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キャリアプランがないエンジニアってマズい? 戸倉彩・あらたま流、将来のビジョンの描き方【聴くエンジニアtype Vol.18/MC:ばんくし】

働き方

エンジニアtypeが運営する音声コンテンツ『聴くエンジニアtype』の内容を書き起こし! エンジニア読者が抱える仕事やキャリアのお悩みに、注目企業のCTOやさまざまな領域の第一線で活躍する技術者が回答します
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目標設定に対する相談に回答した前回。今回は、さらに視点を未来に向けた「長期的なキャリア」に関する相談が届いた。

先が見通せない変化の時代、10年先を見通すことは容易ではない。そんな中で納得感のあるキャリアプランを立てるにはどうしたらよいのだろうか?

今回も戸倉彩さんとCake.jpの新多真琴(あらたま)さんが回答してくれた。

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【MC】
キャディ株式会社 Tech Lead
河合俊典(ばんくし)さん(@vaaaaanquish

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【Speaker】
日本アイ・ビー・エム株式会社 カスタマーサクセス部長
戸倉 彩さん(@ayatokura

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【Speaker】
Cake.jp CTO
新多真琴(あらたま)さん(@ar_tama

【今回の相談】

(Nさん・30歳)

30代に入り、将来のビジョンがないことが不安になってきました。

とはいえ10年後に社会がどうなっているのか、自分が何をできるようになっているかもイメージできず、具体的なキャリアプランが立てられません。

皆さんはどうやってキャリアプランを考えていらっしゃいますか?

キャリアプランは、軸を決めつつ「アジャイル」で考えよう

河合:戸倉さんは前職でも現職でも軸を持って働かれている印象ですが、キャリアプランはお持ちだったんですか?

戸倉:キャリアプランという言葉だと会社中心になってしまうので、私は「自分ロードマップ」という考え方をしています。

長期的に見て「自分が何をできるようになるか」を妄想するのは難しいので、「何をやれる人になりたいか」という希望から落とし込んでいくんです。

例えば、10年後にはより良い社会づくりに貢献するために○○ができるようになりたい、といったイメージで言語化をすることが大事。自分に対する意思確認になりますし、そこに向かっていく覚悟が決まると思います。

私も30歳くらいの頃は「このテクノロジーで、こんな会社で、こういったことやりたい」という具体的な考えを持っていたわけではありません。あったのは、「インターネットの世界でモノづくりをして、世の中の人々がセキュアでより良いクオリティ・オブ・ライフを実現するための黒子になっていくんだ」というざっくりとした希望です。

その中で、自分が好きなことをやるためにはどうしたらいいだろう、という部分を積み上げ方式で考えていました。

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戸倉:ただ、積み上げ方式だといずれ詰むんですよね。相談者さんも言っているように、先のことを想像するのは難しい時代です。技術の変化が激しいので、10年後には私たちが知らない技術や仕事がたくさん生まれているはずなんですよ。

なので「逆算でどういう人になりたいか」が大切です。テクニカルな人材としてつよつよになりたいのか、テクニカルとビジネスのバランスを取っていきたいのか、というところから逆算して、今は何をやったらいいか考えると良いのではないでしょうか。

IT用語で言うと、ウォーターフォールではなくアジャイルでキャリアを回していく必要があると思います。私はそんなやり方で約20年間IT業界で働いてきました。

河合:積み上げ方式だけだと軸がブレやすいですし、下からも追い上げられるので、一つでも「こういうことがやりたい」ということを言語化しておくといいですよね。

あらたまさんは現在CTOですが、明確なキャリアプランはあったんですか?

あらたま:全然ない……って言っちゃうと質問者さんに申し訳ないのですが、 私はこれまでご縁に生かされてきた部分が大きいんですよ。転職のきっかけも、ありがたいことに大体がご縁でつないでいただいてきました。

そんな中でも、自分のキャリアを振り返ったり内省したり、「自分がどうあり続けたいか」という部分は言語化していて。そこに重なるね、と会社と自分の双方が思えたところにどっぷり浸かってきました。なので言語化の大事さは私も感じています。

でも「こうなりたい」というビジョンって、「そうなったら終わり」な感じがしますよね。 なので「こうあり続けたい」と思える環境に身を置くと、いい刺激をもらいながら成長できるのではないかと思います。

河合:縁を大事にしてきたという点が、あらたまさんのキャリアのテーマの一つなんでしょうか?

あらたま:これは私の価値観かもしれないですね。「こういうことを大事にしたい」とか「通したい仁義がある」という部分が自分自身の軸になっていくと思うので。

河合:お二人のお話には共通する部分がありますよね。テーマや価値観を大事にした上で、アジャイルでキャリアを築いていきましょう、って。

あらたま:自分の価値観も環境によってどんどん変わっていきますからね。しっかり振り返ってアップデートした上で、次は何をしようか、と考えていきたいですね。

聴くエンジニアtype

河合:相談者さんは長期のキャリアプランについて悩んでいるようですが、お二人は10年先をどう考えていますか?

戸倉:私はエンジニアたちがヒーローになる世界をつくって、そこからイノベーションを生み出すことに尽力していきたいと思っています。

今はデータドリブンでそういった世界を実現するために実験を繰り返しています。周りの方々から理解を得たり、投資していただいたりしながらエンジニア文化を盛り上げていけたらいいですね。

あらたま:私は、事業の価値を生み出すプロダクトを作っている立場からお話しますね。

いわゆるエンジニアという職業のスコープ、例えば技術的な正しさや確からしさに対する探求は皆さん当たり前のようにやっていると思うんです。一方で、世の中に価値を生み出しているかどうか、事業の価値を最大化させるために自分がコミットできているかどうか、といった視点を持ってる方は多くないかもしれません。

事業会社で内製のエンジニアとして働く以上は、期待されるロールにもよりますが、基本的には全員がそこの感覚を磨いていくべきだと思っています。業界全体を成長させていくために、自分が何か寄与できることがあるならやりたいです。

私もまだまだ修行中ですが、10年たてば何かしら得るものがあるはずなので、得たものを還元しつつもさらに学び続けられる状態を目指したいですね。

河合:お二人とも業界をアップデートしていきたいという点は同じですね。

あらたま:ちょっとでも役に立てばいいなみたいな、という気持ちですね。

できたら、ばんくしさんのキャリアプランも聞かせていただけますか?

河合:キャディには「ポテンシャルを開放する」というミッションがあるのですが、私はそこにとても賛同してるんです。

例えばソフトウエアエンジニアって、昔は「きつい仕事」という認識でしたよね。私も昔は高専の先生から「なんでソフトウエアエンジニアになるんだ」「電気系統に進んだ方が安泰では」と言われていましたが、最近ではソフトウエアエンジニアはクールな職業になってきています。

加えて、あらたまさんがおっしゃっていたような「事業全体について考える」ことがエンジニアの本質だ、というような世界観になってきていると思うんです。

私は娘が生まれた時に、「未来の人が本質的なことを考えられる環境をつくりたい」と強く思いました。娘がすてきな仕事をしてくれているといいな、と心から思っているので、そういうところに関われる職場やモノ作りに携わっていきたいですね。

6月25日(日)『聴くエンジニアtype』公開収録を赤坂で開催!

ポッドキャストチャンネル『聴くエンジニアtype』初の公開収録を東京赤坂の会場で開催します。MCのばんくしさんをはじめ、澤 円さん、池澤あやかさん、小城 久美子さん、増井 雄一郎さんが、エンジニアから寄せられた仕事・転職・キャリアの悩みに回答。収録後には懇親会や、書籍サイン会も開催予定です!
※公開収録はエンジニアtype主催のテックキャリアカンファレンス『ECDW2023』の中のコンテンツとして開催いたします

>>エントリーはこちら(ECDW2023特設ページ)

【開催場所】
〒107-0052 東京都港区赤坂2-5-1 S-GATE赤坂山王ビル 5階
株式会社キャリアデザインセンター 赤坂山王オフィス

【参加費】
無料
※懇親会は15:30~30分程度の予定です
※懇親会への参加は自由です

【定員】
60名(先着)

【エントリー方法】
以下より詳細をご確認の上、エントリーフォームより必要事項をご記入の上エントリーください。

>>エントリーはこちら(ECDW2023特設ページ)

聴くエンジニアtype

文/まゆ

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