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ベテラン人事との対話で見えた「30代を過ぎても値崩れしないSE」4つの行動原則【ござ先輩責任編集】

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    【原則2】「参加者」より「主宰者」。勉強会は自分で運営せよ

    各種勉強会に参加するエンジニアは多いが、それを「主宰」する人数はわずか。だからこそ価値ある経験が積める

    各種勉強会に参加するエンジニアは多いが、それを「主宰」する人数はわずか。だからこそ価値ある経験が積める

     仕事柄、「会計系のITについてもっと力量をつけたいけれど、今の会社にはそういうチャンスがない」というような相談をよく受けます。そうした場合、大抵わたしが申し上げるのは、「だったら今のうちに自分で勉強を始めて、できれば勉強会を主催しなさい」ということ。

    ござ先輩 なせですか?

     そうしたら、いつか会社がその分野の経験を必要とした時に「そういえばアイツがいたな」って思い出してもらえるかも知れないから。それって大きな違いだよって。

    ござ先輩 確かに勉強会は参加するより自分で主催した方がはるかに勉強になります。自分に何が足りないか、何を勉強しなければならないかがよく分かりますからね。でも、自分にはハードルが高いって頭から思っている人が多いんですよね。

    黛 「自分に勉強会の主催なんてまだまだ」なんていう人は、勉強会は自分が教えるものだと思い込んでいるのでしょう。でも、実際は教えることと勉強会を主催することは別物です。自分に教えるだけの力がないなら、専門家を呼べばいいだけの話なのですから。

    ござ先輩 そういう活動を通じて、意外と身近なところに同じ志の人がいたことに気付くなんてこともありそうですね。

     そうだと思います。自分が所属している組織が、なかなか自分の成長につながらないって言う人は多いですが、今や組織を飛び越えてコミュニケーションできる環境になってきているじゃないですか。やる・やらないは、もはや個人の意識の差以上のものではないと思います。そもそも誰もやっちゃいけないなんて言っていないのですから、気が付いた人からどんどんやればいいんですよ。

    ござ先輩 わたしの知人に、昼間は金融系の開発会社でCOBOLのパッチを書いている人がいるんですが、彼は数カ月にわたって睡眠時間を削って、Javaのオープンソースコミュニティーに貢献していたそうです。彼のように直接仕事にならなくても、成長できる機会を自分でつくることはできるんですよね。

     もし身近にいなくても、ネットで交友を辿ればきっと出会えます。もちろん「会社が」、「上司が」、「忙しいから」っていう理由は確かにあるでしょう。でもそれで何もしないっていうことの言い訳になりません。

    ござ先輩 いろいろしがらみはあるでしょうが、必ず分かってくれる人は現れますからね。

    【原則3】2年以上停滞したら”ルームランナー”の上にいないか検証せよ

    必死に走り続けても、前に進まない――。キャリア形成でこうした時期が長続きし過ぎるのは危険だ

    必死に走り続けても、前に進まない――。キャリア形成でこうした時期が長続きし過ぎるのは危険だ

    ござ先輩 かつてはプログラマーからSEへと段階を踏んだ後、「次はプロジェクトマネジャーを目指す」というキャリアの定石が存在していました。でも、昨今は若い人の経験を積ませるような案件も減ってしまって、SEなのかプロジェクトマネジャーなのかはっきりしないまま、組織の中に滞留しているような印象があります。

     確かにSEから先のキャリアパスは見えづらくなっている感覚はありますね。採用する側としても、プロジェクトマネジャーはまだまだ欲しいのですが、なかなか採れないというのが現実です。

    ござ先輩 先行きが見通しづらい状況の中で、大切にすべきことってどんなことだと思われますか?

     これは新卒採用の時によく話すことなのですが、機会があるごとに「まず自分が進むべきゴールは必ず持ちなさい」と伝えています。

    ござ先輩 そのココロは?

    黛 「常に自分が進むべきゴールを考えながら目の前の仕事にも全力で取り組んで欲しい」という意味でお話しするのですが、これがなかなか難しい。将来の夢は見据えているけれど目の前の仕事に身が入らない人もいますし、目の前の仕事に没頭しすぎて目指すべきゴールを持たない人もいる。本当はこの両方をバランス良く持つことが大事なんですけどね。

    ござ先輩 そもそも夢ばっかりで与えられた仕事もこなせないような人は、おそらく次のステップにいけないでしょうから論外ですけど、目の前の仕事に忙殺されて将来が見えないと不安がっている人は多そうですね。

     ええ。おっしゃるように、目の前にある仕事をやるのは大前提です。それに経験を積んでいく過程でゴールは変わっても構いません。改めて定めたゴールに向かって歩き出せば良いだけですから。でも、そもそもゴール自体が存在しないと、自分を取り巻く環境に大きな変化に見舞われるたびに振り出しに戻るってことになってしまう。それだとやっぱりつらいですよ。

    ござ先輩 黛さんは「振り出しに戻る」って表現されましたけど、仕事に対して全力で取り組んでいるのに、キャリアに恵まれないエンジニアを見ると、いつも「ルームランナーの上で走っているようだ」と感じていました。今のように先行きが不透明な時代であればなおのこと、自分自身のやりたいことや目指すべき道っていうのは常々考えておかないといけないんですね。

    黛 そう思いますね。

    【原則4】活力は休息から。あえて仕事を忘れる時間をつくれ

    ござ先輩 目標設定とそれに向かってちゃんと進めているかどうか、自分自身でチェックすることの大切さがわかったとしても、どうしたらいいかわからないっていう人も多そうですね。

    日々多忙なプロジェクトを前にすると、余暇などいつ取れるのか…という気になるが、休暇を取らないマイナス面も

    日々多忙なプロジェクトを前にすると、余暇などいつ取れるのか…という気になるが、休暇を取らないマイナス面も

    黛 そうなってしまう一番の理由は、休まないってことだと思います。

    ござ先輩 プロジェクトのタイミングによっては、なかなか休みが取れなかったり、どうしても長時間残業を余儀なくさたりするってことはありますからね。

     ええ。そうなんです。それに、家に帰ってもずっと仕事が頭を離れないってことってありますよね。でも、それじゃダメなんですよ。

    ござ先輩 それ、すごく分かるなぁ。

     どこかで完全に仕事を忘れる時間を持たないと。落ち着いて物事を考えたり、次の行動を起こす余力もエネルギーも、そうした休息がないと生まれてきません。このデフレの世の中、多少お金がなくても何とかなりますが、時間だけは自分で何とかやりくりして生み出すしかない。やっぱり休まないとダメになってしまいますね。

    ござ先輩 おっしゃる通りですね。わたしも、激務に振り回されて続けてつぶれてしまったエンジニアを何人も見てきましたから、よく分かります。でも、今のお話を踏まえた上で、ちょっと逆説的な言い方をさせてもらうと、一度は自分の限界まで仕事をするっていうのも必要なことではないですか?

    黛 それは絶対に必要。仕事上でやり切ったと思える経験をしたことがあるのとないのとでは、大きく違います。1度は経験しておくべきでしょうね。

    ござ先輩 この仕事って、やろうと思えばどこまでも突っ込んでいくことができる仕事じゃないですか。ですから、時として精神的にも肉体的にもスゴく追い込まれてしまう場合がある。でも、自分の限界を知っていれば、逆算して仕事に取り組めるようになりますから、自分の許容範囲をちゃんと理解しておくことは、長くエンジニアとして稼ぎ続ける上でも大事なことだと思います。

     仕事から離れしっかり休むことは、疲れを取る以上に、自分の興味の幅を広げ、顧客の立場に立ったものの見方について考える余裕を生むという効能もあります。それが、結果的に自分のビジネスリテラシーを意識したり、向上しようという意欲にもつながってくるんです。

    ござ先輩 やっぱり客観的に自分を見るための時間を取るって大事ですね。

     そうでなければ長くこの仕事を続けることはできませんよ。

    ござ先輩 今回はお時間を頂きありがとうございました!

    取材・文/武田敏則(グレタケ

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