、操作方法も従来のコントローラー操作からタッチ操作に変わるため、「パワプロの野球」をいかにスマホ上で再現するかは開発チームにとってかなりの難題だった。手探りの状態から試行錯誤し、レビュー、改善を経て、アプリでも楽しめるパワプロが生まれたという。

事例②:派生タイトル・新規コンテンツの開発

メイン・サブシリーズ以外にも、ゲームボーイ用ソフト『パワプロクンポケット』シリーズ(以下、パワポケ)やパワサカなど、パワプロの遊びパートであるサクセスモードをメインに据えた派生タイトルがある。

またパワプロアプリには、バッティングで的を打ち抜くヒッティングスナイパーや、ホームランで敵にダメージを与えて倒すといった、従来のシリーズにはない新しいコンテンツも。

シリーズでつちかってきた独自の設定・仕様を活用しながら、「“野球ゲーム”というくくりの中でどれだけ遊べるか」を常に挑戦し続けている。

事例③:配信を継続しながらのAPI変更

前述の通り、現在のパワプロは、フルスクラッチの“野球エンジン”と呼ばれる独自エンジンで開発されている。そのため、各プラットフォーム対応やシステム改修の際には技術的な挑戦に事欠かない。

特にエンジニアにとってはiOS版のパワプロアプリにおけるOpenGLからMetal(新規描画API)への移行作業が印象深かったとAさんは明かした。

「ユーザーへの影響を最小限に抑え『タイトルを運営しながら描画APIに乗せ換える』という思い切ったチャレンジ。

OpenGLであることを前提に描かれたものが運営年数分蓄積されていて、さらにMetal移行作業中もOpenGLのコードは増え続けていく中、安全面を担保しながらの差し替えは検討・挑戦の連続でした。万が一のことがあってはならないと、手に汗を握る開発でしたね」とAさんは話す。


上記の挑戦の事例は、パワプロ開発の歴史の中のほんの一例に過ぎない。

サービスの不具合や停止につながるラインは厳格に見極める必要はあれど、既存システムのまま改修することで不具合が起こる可能性があるのなら、一からシステムを作り直す選択を取る。そうした「攻め」の姿勢がパワプロ開発チームの基本スタンスなのだという。

一方で、「ときには守るべきポイントの判断も必要だ」とサーバーサイドを担うBさん。

「例えばこれまでのシステムを変更するといった時に、既存ユーザーへの不利益になりかねない場面もあります。基本的には新しい変化を求めてはいきますが、ユーザー側にとってそれが本当に求めているものかを見極める力が必要です。

ファンの期待を裏切らないことに細心の注意を払いつつ、新しい挑戦の落としどころを見つけ出しているのです」(Bさん)

パワプロ

守るべきポイントと攻めるべきポイントの見極めには、定量・定性分析も欠かせない。パワプロアプリでは新規ユーザーを取り込むために人気のゲームやアニメタイトルとコラボへ挑戦すること以外にも、既存シリーズファンやコアユーザーなどに納得してもらった上で施策を考えることもある。

その際には、「KPIから見えてくる数値を分析するといった定量的な側面と、SNSやユーザーアンケートから吸い上げた定性的な側面から守るべき点・挑戦すべき点を見極めている」と話すのはDさん。

「速報値の報告は毎日、まとまった状況報告は毎週欠かさず実施。イベントや施策ごとに数値の振り返りも行い、今後の改修や新規施策の方向性は数値の裏付けを持って判断します。分析&改善を繰り返すことにより、数値的な裏付けをもって企画・運営力を高めているのです。

加えて、パワプロアプリの基本方針は『ユーザーファースト』なので、並行してSNSやユーザーアンケートを通じて“実際のユーザーの声”を見ることも行なっています。

開発チームでは気付かない課題や新たな発見が隠れていることがあるので、必ず皆さんの声には目を通した方が良いと考えていますね」(Dさん)

パワプロ

定量、定性データによる根拠を重視しながらも、攻めのスタンスは崩さない。攻めながらも守るべきところは守り切る。まさに「野球」的な考えが、パワプロ開発チームには浸透している。

長寿タイトルだからこそ、開発者冥利に尽きる

そんなパワプロ開発チームで働く醍醐味を問うと、Aさんは「プログラマーでも、企画提案からゲーム開発に関わることができる点」を挙げる。

「入社してからOJTでパワプロの制作の理解を始めましたが、プログラマーでも実際に企画を立てて先輩プランナーへ提案もします。先輩からのフィードバックを受けながら“企画もできるプログラマー”へと成長することができるのです。

そうした基礎があるからこそ、開発工程において自分が『良い』と思った機能やイベントをゲームの中に取り入れることができる。ゲームを作るだけではなく、“面白くする”ところまでこだわりたい方には、この上ない環境だと思いますね。

中には、プログラマーからプランナーへ役割を変える方もいるんですよ」(Aさん)

KONAMIには、こうした企画提案のチャンスが職種やポジション問わず社員全員にあるという。例えばパワプロアプリでは、キャラクターの別バージョンがリリースされる際の新しい衣装や性能のアイデア、他ゲームタイトルやアニメなどとのコラボイベントを開催する際の企画やデザインなどを、全社で公募することがあるそうだ。

オペレーションプランナーのDさんは、「自分のアイデアが通ったときには喜びもひとしおですし、また提案しようと気持ちがうながされます。」とほほ笑む。

「長寿タイトルであるからこそユーザーの幅も広く、各施策に対する反応の分析や改善にもより力が入ります。得意とする数値的な裏付けをもっての企画の経験もたくさん積めました」(Dさん)

ディレクターのCさんは子どもの頃からパワプロを遊んできた生粋のシリーズファン。好きなタイトルの開発に関わることができるのも、パワプロのような長寿タイトルならではだという。

「子どものころから遊んできたタイトルに、こうして作り手として携われるのは長く続くタイトルだからこそできることです。『ファンの気持ちが分かる』ことはゲーム開発において大きなアドバンテージになりますし、これまでの歴史に触れながら、さらに面白いものを作るというのは、開発者冥利に尽きますね」(Cさん)

パワプロ

また他業界から転職を果たしたサーバーサイドのBさんは、脈々と受け継がれてきた長寿タイトルだからこその自身の経験を振り返ってこう話した。

「転職後は“とりあえずやってみよう精神”でエンジニアとしての挑戦を日々行ってきました。周囲の先輩方のフォローも厚いので異業界からゲーム制作へのジョインに関しては不安や心配はなかったです。

自分にとっての大きなポイントは、開発しているゲームの向こう側にはパワプロを長く愛しているたくさんのお客さまがいること。日々取り組んでいることに対してダイレクトな反響が返ってくるので、責任・やりがいを非常に感じます。

この思いは、この先パワプロの開発にジョインする人たちにもしっかりと受け継ぎたいですね」(Bさん)

開発に関わる全員が「パワプロ」をより面白いゲームに作り上げるために「攻め」のスタンスを取っている。そして、ファンの期待を裏切らないよう、守るべきところはしっかり守る。そうした開発チームの熱意が、パワプロの27年の歴史を紡いできたのだ。

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取材・文/阿部裕華 編集/河西ことみ(編集部)

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