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若手の未熟さが事業拡大の原動力に? システム・リノベイトが「ジュニアエンジニア不要論」に首を振る理由とは

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今、IT業界に「エンジニア冬の時代」が到来しているとささやかれている。AIによる業務自動化が進み、新人育成コストを削減する企業が増えているのだ。

Forbes JAPANの調査では、生成AI導入企業の約8割が人員削減を「検討中」と回答。2025年3月には、米Salesforceが「AI導入成功を受け、25年のエンジニア採用を凍結」と発表したことも記憶に新しい。

そのような中、あえて未経験・若手採用を加速させ、独自の成長戦略を採る企業がある。DX導入支援やWebシステム開発を手掛ける、株式会社システム・リノベイトだ。

長年若手人材の育成に長年注力してきた同社は、23年7月には福岡拠点を、25年7月には北海道と沖縄にも新拠点を設立するなど、企業として着実な事業拡大を実現している。

なぜ同社は、時代の潮流に逆行するかのような選択をするのか。採用責任者・三星 悟さんへ取材したところ、「採用と育成」の新たな可能性が見えてきた。

プロフィール画像

株式会社システム・リノベイト
執行役員
三星 悟さん

1998年に大学を卒業後、東京のSI企業に就職しNotes事業に携わる。SI部門のリーダー、マネジャー職を経て東京技術責任者として活躍。 2016年システム・リノベイトに入社し、経営企画室・室長に就任。 18年9月、執行役員に就任。19年より採用責任者として、同社の新卒・中途採用をけん引している

AIがジュニアエンジニアの「仕事」を奪っていく

――新規採用の凍結、既存人員の削減など、エンジニア採用が鈍化している要因について、三星さんはどのように考えていますか?

要因の一つに、やはり「生成AIの進化」があるでしょう。

かつての開発現場では、ジュニアエンジニアに任せる「比較的単純な開発作業」が一定量ありました。例えば、UIの調整やAPIの実装、テストコードの追加などです。

ところが現在では、そういった作業の多くが生成AIで効率的に処理できるようになっています。経験豊富なエンジニアがAIを使いこなせば、ジュニアを一から育てながら進めるよりも、早く・安く・安定的に成果を出せる。

この現実を前にすると、「未経験者を育てて戦力化する」選択の優先度が下がるのは仕方ありません。

システムリノベイト 三星さん インタビューカット

――AIの登場が、人材育成にかかるコストと期待値の「トレードオフ」の関係性を変えてしまったと。

ええ。リモートワークが一般化して以降、ジュニアを育てるためのコミュニケーション工数やレビュー負荷は、以前にも増して高くなっています。

隣でさっと教えることもできず、レビュー一つとっても非同期で丁寧な言語化が求められる。これは教える側にとって、かなりの負担です。さらに、現在の開発現場はどこもスピードが求められるため、「育成に手間をかける余裕があるか」と言われれば、正直なところ厳しい。

こうした背景もあり、多くの企業が「最初から一定のアウトプットが期待できる経験3〜5年の即戦力層」に採用を集中させるようになりました。

若手の存在が「教え合う文化」を育み、組織が進化する

――市場全体がジュニア採用に慎重になっている中で、システム・リノベイトは未経験・若手採用を加速させています。そこにはどのような狙いがあるのでしょうか?

前提として、企業の戦い方は「個人主義」と「チーム志向」の二つに分けられると考えています。私たちはチームで成果を出す組織づくりを重視しており、その中核を担う存在として、若手や未経験層を継続的に採用しています。

若手の存在は、既存社員にとって「教える」「伝える」といったアウトプットの機会になります。それによって理解が深まり、チーム全体の成長にもつながっていく。

反対に、若手がいなければインプットばかりが続いて知識が定着しづらくなりますし、役割も固定化されがちです。そうなると、組織の柔軟性は失われてしまいます。

若手の採用は将来への投資であると同時に、今の組織にとっても意味のある取り組みです。外から即戦力を補うだけでは、組織の力そのものはなかなか育ちません。

システムリノベイト 三星さん インタビューカット

――なぜシステムリノベイトでは、チーム戦略を重視しているのでしょうか?

一人一人の力に頼るのではなく、チームで積み上げていける組織の方が長く続くと考えているからです。

個人主義の組織は、スキルのある人をその都度集めることはできても、その人がいなくなった途端に業務が止まってしまうことがある。知見が属人的になり、再現性がない状態です。

一方で、チームで仕事が回る組織なら、ノウハウも技術も少しずつ中に蓄積されていきます。若手が育ち、いずれリーダーになり、また次の世代を育てる。その流れがあるからこそ、組織としても安定して成長できると考えています。

――チームとして動く戦略を重視することで、現場ではどのような成果や変化が生まれているのでしょうか?

IT業界ではいまだに「常駐型」の働き方も主流ですが、私たちは可能な限り、自社内でチームとして開発を担うスタイルへとシフトしています。当社では契約形態として業務委託やSESの案件もありますが、それでも社員の8割は自社内で働けているんです。

ただ、それは最初から「自社で全部やらせてほしい」と言って実現できるものではありません。

まずはチームで現場に入り、少しずつ顧客との信頼関係を築いていく。その中で「このチームに任せたい」と思っていただけるようになり、結果として場所に縛られない開発体制がつくれるようになっていきます。

個人主義の企業が提供する価値は、突き詰めれば「特定のスキルを持つ個人」というリソースです。一方、チーム戦略の企業が提供するのは「この開発を完遂させる」という保証された成果。

プロジェクトがどう転ぶか分からない中で、私たちはその責任を会社として引き受ける。そうした姿勢が、クライアントとの信頼につながり、今の事業のあり方を支えています。

――若手が成長できる環境と、クライアントからの信頼。その二つが事業拡大につながっているのですね。

社内で人を育てられる地力があるからこそ、自信を持って新しい挑戦ができます。最近では福岡に続き、北海道・沖縄への拠点拡大を進めていますが、これも単なる事業規模の拡大ではありません。

新たな人材の採用は、多様な価値観や要望を組織にもたらします。拠点を拡大し、Uターン・Iターンといった働き方の選択肢を増やすことは、社員一人一人の人生に寄り添い、長期的に活躍できる環境を整えることでもあります。

企業の成長と社員の成長、その両輪を回していくことこそが、私たちの目指す姿です。

システムリノベイト 三星さん インタビューカット

どんなに未熟でも、いち早く「教える側」に立たせる

――チームで活躍できる人材を、採用でどのように見極めているのですか?

私たちは、スキルや経験以上に「人物」を最重視しており、そのために、面接では決まって次のような質問をしています。

「あなたはチームで作業をしています。ふと周りを見ると、仲間の作業が大幅に遅れていて、チームの進捗も芳しくない状況です。しかし、あなた自身の仕事も忙しくて余裕はありません。この時、あなたならどうしますか?」

この質問に対して、大きく二つの反応があります。一つは「まず自分の責任範囲である仕事を片付けてから、仲間を手伝う」という考え方。もう一つは「先に仲間の業務をサポートしてから、後で自分の仕事を挽回する」という考え方です。

どちらかが正解ではありませんが、それぞれの個性がでると感じています。責任感や優先度、その時の心情などを確認することで、どういう方なのかが見えてくる。その中で、チームで活躍できる人材なのかを見極めています。

――「教え合う文化」を根付かせることも重要ですよね。その文化はどのようにして醸成すればよいのでしょうか。

大切なポイントは、どんなに未熟であっても、誰もが教える側に回るサイクルをつくることです。このサイクルを、日々の業務の中で、意図的に数多く回せるように工夫しています。

例えば、新人がプロジェクトに参加する際、「ただタスクを渡すだけ」ということはしません。最初の数日は先輩エンジニアとペアプログラミングを行い、先輩が「なぜ、今こう書いたのか」を言語化しながら進める。

新人にとっては最高のインプットであり、先輩にとっては自らの暗黙知をアウトプットし、思考を整理する絶好の機会となります。

また偶発的なコミュニケーションが生まれる環境を、いかに作るかという点も重要です。

教え合う文化は、予定された会議の中だけで育つものではありません。隣で悩んでいるのに気付いてすぐに声をかけるといった、物理的な近さが助けになる場面は多いのです。

そのため、全員が出社する物理的なオフィス環境を重視することも一つの有効なアプローチでしょう。当社の採用面接では、こうした組織の価値観を候補者に明確に伝えることで、入社後のミスマッチをなるべく減らすよう努力しています。

システムリノベイト 三星さん インタビューカット

AI時代は「人をつなぐ技術」が鍵を握る

――AIによる代替の流れは見過ごせないと思うのですが、今後はどのように育成方針をアップデートしていきますか?

純粋なコーディング技術以上に、コミュニケーション能力の重要性が増していくことは間違いありません。AIでは汲み取れないお客さまの真のニーズや、言葉の裏にある意図を正確に理解し、プロジェクトを円滑に進める力です。

例えば、お客さまに仕様を説明する場面を想像してみてください。

複数の選択肢をただ並べて「どれにしますか?」と問うのではなく、「私はこういった理由で、こちらの方がお客さまにとって最適だと思います」と、自分の専門的な意見を添えて提案できるか。

こうした人間にしかできない付加価値こそが、これからのエンジニアの価値を大きく左右するでしょう。

――若手の中には「結局は優れた技術力がなければ生き残れないのでは」と、感じてしまう人も多いと思いますが……?

私もエンジニア出身なので、その気持ちは痛いほど分かります。私自身、プログラマーとしてキャリアを始めた頃は、どのプログラミング言語にも特別な関心を持てず、周囲との温度差に「技術者としてやっていけるのだろうか」と不安に思った時期がありました。

転機となったのは、キャリア3年目のプロジェクトです。

真面目なリーダーと、天才肌で突拍子もない発想をする技術者の間で、全くコミュニケーションが噛み合わず、プロジェクトが停滞していました。その時、私が間に入って両者の意図を「通訳」し、橋渡しをしたところ、驚くほどうまく回り始めたのです。当時、一部の仲間からは「翻訳機」なんて呼ばれていました(笑)

重要なのはプロジェクトを前に進めることであり、プログラミングはその手段の一つでしかない。自分がチームの「緩衝材」や「中和剤」となり、物事を円滑に進めること。そうした能力も、技術者として生きるための価値あるスキルだと思っています。

システムリノベイト 三星さん インタビューカット

――自分の強みを自覚し、チームの中でどう活かすかが大切ですね。

この業界では、自分の価値をプログラミングスキルだけで測ってしまいがちです。しかし、技術や言語は絶えず変化し、定型的な作業は今後ますますAIが担うようになります。

だからこそ、若手エンジニアの皆さんには「プロジェクトを前に進める力」の中で、自分が強みを発揮できる要素を見つけてほしいです。

他部署との調整能力、相手の心を開く対話力、複雑な情報を整理する能力。それらも全て、あなたの市場価値を高める立派な「技術」なのです。

自分のユニークな強みを見極め、チームの中で活かすこと。その視点さえ持てれば、エンジニアとして活躍できる道は、間違いなく広がっていきますよ。

>>株式会社 システム・リノベイトの採用情報はこちら

取材・文/福永太郎 撮影/赤松洋太 編集/今中康達(編集部)

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