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中途入社の「早くバリューを出さなきゃ」という焦りは不要? 澤円が説く、新天地で信頼貯金をためる「観察」のすすめ

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澤円の「モヤモヤ言語化ラボ」

元・日本マイクロソフト業務執行役員であり、“プレゼンの神”こと、澤円さんが、エンジニア読者のモヤモヤや気になるニュースを、分かりやすく“言語化”。「どう考えたらいいか分からない」を「そう考えればいいのか」に変える、頭と心の整理の場です。あなたが前に進むためのヒントを一緒に見つけていきましょう。

皆さんこんにちは、澤です。

今回の相談は、転職して希望職種に就いたエンジニアさんのお悩み。
新年度が始まって間もない今、同じように悩んでいる方、少なくないかもですね。

相談内容

前職で7年間、エンジニアとして実績を積んできました。その経験を高く評価され、先月から念願だった自社開発企業へ転職。期待に応えたい一心で業務をスタートしたのですが、初月から「経験者ゆえの焦りとプレッシャー」に押しつぶされそうになっています。

一番の悩みは、「早くバリューを出さなければ」という焦りと、「現場のルールが分からない」ことのギャップです。

独自のコーディング規約やCI/CDの運用、ドキュメントの粒度など、その会社ならではの「暗黙の了解」が多く、些細なことを確認するたびに手が止まってしまいます。
「こんなことまで聞いたら、期待外れだと思われるのでは?」という不安が常に頭をよぎり、質問するのも躊躇してしまいます。

逆に、前職の経験から「ここはもっと効率化できる」と気づいても、信頼貯金がない今の状態で意見を言えば、「後から来たのに生意気な……」と反感を買うのではないかと怖気づいてしまいます。 技術力に一定の自信はあったはずなのに、環境が変わった途端にジュニアのような振る舞いしかできず、もどかしい毎日です。

この「新天地での最初の数カ月」、周囲の信頼を得ながら自分らしくアクセルを踏むためには、 どんなマインドセットで動くべきでしょうか?

焦りの正体を知る——「しろくま実験」が教える心理的罠

ここまで読んだ方々の心の中には、共感の嵐が吹き荒れまくっているかもしれませんね。

新天地で早く結果を出さねば・・・でも前提知識や信頼貯金がなくて・・・と脳内でぐるぐる回って苦しんでる人、結構いると思うんですよね〜〜。

ここで「プレッシャーなんて感じなくてもいいですよ!」というアドバイスが、全く意味がないこともわかっています。

心理学者のダニエル・ウェグナーが1987年に行った「しろくま実験」は、「何かを考えないように努力すればするほど、かえってそのことが頭から離れなくなる」という心理現象を証明しました。

「何かを考えるな」というのは無理ゲーなので、「考えれば前に進めること」に集中した方が良さそうです。

独りよがりの改善を避ける

まず、新天地で最も嫌がられる人間にならないことを心がけましょう。

嫌われるタイプの代表格が、「出羽守(でわのかみ)」です。

これは、やたらと「前の職場では」とか「自分がやったプロジェクトでは」とか、自分の経験値をゴリ押ししてくるタイプのことです。

このことについては、この記事でも紹介させてもらいました。

30代EMのキャリアの「マネジメントの成果を示せる自信がない」という不安、澤円・村上臣・ひろゆき・久松剛の助言は?
30代EMのキャリアの「マネジメントの成果を示せる自信がない」という不安、澤円・村上臣・ひろゆき・久松剛の助言は?

自分の経験値に誇りを持つことは大いに結構ですが、それをことさらにひけらかすのは、ちょっと残念な振る舞いです。

相談者さんは、どうも謙虚な方に見受けられるので、そのような振る舞いはしそうにないですね。

これだけで、ボクにはすでにうまくいってるように見えますよ、素晴らしい!

「え?何もしてないのに?」と思わないでいいです。

こういうことは、思い込みも大事だったりもしますし。

そして、次の段階に進みましょうか。

「早くバリューを出さなくては」と漠然と思っていても、なかなか行動はできないものですよね。

なぜかといえば、行動には具体性が求められるからです。

具体性を手に入れるために必要なのは、とにかく「観察」です。

デスクでノートPC(Surface)を前にし、真剣な眼差しで「観察」の重要性を説く澤円氏。前職の経験に固執する「出羽守」になることを戒め、まずは新しい職場の「暗黙の了解(コンテキスト)」を読み解くために徹底的に周囲を観察するというマインドセットへの転換を促す文脈で使用されています。

今のプロセスに非効率な部分を見つけたのであれば、「なぜその非効率なやり方をしているのか」を観察するところからスタートしてみましょう。

そして、その非効率なやり方の裏側にある「コンテキスト」を読み取ることが大事ですね。

非効率だとわかっていても我慢してやっている人を観察していたら、実はその人が先輩からの圧力を避けるためにやっているだけかもしれません。

あるいは、前任者が社内の超有力者で、やり方を変えることを提案することが、自分のキャリアにとってはリスクでしかないのかもしれません。

そのあたりは、じっくり観察して理解することが大事です。

というのも、「なんでそんな非効率なやり方してるんですか?」って直接聞いても、「先輩が怖くて・・・」とか「前任者が怒るので・・・」とかなかなか正直には言えなかったりしますからね。

転職したんだから、すでに職場の仲間になっていますよね。

そうは言っても、入ったばかりでコンテキストをすべて理解できないのはしんどいとは思います。

これはある意味仕方がないことですし、ある程度は時間が解決してくれることではあります。

なので、非効率さと戦っている人たちに寄り添いつつ、その背景にあるコンテキストを汲み取るというマインドを持つことが大事ではないかと思います。

信頼貯金を最速で貯めるのは、技術よりも「笑顔と発信」の力

また、その会社ではまだ実装されていない技術や、多くの人が興味を持っているけれど情報不足のテクノロジーについて、率先して勉強会を開くのも一つの選択肢ですね。

また、誰でもちょっと触れられるデモ環境を用意したり、社内ブログで情報発信をしたりしてもいいかもしれません。

そうすることで「あの人、色々知ってそうだぞ」っていうタグがつけば、自然と人が集まってくるようになるかと思います。

そして、何より大事なのが「人が寄ってきやすい雰囲気を出すこと」だと思います。

デスクで微笑みながら、両手を広げて「人が寄ってきやすい雰囲気」の大切さを語る澤円氏。緊張やプレッシャーを抱えながらも意識的に笑顔を作ることは、新しい職場で最速で信頼貯金を貯める「コスパ最高のアクション」であり、AI時代に最も重要なスキルであると解説しています。

緊張してたりプレッシャーを感じてたりしていることは認めつつ、それでもなお笑顔でいようという意志を持ってみましょう。

笑顔は、多くの顔の筋肉を動員しないと作れません。

でも、いつでも笑顔を作れるようになると、その効果は絶大です。

ニコニコしているだけで得するなんて、コスパ最高ではないですか?

普段から笑顔でいることは、意思が全てと言ってもよいでしょう。

正しいことを話すより、凄腕エンジニアのスキルを見せつけるより、笑顔でいる方が新しい職場には早く馴染めると思います。

生成AIがどんどん発展していく今の世の中において、最も大事な仕事は「他人とうまくやっていくこと」だとボクは定義しています。

(これから、このことは折に触れて連載でも語り続けることでしょう)

他人とうまくやっていくときに、笑顔は最高の武器です。

ニコニコしながら話を聞けるように、今から鏡をみながら笑顔のトレーニングしましょう!


澤円 書籍 The Giver 人を動かす方程式
The Giver 人を動かす方程式(文藝春秋)

AI時代のできる人は、Giver(=与える人)である

元・マイクロソフト業務執行役員で「伝説のマネージャー」「プレゼンの神様」の異名をとる著者が放つ、令和版『人を動かす』決定本!

まわりのメンバーが「思うように動いてくれない」と苛立ったり、頑張って準備をした提案が「相手の心を動かせなくて」凹んだ経験は誰もがあるはず。本書は、“人を内発的に行動へと促す”鍵となるGiverというマインドセットで、あなたの仕事の捉え方とスキルを刷新します。

>>詳細はこちら

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株式会社圓窓 代表取締役
澤 円(@madoka510)

立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、日本マイクロソフトに転職、2020年8月に退職し、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。武蔵野大学専任教員。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。 著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界No.1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」』(プレジデント社)/『「疑う」から始める。これからの時代を生き抜く思考・行動の源泉』(アスコム社)/『「やめる」という選択』(日経BP社) Voicyチャンネル:澤円の深夜の福音ラジオ オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム

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