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「自己啓発本を隅から隅まで読んでもダメ」よんてんごPが伝授する、今日から使える低空飛行からの脱出術

NEW!  スキル

「日々の業務をもっと効率化したい」「スキルアップのために時間を有効に使いたい」エンジニアであれば、誰もが一度はそう思ったことがあるはずだ。

とはいえ、365日いつでも理想通りに自己管理できる人など、そう多くはない。頭ではやらなきゃと分かっているのに、「今日はどうしてもやる気がでない」と、理想と現実のギャップに悩まされる時もあるのではないだろうか。

Xで8万人超のフォロワーを持つ現役エンジニア・よんてんごP(@yontengoP)さんも、かつてはその悩みを感じていた一人だ。そんな中、とある一冊との出会いが、日々の「ダラダラ」から抜け出す兆しをくれたという。

強靭な意志や根性に頼るのではなく、ちょっとした工夫で自分を上手に誘導する「低空飛行からの脱出術」を、よんてんごPさんに聞いた。

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エンジニア
よんてんごP(@yontengoP

大学卒業後、教育業界での就業経験を経てIT業界へ転身。SES企業でシステム開発に数年従事した後、商社の情報システム部で勤務。その後、フリーランス、AIベンチャーを経由して、現在は再び企業の情シス部門に勤務する傍ら、副業でフリーランスとしても活動。自身のキャリアで得た知見や「ブラック企業」体験をSNSで発信し、多くのフォロワーを持つ。名前の由来は、過去に描いていた「4.5コマ漫画」から

「頭では分かっているのに……」と悩むあなたへ

今回、記事を書くにあたってどんなテーマがいいだろうかと考えてみました。エンジニアtypeでは、多くのエンジニアがさまざまなテーマで語っていますが、内容は主に「精鋭エンジニアとしてバリバリ働くための……」というような意識の高いものが並んでいます。

ただ、私にそういうものを期待されても困るので、ここはもっと目線をぐぐっと下げて、「やる気の出し方」「朝布団からなかなか出られないけどどうしたらいいのか」みたいな視座からお話しできればと思います。

きっと優秀な技術者であっても、多少は朝起きたくないとか、やらなきゃいけないことがあるのにスマホを見ちゃうとか、そういう場面もあるに違いないのです。

そこで今回は、話のベースとして『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)を取り上げます。「ITエンジニア本大賞2026」でも特別賞として取り上げられていた一冊ですね。

エンジニアにとって自己啓発本は、技術書よりも役に立つのか?

「うーん、自己啓発本かぁ……」と思った方もおられるかもしれませんが、個人的にこの手の自己啓発本は、何冊も読んでも仕方がないと思っています。読めば読むほど素晴らしい人間になるわけでもないですし、それなら、JavaとGoの本を5冊ずつ完読した方が、多分技術者としては得るものが大きい気がします。

こんなことを書くと怒られるかもしれませんが、大体の自己啓発本というのは、大概同じようなことが書いてあります。「朝はキチンと起きるべき」「メールはなるべく早く返そう」「夜はダラダラしないで速やかに寝よう」……などなど。

逆に「朝はぐーたら寝て、メールは好きなだけ放置して、夜は延々ショート動画見よう」などと書いてある啓発本は多分ないのです。

それであれば、大事なのは何冊読んだかではなく、どれか一冊を読んだ上で「ちゃんと守ってるかな」と月1とか週1でPDCAを回すことです。読んだかどうかよりも、守れたかどうか。

ともかく、私の個人的な自己啓発本の読み方としては、

1.最初から隅から隅まで読もうとしない
2.目次を眺めて興味あるところから読んでみる

というのが基本スタンスです。

最近の書籍はありがたいことに、2ページの見開きで1項目とかになっているので、読みたいページを読んで、「ほーん」と思って、できそうな所、やれそうな所から手を付けていけばいい。

今回はこの本の中から、私が実際に「これならまぁ守れそうか」と取り入れている具体例を、IT業界での実務に寄せていくつか紹介します。

やる気が出ないままダラダラしない「小分けタスク」

25分作業+5分休憩を繰り返す「ポモドーロ法」は有名ですね。ですが、コレをちゃんと時間を守ってやり切れる習慣づけが出来るならば、私たちは「やる気が出ないなぁ……」などと苦労してないのです。本書はそういう人間に対してもちゃんと対応方法を書いてくれています。

要は、ずっとやる気が出ないままダラダラ続けてるのがよくないのです。「あ、ダメだ集中できてねえや」「進捗が出てないな」となったら、とにかく漫然とその作業を進め続けないこと。私の場合、こういうときのための「気分転換になる小分けタスク」を用意しています。

プリンタに紙を追加する。ごみ捨てをする。メールの整理をする。コップを洗う。

とりあえず30分タイマーを掛けてみて、ダメなら物理的に動いて別の小さな作業をこなす。これだけでも効果があります。

時間を確認する男性のイメージ。とりあえず30分タイマーを掛けてみて、ダメなら物理的に動いて別の小さな作業をこなすが重要だと、よんてんごPさんは語る。

あえてキリを悪くする「ツァイガルニク効果」

心理学の「ツァイガルニク効果」をご存知でしょうか。達成できた事柄よりも、途中で挫折したり中断されたりした事柄のほうが、より強く記憶や印象に残る心理現象のことです。

仕事で言えば「わざとキリの悪い状態にしておくことで、その作業に対するモチベーションを上げる」効果があります。

具体的には、仕事終わりのときに「ソースコードにTODOだけを書いて終わらせておく」「サーバの設定ファイルの作成で、冒頭の設定メモだけを書いておく」といった具合です。

こうすることで、翌日PCを開いた瞬間に「ああそうそうコレやるんだったわ」とダラダラせずに始められます。実際に私もこれは取り入れてみて、効果を発揮しています(逆に朝イチで別の飛び込み案件が発生すると「早くあっちやりたいのに…」とヤキモキしたりもしますが)。

行き詰まったら、とりあえず「洗う」

なんだかやる気が出ない、ダラダラしてしまう…という場合には、「顔を洗う」「歯を磨く」といった物理的なリセットが推奨されています。

床屋で温かいタオルを顔に乗せてもらうだけで何だかさっぱりするのと同様、「あー進まねえなぁ……」というときには、顔と歯を洗ってみるだけでも割と気分がシャッキリして「よしやるか」という気持ちになります。

今こうしてこの原稿を書いてるときも、手が進まないときは「よし顔洗おう」と顔をビシャビシャにしながら書いているので無事にこの原稿が完成していれば、効果てきめんというわけです。

IT業界の方だと「お風呂に入った途端に今まで悩んでいた実装の名案が浮かぶ」という経験は多いかと思いますが、職場でシャワーを浴びるわけにはいきません。ちなみに「手を洗う」だけでもメンタル的な不快感が洗い流せるらしいので、気持ちがアガらない時には、出来る限りの範囲でいろいろと洗浄してみましょう。

無生物に語りかける「ラバーダック・デバッグ」

何かしら言語化しづらい内容やまとまらないことがあった場合には、誰かに伝えようとすると頭が整理されて、問題が解決しやすくなる効果があります。

実際に、誰かに教えようとすると学習効果も上がるそうで、教育業界などではお子さんに先生役をしてもらい、先生や保護者の方に「どうしてこれはこうなるの?」「え、これって教えて?」などと質問することで知識の定着や理解度が上がる……と言う方法があるようです。

IT業界だと「ラバーダック・デバッグ」がまさにそれですね。ゴム製のアヒルなどの無生物に向かって、自分のコードや抱えている問題を最初から順を追って説明することで、デバッグが促進するというものです。

最近ではChatGPTなどもあるので、今自分がやることや要件などが曖昧な状態のものをGPTに伝えようとすると、中身が整理されたり困っていることが明確化されたりするのに役立つかもしれません。(社内情報などの漏洩、機密情報の取り扱いにはご注意を!)

誰かに説明を行っている男性の様子。説明をすることで頭が整理されて、問題が解決しやすくなる効果があるという。

自分を上手く誘導する「第3の選択肢」

休日にずっとゴロゴロしてたりすると「ああこれではダメだなぁ」と思う一方で、「いやでもゴロゴロしてる方が身体を休められるから」と思ってみたり、「でもホラ、気分転換も大事だから」などと自分に上手に言い訳してしまう経験はないでしょうか。私はあります。

これは、自分が今してることに対してダメだなぁと思ってる際に「無意識に自分を納得させる」ための言い訳を構成してくれるという、人間の便利な“機能”なのだそうですが、便利ゆえにいつまでもゴロゴロしてしまうことが続いてしまうわけです。

頑張って「じゃあ外に出かけよう」などと目標を立てても、結局楽な方法に流れやすくなってしまいます。そこで、絶妙な「第3の選択肢」を設けるのがコツです。

    

    

思考のパターン 選択肢の設定 想定される結果
従来の2択 作業するか、ゴロゴロするか 圧倒的勝率で「ゴロゴロ」に流される
魔法の3択 「作業」か「せめて風呂に入る」か「ゴロゴロ」か 選べる自由が生まれ、「じゃあせめて風呂には入るか」という”多少マシな選択肢”を選ぶ確率が上がる

絶対の決意で「ゴロゴロ」を選べる意思の強い人はさておき、なんとなく流されがちな人にとっては、この「第3の選択肢」を設けることで、何も考えずゴロゴロしてた時よりは能動的に行動できるかもしれません。

出来る範囲で、コツコツとやるほかない

「自分は全て意志の力で日々をコントロールできてる! 常に万全! 盤石!」という超人の方から見れば、「何をそんな腑抜けたことを言っとるか!」と喝破されてしまうかもしれません。

ですが、そうではない私たちは、出来るところからコツコツと始めましょう。

何か難しい道具がいるわけでもなく、ゴロゴロしちゃうなぁ……と思った時に「あ、こういう時には顔洗えって書いてたな」と思い出して、多少なりとも状況が改善するだけでも、貴重な一歩前進だと思っています。

ちなみに本書の中では再三にわたり「スマホを手放せ」「ネガティブな書き込みは見るな」と書かれています。特にネガティブなSNSを見続けて時間を浪費しちゃっている……! という心当たりのある人には、必携の書です。

「あーあ結局また土日何もしなかったわ」と日曜夜中にスマホ眺めながら、「月曜朝から出勤やだなぁ……」と思う気持ちが、これらの習慣で多少変わるかもしれません。共に、多少なりとも良い生活、よい成果、よい人生を歩めるように進んでまいりましょう。

文/よんてんごP 編集/今中康達(編集部)

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