

万博サウナで“ととのう”の先へ!? 世界初×最先端×唯一無二がギュウギュウにつまった新感覚サウナの全貌
エラー通知、改修、テスト、レビュー、エラー通知、改修…そんな繰り返しの毎日に、脳も体も疲弊している。
「そんな日にはサウナだ!!!」
という“サウナ―エンジニア”のみなさんには、ぜひ技術のアップデートだけでなく、サウナの概念もアップデートしてほしい。
2025年大阪万博に現れた「太陽のつぼみ」は、単なるリラックス空間ではない。世界初のユニークな膜構造、3Dプリンター製水風呂、そして音響・照明が織りなす没入体験……エンジニアならずとも心引かれる最先端テクノロジーが満載! その革新的な全貌を徹底解剖しよう。
もちろん、世界にたった一つ、万博開催期間中の「今」しか味わうことができないので必見だ。
目次
万博サウナ「太陽のつぼみ」とは?

万博サウナ「太陽のつぼみ」公式HPより
サウナといえば、木材に包まれた空間をイメージしがちだが、世界で一番面白いものが集まる万博のサウナは一味も二味も違う。
「太陽のつぼみ」という名の通り、花が開くような形状をしたサウナ空間が特徴。サウナ内部に自然光がたっぷりと降り注ぐように、軽量で高い断熱性と柔軟性を持つ「特殊な膜(ETFEフィルム)」が採用されていたり、3Dプリンター技術で作った水風呂があったり、繊細で力強い膜の技術と、自然の力が織りなす全く新しいタイプのサウナだ。
パビリオン内のゾーニングMAPがこちら。

万博サウナ「太陽のつぼみ」メディア資料より
上図の右から、「つぼみのように熱を包むサウナ」「光に染まり風が抜けるラウンジ」「開放的な水風呂」という個性的な3棟が、緑豊かなプラットフォームと共に豊かなサウナ体験を創り出す。
エンジニアなら特に注目したい! 見どころ四つを一挙紹介
この万博サウナ「太陽のつぼみ」は、一体何がそんなに最先端で、唯一無二なサウナなのか?
エンジニアとしても、ぜひ押さえたいポイントも添えて紹介していこう。
【ココがすごい①】世界初のユニークな構造
まず、その構造の革新性だ。最小限のアルミフレームと特殊なフィルムと空気だけで構成された、これまでにない膜建築なのだ。特殊なフィルムは「ETFEフィルム」(厚さ0.25mm、重さ440g)と呼ばれるもので、自然光を透過する。
ETFEフィルムは、フッ素樹脂をフィルム状に圧延した高機能フッ素樹脂。ガラスに代わる新しい建築表現が可能な材料として注目されているんです。
テトラ形状に膜を張ることで、最小部材で最大限の空気ボリュームを包むことができ、軽量ながら断熱性を備えた膜ならでは柔らかいデザインを実現しました。
この膜、光を拡散する梨地ETFEを採用しているそうなので、朝の光、昼の光、夕方の光……とその時々の太陽光を透過し、めちゃくちゃ綺麗なのである。
エンジニアtype編集担当が訪れたのは4月初旬の夕方18時頃。その時間帯の光はこんな感じだった。


強い膜の技術と、自然のエネルギーをびんびんに感じるはずだ。
ちなみに、サウナはスチームで70〜80度程度。ガイドによるアナウンスを聞きながら、ロウリュなどで汗を流す。
【ココがすごい②】3Dプリンターで作られた水風呂
膜のサウナでいい汗をかいたら、水風呂へ行くわけだが、その水風呂は3D技術で作ったそう。
それがこちらだ。

担当者によると、この水風呂の製作に3Dプリンター技術を用いているほか、水をかけると固まるコンクリートキャンバスをプラットフォームの仕上げに使用するなど、膜材だけでなく新しい技術や素材を実験的に活用しているという。
そんな作り手のチャレンジングな姿勢に思いを馳せながら、リラックスするのも良いだろう。
水風呂は約16度程度。潜っていただくのもおススメです!
え、いいんですか?
はい、潜水ウエルカムです! 水の中では、海の音やイルカ、くじらの鳴き声が聞こえてくるので、リラックス効果抜群です。
また、太陽のつぼみが珍しいのは、外気浴だけでなく、ブレインスリープマット(身体に合った寝姿勢とフィット感を感じられる最新マット)に寝転び、内気浴ができる点にもある。

写真左に見える水釜のようなモニュメント(これも3Dで作ったそう!)から流れる水の音を聞きながら、「ととのう」を満喫できる。サウナは合計で3セット楽しめる。
【ココがすごい③】音響や照明が駆使されたイマーシブ体験
突然だが、ここでサウナ―エンジニアに問題を出してみたい。
「サウナリチュアル」という言葉の意味はご存じだろうか?
正解は……
サウナの入浴を単なる汗を流す行為ではなく、心身の浄化や精神的なリフレッシュを目的とした儀式的な体験として捉える考え方です!
さて、「太陽のつぼみ」パビリオンでは、ただ熱いだけ、汗をかくだけのサウナとは一線を画す体験が用意されている。
サウナガイドがアテンドし、まるで物語の中にいるようなエンターテイメント性あふれる入浴体験に、様々な演出が組み込まれているのだ。
五感を強烈に刺激し、“ととのう”のその先にある、未知のサウナ領域へと誘ってくれるらしい。
その特別な体験を作り出す要素が「音」「照明」「香り」だ。例えば、「音」一つとっても、環境音楽や自然音に加え、なんと生楽器(ハンドパンやフルートなど!)の演奏が導入されることもあるというから驚きだ。
そして「照明」は、気分やリラックスの度合いに合わせてダイナミックに変化するLEDライトシステムを採用。サウナ内のムードを盛り上げる。
さらに、「香り」にもこだわりが。厳選されたエッセンシャルオイルの心地よい香りが、より深く、没入感のあるサウナ体験へと私たちを誘うのだ。
【ココがすごい④】匠揃いの“作り手”たち
さて、そんな唯一無二の万博サウナを作った人たちも熱い。
建築は、KOMPAS小室 舞さん

万博サウナ「太陽のつぼみ」公式HPより
京都大学、東京大学、スイス連邦工科大学で学び、Herzog & de Meuronで“M+美術館”などを担当。香港と東京に建築設計スタジオ「KOMPAS」を立ち上げ、多国籍チームで国内外の建築・空間設計を手掛ける。主な作品に「IBIS SENDAGAYA」(21年)や「西治プロジェクト」(21年)などがある。
万博会期も近づき、サウナのオフィシャルムービーもできました。CGみたいですが全部リアルです。もう一つ設計した展示施設「フューチャーライフヴィレッジ」と併せて、会場内での遠さ&行きにくさはトップクラスですが、体験・建築ともにかなりスペシャルになってます!https://t.co/1i4IsJ5vCZ pic.twitter.com/a3xJcxgfWT
— Mai Komuro @KOMPAS (@komumai_KOMPAS) April 11, 2025
総合プロデューサーは、サウナ師匠の秋山大輔さん

万博サウナ「太陽のつぼみ」公式HPより
サウナ界の第一人者で“サウナ師匠”として知られる。イベントプロデュースの知見を活かし、「SAUNA CHELIN」「SAUNA FES JAPAN」を企画。隈研吾さんと直島「SANA MANE」を手掛けるなど革新的施設を創出。サウナに関する研究を進め医学的効能を明らかにする「日本サウナ学会」を設立するなど、サウナ文化の発信に尽力している。
プロジェクトオーナーは、太陽工業株式会社
経済性、施工性、透光性、デザイン性に優れた大型膜面構造物のリーディングカンパニー。1970年の大阪万博を皮切りに、愛知万博(05年)、上海万博(10年)、ミラノ万博(15年)、ドバイ万博(20年)すべてに参画した実績を持つ。今回のパビリオンは、万博のたびに磨いてきた太陽工業の技術が詰まった、万博のためのコラボレーションプロジェクトだ。
1970年の大阪万博で当時会場にあったテント構造物の約9割は太陽工業が手がけていました。テントが単なる日よけ用途から、新しい構造物として世界に認められるきっかけにもなったんですよ。
まとめ
未来型サウナ「太陽のつぼみ」は、エンジニアの知的好奇心を強烈に刺激する、革新的な技術とアイデアの結晶だった。膜構造の可能性、3Dプリンターの応用、そして五感を揺さぶる没入体験。次のリフレッシュ計画にはぜひ、「太陽のつぼみ」での未来型サウナ体験を検討してみてはいかがだろうか。万博でしか味わえない、新しい“ととのう”があなたを待っているはずだ。
施設情報
・事業名/大阪・関西万博 主催者催事 万博サウナ「太陽のつぼみ」
・公式HP/https://www.taiyo-tsubomi.jp
・予約方法/万博チケットを購入し、会場へ入れば、サウナ自体は入場無料。ただし、予約必須。
・その他補足情報
完全予約抽選制(参加費は無料、ドリンク付き)で、万博期間中、約1万5000人の方が水着でサウナを楽しむことができる。
更衣室はサウナ室に隣接しており、水着は持参または購入。タオルは無料レンタルあり。
サウナハットなどのオリジナルグッズも販売中(グッズだけの購入も可)。
会場内アクセス
【東ゲートから】 徒歩約25分程度西ゲート方面フューチャーライフゾーン内
【西ゲートから】 徒歩約5分程度ゲートを入って右手フューチャーライフゾーン内
編集/エンジニアtype編集部
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