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「成長のトリガーは、技術に対する健全な課題意識」日本総研の育成プログラムに見る、エンジニアの成長を促す一手

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キャリアを重ねると、必然的にチームをまとめるなどマネジメントの仕事が増えてくる。順当なキャリアアップではあるものの、エンジニアとしてのキャリアを考えた際に「自分で手を動かせなくなっていく」「技術に触れる機会が減ってしまう」という不安やもどかしさを感じる……というのはよくある話だ。

エンジニアという仕事が好きであればあるほど「最新技術に触れていたい」「技術領域で強みを持ち続けたい」という思いを持つ人も多いだろう。事実、技術力の衰えはエンジニアとしての市場価値低下につながることもある。

そんな中、SMBCグループのシステム開発を担う日本総合研究所(以下、日本総研)では、エンジニアの技術力向上にフォーカスした人材育成を強化しているという。一体どのような取り組みを行っているのか。育成プログラムを企画した金光 淳一郎さんと、受講者の高橋 翼さんに話を聞いた。

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日本総合研究所
技術統括部 部付部長 兼 シニアエキスパート
金光 淳一郎さん

2003年、日本総合研究所に新卒入社し、クレジットカードのウェブシステム開発を担当。17年よりクレジットカード会社をはじめとする複数のグループ会社のインフラを構築。22年以降、全社のアーキテクチャ活動として各種の制度立ち上げや標準化を推進している

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プラットフォーム基盤システム本部 チーム長
高橋 翼さん

2011年、日本総合研究所に新卒入社。銀行システムのインフラ系プロジェクトを複数経験し、23年より新たなプライベートPaaSの企画や開発プロジェクトを担当。「高度技術者人材 候補育成プログラム」に一期生として参画中

PMのジレンマを解消する技術者育成プログラム

ーー日本総研では、エンジニアの技術力向上を後押しする育成プログラムを新設したと伺いました。育成支援に注力するに至った背景を教えてください。

金光:IT業界全般にいえることですが、複数のパートナー企業と協力して一つのシステムを作るケースが多く、日本総研はベンダーのエンジニアをまとめるプロジェクトマネージャー(PM)の立場で参画することが多いのが実態です。そのため、マネジメントスキルは必然的に成長しやすいのですが、逆に技術力は養いづらいという課題がありました。

日本総研のITソリューション部門では、「SMBCグループをITでけん引するテックカンパニー」を目指しています。2024年度からスタートした「高度技術者人材 候補育成プログラム」は、私たちが目指す姿を実現するために全社を挙げて技術者を育成することを目的に創設した取り組みです。

もともと日本総研には「エキスパート認定」という制度があり、さまざまな専門領域のスペシャリストが認定されています。現在は約50名が認定を受けていますが、この育成プログラムを通じてさらに人数を増やせたらと考えています。

ーー具体的にはどのようなことを学ぶプログラムなのでしょうか。

金光:学ぶ内容は一人一人異なります。受講生は受講期間の1年を通して何を学びたいのか、自分で考えた上でプログラムにエントリーしてもらっています。24年6月からスタートし、現在21名が一期生として受講中です。

通常業務と並行して進めていくため、受講期間中は一律で作業工数と予算を付与しています。

金光 淳一郎

ーー全員が同じ課題に取り組むわけではないんですね。

金光:はい。受講生が自らテーマを決め、メンターからアドバイスを受けながら進めるスタイルです。予算の使い方も人それぞれですよ。

エキスパート認定を受けているエンジニアたちに「どうやって技術力を上げてきたのか」と聞くと、ほぼ全員が「時間をかけて、自力で身に付けてきた」と答えています。私自身もエキスパート認定を受けていますが、振り返ってみるとやりたいことに対して任せてくれた上司、メンバーの理解があったからこそエンジニアとして成長できたと思っています。

今後、より多くのエキスパート認定者を増やし、組織的・計画的にテックカンパニーを目指すためにも、「これを学びたい」という本人の意欲と、それをサポートする環境が必要だと考え、この育成プログラムを作りました。

ーー高橋さんは、一期生として本プログラムを受講中と伺いました。受講しようと思い至った経緯を教えてください。

高橋:私は大学院で情報系の勉強、研究を進める過程で多くの時間プログラミングに取り組んできました。製造工程については達成感を得ていたため、就職先では、さまざまな人たちをまとめて一人では作れないようなシステム開発をしたいと思っていました。日本総研に入社してからは、若手から上流工程を経験できたので、理想通りの環境だと感じました。

しかし、経験を積むにつれて自分の技術力に対する不安が募っていくのを感じました。プロジェクトマネジメントの中で関わるITベンダーのエンジニアたちに、自分の技術者としてのスキルを見られているような気持ちにもなることもありましたね。

マネジメントの立場にあるのなら、ベンダーのエンジニア以上の技術力を持つべきではないかと考えていた時に本プログラムの募集を知り、すぐに受講を申し出ました。

業務と並行しながら学ぶのは簡単なことではないですが、会社のサポートの下でチャレンジできるのはありがたかったですね。

高橋 翼

エンジニアが成長するエンジンは「これを学びたい」という思い

ーー現在受講中の方々は、どのようなテーマに取り組んでいるのですか?

金光:普段の業務では扱う機会が少ないながら、将来的に期待される技術やテーマに取り組むメンバーもいれば、すぐにでも業務利用が期待できる技術を検証しているメンバーもいます。

生成AIを使ってシステムの品質向上を目指したり、データベースのアーキテクチャを突き詰めたりと、興味のベクトルは人それぞれですね。

ーー高橋さんはどんなテーマを選んだのでしょうか。

高橋:私は高品質なソフトウエア開発手法をテーマに研究を進めていて、クリーンアーキテクチャや関数型プログラミングなどの有効性について検証しています。

短期で効果が期待できるものや実務に関わる研究も興味深かったのですが、せっかくの機会なので長期的な展望を見据えたテーマを選びました。

関数型プログラミングに触るのは初めてだったので、まずはいくつかの言語を覚えるところから始めました。関数型言語には、大きく分けて「純粋関数型」と「非純粋型」があります。一般的なプログラミング言語に慣れている自分は非純粋型の方が入りやすかったため、まずはScalaという非純粋型言語を学びました。勉強を始めてから約1カ月後に行われた社内のプログラミングコンテストにScalaで挑んだ結果、入賞することができました。

現在は、関数型プログラミングの考え方を取り入れた高品質なプログラムへの改良に取り組んでいます。

高橋 翼

ーー今回の学びは、今後のエンジニアとしてのキャリア形成にどのように役立ちそうですか?

高橋:コンプレックスだった技術力を高める機会をいただけたことで、キャリアに対する漠然とした不安が消え、将来の選択肢も広がりました

これまでは自分の技術力に不安があるが故に、PMとしても自信を持てずにいました。今なら、PMとしてマネジメントを極めることも、技術力をさらに磨いてエキスパートを目指すこともできそうです。

エンジニアの“ゆでガエル”化を防ぐ、健全な課題意思

ーー日本総研が技術者の育成に注力していることが伝わってきたのですが、変化が激しいこの業界で「求められる人材」であり続けるのは簡単ではないですよね。

金光:そうですね。ただ、「学び続けること」が大切なのは今後も変わりません

私は03年に入社しましたが、スマートフォンのアプリケーション、ビッグデータ、生成AIなど、10年サイクルで新しい技術の登場を目にしてきました。今後も変化の波は押し寄せてくるでしょうから、中堅・ベテランとなっても、好奇心を持って学び続けることが大切です。

だからこそ日本総研では、本プログラムを含め、エンジニアが学び続けるための支援を惜しまずに続けていきたいと考えています。

金光 淳一郎

ーーエンジニアの好奇心に応えることで、成長を後押ししていきたいと。

金光:おっしゃる通りです。エンジニアは、日々やらなければならない仕事が多く、目の前のタスクをこなしているだけでも時間は過ぎていってしまいます。気付かないうちに「ゆでガエル」にもなりかねません。そうならないためには、常に健全な課題意識を持ち続ける必要があります

なかには、自分の理想と現実のギャップに悩むエンジニアも多くいるでしょう。しかし、理想がなければギャップに気付くことさえできません。生まれた課題意識を自分の言葉でポジティブに転換し、成長し続けたいと思う仲間をどんどん増やしていきたいですね。

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日本総合研究所

文/宮﨑まきこ 撮影/桑原美樹 取材・編集/秋元 祐香里(編集部)

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