エンジニアtypeが運営する音声コンテンツ『聴くエンジニアtype』の内容を書き起こし! エンジニア読者が抱える仕事やキャリアのお悩みに、注目企業のCTOやさまざまな領域の第一線で活躍する技術者が回答します
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デキる技術者と自分を比べて敗北感…挫折の乗り越え方をSansan藤倉成太・ZOZO瀬尾直利が回答!【聴くエンジニアtype Vol.8/MC・キャディばんくし】
技術力や知識量で評価が決まるシーンも少なくない技術者の世界。周囲と比較して「自分なんか……」と思ってしまう人もいるのでは?
今回の聴くエンジニアtypeは、そんな「挫折感」がテーマ。藤倉成太さんと瀬尾直利さんの挫折体験や乗り越え方を、MC・ばんくし(河合俊典)さんが詳しく聞いていく。
【MC】
キャディ株式会社 Tech Lead
河合俊典(ばんくし)さん(@vaaaaanquish)
【Speaker】
Sansan株式会社 執行役員/技術本部 インフラ戦略部 部長/同 海外開発拠点設立準備室 室長
藤倉成太さん(@sigemoto)
【Speaker】
株式会社ZOZO 技術本部 本部長 兼 VPoE
瀬尾直利さん(@sonots)
【今回の相談】
そこそこ経験も積み、エンジニアとして自分のスキルに自信がついてきたのですが、最近、とても優秀なフルスタックエンジニアに出会いました。圧倒的なスキルの差に「彼と張り合っても勝てない」と挫折感を味わっています。
みなさんの挫折経験や、挫折の乗り越え方を教えてください。
挫折を挫折と思わない「相手の良いところを盗む」「自分に合った方向にピボットする」
河合:今回は挫折の乗り越え方についての相談ですね。僕も相談者さんの気持ちはよく分かります。
藤倉さんはアメリカでも強いエンジニアと渡り合ってきたかと思いますが、挫折経験はありますか?
藤倉:楽観的に聞こえるかもしれませんが、私は挫折というものをあまり意識していないですね。
特定の分野において自分が世界一にならない限り、より優秀で、知識を持った人が他にいるわけですよね。毎回挫折していたら、一体どれだけ挫折感を味わわなければならないのでしょうか。
年齢、性別、国籍などは関係なく、すごい人は大勢います。自分よりも一回りも年下の人に対して「すごいな」と思うこともあります。
そういう人に出会ったら、私はうれしくなっちゃいます。「あの人のすごいところ、まねしちゃおう!」と思います。
自分より知識が豊富な人と出会うということは、それだけ吸収できる機会が増えるということだと捉えています。質問には「張り合っても勝てない」とありましたが、私は「すごいな、まねしたいな」「教えてもらおうかな」と思う方が多いですね。
河合:挫折っていうよりも、「いいところを盗もう」という考え方をしているんですね。
藤倉:そうですね。すごい人との出会いは、チャンスでしかないです。
瀬尾:藤倉さんの考え方、すごくいいですね。
私は5年間の博士一貫課程でアメリカのメリーランド大学に通っていたのですが、 その時の同級生は各国で最も優秀な大学の出身者ばかり。国内でイメージすると、「自分以外はみんな東大出身」といった環境でした。
留学生は評定でB以上を取らないと退学になってしまうのですが、相対評価なので優秀なメンバーたちと張り合わなければならず、つらい戦いでした。博士一貫課程で入学したにも関わらず、修士号だけをとって博士号をとらずに辞めたので、挫折とも言えるかもしれません。
ですが、私としては挫折というよりも「ピボットした」というイメージなんです。理論研究の研究室だったのですが、「理論研究よりもプログラムを作る方が面白いな」「それを通して世界に貢献する方が好きだな」と気が付いて、進む道を変えたので。
自分が得意なことや本当にやりたいことを突き詰めるためにピボットする。そんな乗り越え方をしてきました。
河合:実は私も大学は修士まででして、研究に関しては鳴かず飛ばずだったんです。最終的には就職を選んでSansanに入社しました。
今でもたまに「博士課程に進みたい」「あの時の挫折を克服したい」と思うことがあるのですが、瀬尾さんにもそんな時期はありましたか?
瀬尾:若い時は「博士号を取らずに辞めてよかったのだろうか」と悩みました。でも今は、もう1回博士課程に進もうとは思ってないですね。
仕事が楽しいので、目の前のものを突き詰めていきたいですね。
藤倉:瀬尾さんのお話を聞いて気付いたのですが、私は仕事において「張り合わざるを得ない状況」をあまり経験してきてはいないのかもしれません。
ただ……例えば、私はスポーツが好きなのですが、中には相対比較で点数が出る競技もありますよね。相手の中には「絶対勝てないな」という人も、もちろんいます。
そういうケースであっても「挫折」という感情にはならないんですよね。ここでも「どうやったらできるんだろう」「まねしよう」と思う。私は人と張り合う気持ちがそこまで強くないのかもしれないですね。
河合:どんな場合でも「勝つぞ」というよりも「まねするぞ」と考えるマインドはどこからきているのでしょうか?
藤倉:私も「追いつきたい」「追い越したい」とは思います。ずっと人の後塵を拝していればいいとは思っていないですね。
できれば人よりも優れた自分の能力を一つでも多く見つけたいし、身につけたいし、伸ばしていきたい。ただ、それができないからといって挫折を味わうことはないです。
「あの人に追いつけた」「少しでも先に行けた」と感じて自分が納得できるまで、ずっとずっとまねをし続けるだけです。そして「明日はもっとできるようになろう」「来年はもっと頑張ろう」と考えるので、そこに終わりはないんですよ。
瀬尾 :いいですね。ZOZOでも評価制度は絶対評価にしているので、張り合うのではなく、リスペクトし合って仕事ができるようになっています。
「張り合う」という考え方ではなく、自分の成長と向き合っていける環境になっているかな、と。
河合:「リスペクト」というキーワードは素晴らしいですね。藤倉さんのお話にも、随所に相手へのリスペクトを感じました。
藤倉:スポーツの場合は、大会に出るためには上位何%に入らねばならない、という場合もあります。そんな時も、上位何%に入れるかどうかでしかなくて、特定の誰かと競い合っている感覚はありません。
河合:それは「うまくなりたい」という気持ちが強いということですかね?
藤倉:そうですね。人と比べるのではなく、今よりもうまくなるにはどうすればいいか、という感覚です。
環境の変化や目標の再設計で、挫折をかわしていく
河合:お二人ともマネジャーポジションですが、メンバーが挫折しそうな時はどうしますか?
瀬尾:実際、「今の仕事は向いてない」という相談をされたことがあります。
その時は、本人のキャリアの希望を詳しく聞いた上でどうすべきかを考えた結果、ポジションを異動することになりました。
がむしゃらに頑張ってなんとかしろ、とは思いません。本人の意向を踏まえて、うまいかわし方を一緒に考えていくようにしています。
河合:周りに相談して見方を変える、環境を変える、というのも挫折の乗り越え方ですね。
藤倉さんは、ご自身のメンバーから「周りが優秀すぎて不安なんです」と相談されたらどうしますか?
藤倉:まずは、本人に対する評価をマネジャー視点で明確に伝えます。自分が思ってるよりも周囲からは評価されていた、というケースもありますからね。
どう見ても壁にぶつかっている様子であれば、目標がふわっとしないように具体的なアクションまで一緒に落とし込んでいきます。
目標は、自分がモチベーションを持って向き合えるもので、客観的にも手応えを感じられるように設定した方がいいので、そういう観点で目標設定に寄り添うことが多いです。
河合:お話を聞いているうちに気付いたのですが、今回の相談者さんは優秀なフルスタックエンジニアと出会ったことで、その人と張り合った結果による評価に固執しているのかもしれませんね。
客観的に見ると自分の方が長けている側面があるかもしれない、と気付いてもらえたらと思いました。
6月25日(日)『聴くエンジニアtype』公開収録を赤坂で開催!
ポッドキャストチャンネル『聴くエンジニアtype』初の公開収録を東京赤坂の会場で開催します。MCのばんくしさんをはじめ、澤 円さん、池澤あやかさん、小城 久美子さん、増井 雄一郎さんが、エンジニアから寄せられた仕事・転職・キャリアの悩みに回答。収録後には懇親会や、書籍サイン会も開催予定です!
※公開収録はエンジニアtype主催のテックキャリアカンファレンス『ECDW2023』の中のコンテンツとして開催いたします
【開催場所】
〒107-0052 東京都港区赤坂2-5-1 S-GATE赤坂山王ビル 5階
株式会社キャリアデザインセンター 赤坂山王オフィス
【参加費】
無料
※懇親会は15:30~30分程度の予定です
※懇親会への参加は自由です
【定員】
60名(先着)
【エントリー方法】
以下より詳細をご確認の上、エントリーフォームより必要事項をご記入の上エントリーください。
文/まゆ
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