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大型リリース後の「燃え尽き虚無感」どうする? 澤円が教える、空っぽの脳にやる気を呼び戻す“外部電源”の借り方

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澤円の「モヤモヤ言語化ラボ」

元・日本マイクロソフト業務執行役員であり、“プレゼンの神”こと、澤円さんが、エンジニア読者のモヤモヤや気になるニュースを、分かりやすく“言語化”。「どう考えたらいいか分からない」を「そう考えればいいのか」に変える、頭と心の整理の場です。あなたが前に進むためのヒントを一緒に見つけていきましょう。

皆さんこんにちは、澤です。

今回の相談者さんは、システムを無事リリースして燃え尽きてしまったようです。

相談内容

前職で7年間、エンジニアとして実績を積んできました。自分がリーダーをしていた新サービスが数年の開発期間を経て、この春ようやくリリースされました。

もちろん運用は続きますし、第二弾・第三弾とリリースが控えており、やるべきタスクは山積みです。
しかし、リリース直前までの、寝食を忘れて没頭した熱量や熱狂みたいなものが、一旦リセットされてしまい、なかなか戻ってきません。

運用フェーズからが本番、というのも分かってはいるつもりなので、自分でも悩みです。
燃え尽きのような状態から、どうやって次のモチベーションを見つければいいのでしょうか?

何年にもわたって夢中になってサービス開発と向き合えたのは、エンジニアにとってめちゃくちゃ幸せなことですよね。

その揺り戻しで心にぽっかり穴が開いてしまった感覚、確かにわかります。

ボクはマイクロソフトで数年間、ITコンサルタントとして働いていました。

色々なお客様のシステム移行プロジェクトに携わらせてもらって、要件定義からシステムリリースまで必死にやって、本稼働を迎えた時の達成感はボクにもよくわかります。

そして、終わった後の空虚な気持ちも、確かに味わいました。懐かしいなぁ・・・(遠い目)

さて、思い出話は置いておいて、相談者さんの状況を整理しましょう。

理性と感情のせめぎ合い

脳内にある「これからもやらなきゃいけないことがある」という理性的な思考と、「やりきってしまった」という感情的な部分がせめぎ合っているのがよく伝わってきます。

さて、この二つの共通項はなんでしょうか?

両方とも「脳内の出来事」ということです。

青空と白い雲を背景に、目を閉じた人物の頭部の中で脳のイラストが黄金色に明るく発光しているイメージ。脳内にある「やらなければいけない」という理性的思考と「燃え尽きてしまった」という感情的な部分がせめぎ合っている、行動に移す前の「脳内の出来事」に終始している状態を視覚的に表現している

裏を返すと今の時点では「行動に移せていない」ということですね。

仕事には色々なものがありますが、結果を生み出すのは行動した時だけである、というのがボクの考えです。

行動のための思考は確かに大切ですが、行動のない思考だけでは目に見える結果にはなりにくいですよね?

ということで、まずはなんでもいいので「行動する」を目指すのはいかがでしょうか?

別に難しく考える必要はありません。

ボスキャラ相手にMP使い切った状態の相談者さんですから、超高難易度の行動をする必要なんてないでしょう。

ぶっちゃけ、なんでもいいんです。

キーボードをバラバラにして掃除してもいいし(マジでこれはスッキリする)、溜まった紙書類を種類ごとに分けてもいいし(誰かボクのをやってほしい)、オフィス内のプリンターの用紙を補充しまくってもいいし(用紙切れのストレスから解放!)、テンパってる同僚や後輩のお手伝いをしたりするのもいいですね(きっと感謝される・・・!)。

とりあえず、手を動かせることに時間を使ってみてはいかがでしょうか。

小さな成功体験で脳にご褒美をあげる

心理学の世界では、「まず動くことでやる気が後からついてくる」という話は昔から知られています。

心理学者のエミール・クレペリンが説明した「作業興奮」という考え方ですね。

脳には「側坐核」というやる気のスイッチがありますが、ここは実際に動かないとオンにならないという面倒な性質があるんです。

これを「作業興奮」と呼びます。

つまり、「やる気が出るのを待つ」のは、エンジニアリング的に言えば「トリガーを引かずにイベントが発生するのを待っている」ようなもの。

まずは小さなタスクを実行して、無理やりスイッチを叩き起こしてあげるのが正解なんです。

キーボードが綺麗になったり、書類が整理されたりするのは、視覚的にも分かりやすい成功体験ですよね。

カラフルでクリーンな光が灯るノートパソコンのキーボードのクローズアップ。燃え尽き状態から脱出するために「まず動く」を実行し、キーボードを掃除して綺麗に仕上げた直後の状態を表しており、脳に作業興奮のスイッチを入れ、小さな成功体験を視覚的に実感するプロセスを象徴している

こういう成功体験で脳にご褒美をあげてみるのはどうでしょう?

プリンター用紙の補充や他人のお手伝いは、他者への貢献。
他者に貢献すること=Giveすることは、ポジティブな反応を得やすくなります。

誰かから「ありがとう」と言われることは、やる気を起こす薬としては、相当効果が期待できますよね。

こちらは、心理学では「ヘルパーズ・ハイ」と呼ばれたりもします。

他人に親切にすると、脳内では多幸感をもたらすエンドルフィンなどが分泌され、自分自身のストレスが消えて意欲が湧いてくることが分かっているんです。

自分のためではなく、“誰かのため”にちょっと働く

行動することなしに「自分のためにやる気を出そう」とするのは、ガソリンが空の車を無理やり動かそうとするようなもの。

でも、「誰かのためにちょっと動く」のは、外部電源を借りてエンジンを始動させるようなイメージです。

誰かの「ありがとう」という報酬系への刺激を借りて、自分のエンジンを再起動させてしまいましょう。

人間の脳は、元来サボりたがるものです。

何かしら大きな仕事をやり遂げた後に「サボりたいな〜」と思ってしまうのは、割と自然なことだと思うんですよね。

オフィスの椅子にもたれかかり、頭の後ろで両手を組んでリラックスしたポーズをとるスーツ姿のビジネスパーソンの後ろ姿。一大プロジェクトを完遂した後に、人間の脳が自然と求める「サボりたい」「休ませたい」という本能的な休息状態を肯定的に表現している

なので、まずちょっとした休憩を脳に与えてあげるのは大いに結構なことだと思います。

その上で、「ちょっと行動すること」によって、脳が動きたくなるような状態を整えてあげましょう。

そして、だんだん脳が動き始めたら、本格的に仕事と向き合っていきましょう。

ひたすら突っ走ってきたプロジェクトが一旦終わりを迎えたことで、相談者さんの脳内にある「やる気飛行機」は一旦着陸しちゃいました。

着陸した飛行機は、急に空に飛び出すことはできません。

燃料をしっかり補給して滑走路を走っていかないと、もう一度空に浮かび上がることはできないのです。

今は、飛行機の羽を休めている段階。

その時にやる「メンテナンス」として、簡単な作業をひたすらやったり、他人をちょっとお手伝いすることに時間を使ってみてはいかがでしょう?


澤円 書籍 The Giver 人を動かす方程式
The Giver 人を動かす方程式(文藝春秋)

AI時代のできる人は、Giver(=与える人)である

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株式会社圓窓 代表取締役
澤 円(@madoka510)

立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、日本マイクロソフトに転職、2020年8月に退職し、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。武蔵野大学専任教員。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。 著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界No.1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」』(プレジデント社)/『「疑う」から始める。これからの時代を生き抜く思考・行動の源泉』(アスコム社)/『「やめる」という選択』(日経BP社) Voicyチャンネル:澤円の深夜の福音ラジオ オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム

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