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孫正義「まだ元気、欲もある。引退は70代に延長」第46回株主総会全文書き起こし

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「毎日AIと話している」

孫さんのそんな一言から始まった、ソフトバンクグループ(以下、SBG)の第46回定時株主総会(2026年6月24日開催)。議長を務める孫 正義氏が語ったのは、16年後にグループの価値を「千兆円」にするという、人類史上最大のビッグビジョンだった。

「AIが自ら考えて行動するエージェンティックAIの時代が来た」
「欲が出てきた。まだ元気。人生計画を70代まで延長する」
「やる以上は世界一。ASI(超知性)で頂点を獲る」

そう語り、少年のように熱量高く、目を輝かせながらASI時代の覇権を獲りにいくと宣言した孫氏のプレゼンテーション。質疑応答タイムで飛び出した「世界初のAIによるロボット量産工場の稼働」や「東京電力出資への名乗り」など、驚きの最新スクープまで、熱量そのままにノーカットでお届けする。

※本記事は、2026年6月24日に行われたソフトバンクグループの第46回定時株主総会株主総会での孫 正義氏のプレゼン内容全文を書き起こしたものです。一部、文意を明確にするために編集・要約を行っていますが、発言の趣旨や熱量を可能な限り忠実にお伝えすることを意図しています。あわせて、質疑応答パートからもエンジニア読者に有益と考えられる問いと回答を抜粋・掲載しています。

自ら考えて行動する「エージェンティックAI」の到来

おはようございます。社長の孫 正義です。それでは、ただいまから事業戦略について、私自身からプレゼンテーションをさせていただきます。

最近、AIの進化は本当に凄まじいですね。私自身も、ChatGPTを毎日おそらく10回から20回くらいは使っています。さまざまな問い合わせをしたり、アイデア出しの壁打ちをしたりと、あらゆる用途に活用するようになりました。週末には、1時間も2時間もAIとじっくり語り合っているほどです。

2026年6月24日開催の第46回ソフトバンクグループ定時株主総会にて、事業戦略のプレゼンテーションを行う孫正義氏。自ら自律的に考えて行動する「エージェンティックAI(Agentic AI)」の到来や、自身が毎日10回から20回以上ChatGPTを活用して対話している近況を語る登壇時の姿

また、社員とも毎日さまざまな議論をするのですが、その議論の内容についても、ChatGPTを使って「これについてどう思う?」と意見を聞いてみています。そうすると、本当に適切で、深い答えを返してくる。ものすごい進化です。

今までのAIというのは、物事を聞いたら答える「相談相手」であったり、あるいは統計データや画像を生成したりするものでした。しかし、これからのAIは、「AIエージェント」という形で、いわゆる「エージェンティックAI(Agentic AI)」になります。

AIが自ら考えて、自ら行動を起こすのです。いちいち人間が「こうしてくれ、ああしてくれ」と事細かな指示を出さなくても、ゴールさえ共有していれば、そのゴールに向かって24時間365日休まず、自ら行動する。AIは今、そういう次元にまで進化しました。

単なる超知能ではなく、理性を備えた「超知性」へ

さらに、これがはるかに人間の知能を超えて「超知能」になっていくわけですが、単に脳の能力として優れているというだけでは、AIが暴走しかねません。しかし、人間にも理性やバランス、道徳があるように、AIもそういうものを大切に思考してくれるということが、最近のモデルでは取り入れられ始めています。

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年開催)にて、人間の知能を遥かに超えるだけでなく理性や道徳、バランスを備えた「ASI(Artificial Super Intelligence:人工超知性)」の概念について熱弁する孫正義氏。AIの暴走を防ぐ最新モデルの思考プロセスと、SBGがASI時代のプラットフォームを目指すビジョンを示す視覚資料

そうなると、AIの勝手な暴走だとか、AIによる意図的な、ずる賢いごまかしみたいなものはどんどん無くなっていきます。ですから私は、単なる超知能ではなく、「超知性」と表現しています。

われわれは、この「超知性」の世界的なプラットフォーム、社会基盤になっていきたい。プラットフォームをより簡単に言うと「胴元」のような立場ですが、ASI(Artificial Super Intelligence:人工超知性)時代の文明を提供していく、そういう社会基盤になっていきたいというふうに思っています。

今回のプレゼンテーションでは、三つの話をしたいと思います。

一つ目: 超知性「ASI」についてのビジョン
二つ目: 「千兆円」という数字。それは一体何を意味するのか
三つ目: ASIプラットフォーマーへの道。いかにグループの価値を増やすか

この三つの論点でお話しします。

人生50カ年計画の修正と、70代での挑戦

ちょうど16年前、ソフトバンクが創業30周年を迎えたときに「新30年ビジョン」を掲げました。

私は創業2週間目くらいに、当時いた社員2人に向かって、朝礼で一生懸命30分くらい私のビジョンを熱弁したんです。「いずれは豆腐屋のように、1兆(丁)、2兆(丁)と売り上げも利益も数えられるような、そういう規模の会社にしてみせる」と。そうしたら、翌日2人とも辞めてしまいました(会場笑)。まあ、それが最初の30年ビジョンでした。

そもそも、その前に私は19歳のときに、事業家としての人生の「50カ年計画」というものを自らに課していました。

孫正義氏が19歳のときに立てた「人生50ヵ年計画」のロードマップ。20代で名乗りを上げ、30代で軍資金を貯め、40代でひと勝負かける、50代で事業を完成させ、60代で次の世代に事業を継承するという計画。第46回定時株主総会(2026年)では、この計画を70代まで延長してASI領域に挑戦し続けることが宣言された

「20代で名乗りを上げ、30代で軍資金を蓄え、40代でひと勝負し、50代で事業を完成させ、60代で次の経営陣にバトンタッチする」

そういうふうに決めていたんです。

しかし、欲が出てきました。まだめちゃめちゃ元気なんですね。50年前にこの計画を考えたときは、まだ世の中の平均寿命も短かったですし、自分が60代になった姿を想像すると、もうかなりヨボヨボのじいちゃんになっているんじゃないかと思っていました。

ですが、健康のためにたまに若い社員と卓球なんかをするんです。私1人に対して、相手の若い社員は3名で交代状態。こちら側は私1人で1時間半、続けて卓球をするんですけど、私の卓球はスマッシュだらけでバンバン打ち込むんです。

リスクテイカーですから、とにかく打ち込むという、まるで格闘技のような卓球です。飛び跳ねてガンガンやります。フラフラになるまで汗びっしょりになりますが、若手3人は交代じゃないと体力が持たなくて、ぜいぜい言いながらヘトヘトになっています。私は1人で、後半になればなるほど勢いを増してくる(会場笑)

「まあ、まだまだ元気だな」と。ここで引退してしまったら暇を持て余すなと思いましたし、ソフトバンクの成長に私自身がもう少し役立てるんじゃないかと考えました。そこで、この50カ年計画を修正して、70代、もうあと10年か15年は頑張るぞ、ということになりました。

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)にて、19歳で立てた「人生50ヵ年計画」を「60ヵ年計画」に修正し、70代まで現役続行することを宣言する孫正義氏。スライド上の「50」と「60代:次の世代に事業を継承する」にバツ印が引かれ、新たに「70代:ASIを実現する」という挑戦目標が追加されたプレゼン画面

もちろん、ちゃんと健康であと10年過ごせればという前提付きですけれども、今のところ海外出張も毎月二、三回こなしながら、非常に元気にやっています。

その70代で何をやるか。冒頭から申し上げているように、「ASI(超知性)」を、とことんやり抜くということであります。

やる以上は世界で一番じゃないと気が済まないというのが私の性格ですから、日本では圧倒的一番、そして世界でも、少なくともこのASIの領域において、われわれが取り組む内容については世界一を目指すということであります。

1枚のチップが変える、20万年の人類史

これまで現生人類(ホモ・サピエンス)は、地球上に現れてから約20万年の間、進化を続けてきました。ほかの生命体や動物に対して、人類がこの地球上で最も優れた、最も高度な知的能力を持ち、知的労働を行ってきたわけです。

しかし、これまでの人類の進化における「上限」や「制約」とは何だったのか。それは、われわれの脳の知能そのものと、そこからアクションを起こす実行力でした。これが他の動物に比べて一番優れていたものの、それ自体が人類の進化の上限でもあったのです。

これが今、AIと融合し、人類がASIを最大限に活用することによって、超知性がゆえに人間の知能が一気に拡張される時代が来ます。さらに、その知能に「フィジカルAI」という実行力を組み合わせることで、あらゆるものが一気に進化していきます。

先ほど申し上げたように、私は16年前に「新30年ビジョン」を掲げました。ですから、私がAIや超知性、あるいはロボットについて語っているのは、今に始まったことではないのです。

19歳のときに人生50カ年計画を立てましたが、それよりもさらに2年前、17歳のときに、私は初めてマイクロコンピューターのチップの写真を見ました。そのとき、自分の生涯の姿を想像して、涙を流したのです。

孫正義が17歳でみたマイクロコンピューター写真

「人類は、ついに自らの知能を超えるものを生み出したかもしれない」と、そのチップの写真を見て涙しました。まさにその未来が、いよいよ今、目の前で起こりつつあるということです。

この新30年ビジョンも、ちょうど30年のうちの16年目ですから、折り返し点を過ぎたわけです。ここでもう一回振り返ってみたいと思いますが、当時私は「脳型コンピューターが生まれる」と言いました。人間の脳のように働く、自ら考えるコンピューターが生まれるんだと。それが、今まさに現実のものとなりました。

そして、この脳型コンピューターがロボットにつながり、ロボットは超知性を持つ。これによって、これまで人間が「危険だ」「きつい」「退屈だ」と感じていた仕事を、すべてAIの頭脳を持ったロボットが進化させて代行していくようになります。

つまり、新30年ビジョンで謳ったのは二つです。一つはこの超知性の「ASI」、もう一つは、この超知性を身に付けたロボットである「フィジカルAI」です。

超知性が実現する「1人が千人分の仕事をする」世界

まず最初に、この超知性ASIについてです。

このASIがどんどん進化していくと、単に質問に応えるためのAIではなく、「自らが自律的に働くAI」になります。

例えば、1人の人間が千人分の仕事を同時に行えるようになる。これまでホワイトカラーがやっていたような作業を、あっという間に、より深く、より早く、より正確に成し遂げる「スーパーホワイトカラー」が誕生するということであります。

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)にて、ASI(超知性)による「1人×1,000人分 人間能力の拡張」のスライドを背に解説する孫正義氏。ホワイトカラーが従事していた作業をAIが深く高速に成し遂げることで、1人が千人分の仕事を同時にこなす「スーパーホワイトカラー」が誕生する未来像

私自身も、1年間に千件くらい特許を出願したりするほど、新しいものを発明したり考えたりするのが好きなのですが、最近は新しいアイデアを思いついたときに、AIと一緒に詳細な図面を何度もやりとりしながら設計図を書き込んでいく、というような作業をしています。

単に計算をするだけでなく、一緒に考えて、想像して、事業計画を練る、といったことができるようになっているのです。

家庭で言えば、お子さまや、お孫さまに対して、1人の子どもに1人の先生、あるいは10人の専門分野の先生がAIの力で直接寄り添い、個人の進度に合わせた教育をすることも可能になります。エンジニアや研究者に対しても、それぞれの専門分野の超知性が相棒として寄り添うようになります。

医療の現場でも同じです。一人一人の患者の病状は異なり、毎日刻々と変わっていきます。「お医者さんに詳しく聞きたくても先生が忙しそうにしている」、あるいは「先生の専門知識を超えている」というようなときでも、一人一人の患者に寄り添う形で、超知性のドクターが一緒に治療を助け、相談に乗ってくれるような状況が生まれます。

ただ、AIによってどれだけ進化しても、人間を完全に置き換えるべきではありません。

やはり人間は人間とつながって、お互いに人の幸せを願うべきです。AIは人間を置き換えることはできませんが、人間を進化させることができる「道具」であり、「同僚」であり、「相棒」。そう私は思います。

現実世界を変革する「フィジカルAI」の衝撃

新30年ビジョンのもう一つのメインテーマ、それは「フィジカルAI」です。この超知性を身に付けたロボットが体を持つことで、24時間、自律的にさまざまな作業を行うようになります。

工場では、ロボットとロボットがお互いに言葉を交わしながら、協力し合って黙々と製品を作っていく。あるいは宇宙、災害現場、海の中といった、人間が行くには危険で人命が危ういような場所でも、ロボットが代わりに救助や作業をやってくれるようになります。

また、工事現場や農家でも、現在の日本は高齢化社会ですから、人手不足や労働力不足があちこてで深刻化しています。「跡を継いでくれる若者がなかなか来てくれない」というような深刻な社会課題に対しても、このスーパーロボット、スーパーAIが解決の道を開いていきます。

このように、AIはものすごい勢いで進化しています。私自身も「寝ている暇がない」というくらい楽しくてしょうがないのですが、この進化の波の中で、われわれは一体何ができるのか。

われわれには四つの大きな領域の「輪」があります。

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)の大画面スクリーンに映し出された、ASI(超知性)時代における「No.1 ASIプラットフォーマーへ」の戦略図。AIモデル(OpenAI)、半導体(arm)、AIインフラ、ロボットの4つの領域すべてにおいて、世界一の提供者およびロボットカンパニーを目指す事業基盤の全体像

1.AIモデル(AIの知能に関する領域)
2.AIチップ(AIの計算処理を担う領域)
3.AIインフラ(電力やデータセンターを支える領域)
4.ロボティクス(それらを活用したフィジカルAIの領域)

この四つの領域全てにおいて、われわれは世界一の提供者、世界一のロボットカンパニーを目指したいと考えています。

オセロの「四隅」を押さえ、世界一へ

AIのモデルについて言えば、OpenAIは新たな知能として、この3年間でグッと進化してきました。

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)にて、OpenAIの進化ロードマップを提示する孫正義氏。チャット(GPT-3)、画像生成(DALL-E)、動画生成(Sora)、コーディング(Codex)を経て、「GPT-5.5-Cyber」によるサイバーセキュリティーの新領域へ拡大していくAI知能の進化プロセスを示すスライド画面

チャットでの会話から画像生成、そして動画、プログラミング、コーディング、最近ではサイバーセキュリティーと、続々と機能を進化させ、これから超知性に向かってさらにものすごい勢いで進化していきます。サム・アルトマンたちと話すと、本当にワクワクするような、ものすごい進化のプログラムを計画しています。

次に半導体です。半導体の雄であるNVIDIAは、3年前は一般の人は名前すらほとんど知らない会社でしたが、今やGoogle、Apple、Amazon、Microsoftを全部ぶち抜いて、時価総額が世界一になりました。

NVIDIAが得意とするのは、会話や画像、動画を生成する「生成AI」の部分です。もともとグラフィックのために開発されたGPUを世界で一番得意としているのがNVIDIAであり、この3年間の「第1段階」の進化において、一番の活躍の場がありました。

しかし、いよいよ今年から、AIは「第2段階」へと突入しました。

この第2段階では、画像や会話の生成よりも、1個1個のAIエージェントが自ら考えてアクションを起こすようになります。自発的に考えて24時間働き続ける、これが第2段階の「エージェンティックAI」です。ここでは、グラフィックのためのGPUよりも、CPUがより中心的な役割を果たします。

「設計図屋」から「チップ屋」へ進化するArm

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)にて、半導体戦略を解説する孫正義氏。画像や動画を生成する「生成AI」の第1段階を牽引したNVIDIA(GPU)と、自ら自律的に考えて24時間働く「エージェンティックAI」の第2段階で主役となるArm(CPU)の対比および役割転換を示すスライド画面

このCPUの設計で圧倒的世界一なのがアーム(Arm)です。Armはすでに上場しましたが、いまだにSBGが90%弱の株式を保有しています。つまり、株主の皆様の会社、皆さまと一緒に持っている会社です。このArmが、これから世界一のチップの役割を果たしていきます。

まず第1段階として、これまでArmは図面の設計図だけを作ってチップメーカーに渡していましたが、今回初めて、設計図だけでなく、チップそのものをArmブランドで作って自らの製品として発売していくことを、数カ月前に発表しました。

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)にて、アーム(Arm)史上初となる「AGI CPUチップ」の自社ブランド展開を発表する孫正義氏。「低電力消費 × 演算処理能力」を最大の強みとし、従来の図面設計ビジネスからチップ製造販売へと進化を遂げた新製品のビジュアルスライド

ここ数カ月で時価総額や株価がバンバン急激に上がり始めたのは、これからのAIはCPU中心の時代が来るということ、高度な推論を行うエージェンティックAIの時代が来るということ、そしてArmが「図面屋さん」から「チップ屋さん」に進化しているという、こうした理由からです。

これによって時価総額は70兆円規模になり、日本でいうトヨタや、ソフトバンク、キオクシアをも超えていきましたが、これからまだまだ、私は10倍以上伸びるというふうに信じています。

原発10基分、世界最大の「AI工場」を日米欧で構築

そして、このArmやNVIDIAのチップが大量にサーバーとして組み上げられ、機能する場所がデータセンターです。データセンターは非常に複雑なパイプラインが入っており、大変な高熱を持ちますので、それをリキッドクーリング(液冷)で冷却します。複雑な配線が全て行き渡った、いわば「AI工場」のような存在です。

このデータセンターは圧倒的な量の電気を消費します。そこで、われわれの90%子会社であるソフトバンクエナジーを中心に、1箇所で10ギガワット(GW)、つまり原発10基分に相当する世界最大級のAIインフラプロジェクトを、米国オハイオ州で米国エネルギー省、米国商務省との官民連携で発表し、起工式を行いました。

2026年3月20日に行われた米国オハイオ州での10ギガワット(原発10基分相当)データセンター起工式。ソフトバンクグループ子会社のソフトバンクエナジーが、米国エネルギー省長官および米国商務省長官との官民連携による世界最大級のAIインフラプロジェクトとして推進する共同事業の現地写真

私の両側にはエネルギー庁の長官と、日本でいう経産省にあたる商務省の長官という2人の大臣が並び、アメリカ政府とわれわれの共同事業として、圧倒的世界最大のデータセンターを作ります。

またヨーロッパでも電力が不足していますが、フランスのマクロン大統領とも、今月6月1日に原発5基分のデータセンターを作ることを発表しました。これもヨーロッパで圧倒的最大の規模となります。これが3番目の「AIインフラ」です。

2026年6月1日に発表された、ソフトバンクグループによるフランスでの5ギガワット(原発5基分相当)データセンター建設プロジェクト。マクロン大統領と笑顔で握手を交わす孫正義氏の公式写真であり、電力不足に直面するヨーロッパにおいて圧倒的最大規模を誇るAIインフラ事業の契機を示す

世界2位のABB買収。圧倒的No.1のAIロボット企業へ

4番目はロボティクスです。ソフトバンクはそれぞれの分野で世界一の専門ロボット会社を、SBGとして黙々と数十社集め続けました。

10年前に作った『ペッパー(Pepper)』もあり、最近は店先でうなだれている姿を見かけたりもしますが(会場笑)、実はそこから粛々と準備を続けていたのです。

最近では、世界で2番目に大きな産業用ロボットメーカーであるABBのロボティクス事業を買収することでも合意しました。従来的なロボットで世界2位の事業を一気にグループに迎え、圧倒的世界No.1のAIロボットカンパニーにしたいと考えています。

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)にて、世界第2位の産業用ロボットメーカーであるABBのロボティクス事業買収合意に伴い提示された、ABB社の最先端ロボットアームの展示写真。ASI(超知性)を身に付けたロボットを体現する「フィジカルAI」領域で圧倒的世界No.1を目指す同社の強固な意志を示す

このように、ASIの時代が来る中で、四つの領域で世界圧倒的No.1の提供者になりたいと考えています。

私は結構オセロが得意なのですが、オセロの技というのは、序盤戦でいくら真ん中をいろいろ取ってもあまり意味がないんですね。中盤戦で四隅の角をどう押さえて、一気に中の石をひっくり返すか。

われわれは、新しい超知性の時代、新しい文明の時代が来る中で、この「四隅」を軍戦略で網羅的に押さえていきたい。しかも、やるからには世界一になりたいということであります。

SBGの株は実質「1万3,000円」の価値がある

去年の今頃、株主総会の頃に比べれば、少しはソフトバンクの株価も上がっています。しかし、株主の多くの皆さまは半信半疑だと思うのです。「今日は信じられるけれど、明日はちょっと不安だな」と、株価の動きに一喜一憂することが多いのではないでしょうか。

特にバイオ株のように上がったり下が下がったりが激しいですし、決算書を見ても何のことかさっぱり分からないと、専門家ですら言います。皆さまが半信半疑になる気持ちはよく分かります。

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)にて、「半信半疑」と大きく書かれたスライドを背に株主の心情を代弁する孫正義氏。複雑な決算書や激しい株価変動に一喜一憂する投資家の心理に理解を示しつつ、これから実質的な株主価値(NAV)の真実や圧倒的な確信について証明していくプレゼンテーションの場面

しかし、私は違います。迷信ではなく、確信を持って信じ抜いております。

ちょっと考えてみていただきたいのです。SBGは戦略的持ち株会社であり、グループ傘下にたくさんの事業会社を持っています。

SBG自身が直接事業を行うというよりは、それぞれ専門の事業会社が担っており、100%保有している場合もあれば、90%あまりを保有しているソフトバンクエナジー、あるいは国内の通信会社など、いろいろな形があります。

このわれわれの時価総額よりも、われわれが持っているArmの価値、これだけでグループ全体の時価総額より大きいのです。
Armの時価総額のうち、われわれの持ち分(90%弱)だけで約55兆円になります。これは直近の株価に基づいた、紛れもない事実です。

借金はわずか1割。「何が怖いんだ」

さらに、OpenAIへの投資、ソフトバンクの国内通信事業、PayPay、ヤフー(LINEヤフー)、LINE、その他にも一般にはあまり知られていないTikTokの親会社であるバイトダンスの株なども保有しています。これらを全て足し合わせ、そこから純有利子負債を差し引きます。

「ソフトバンクは借り入れが多い」とよく言われますが、保有している株式価値に対して、今日現在では11%か12%程度、つまり1割ちょっとの借り入れがあるに過ぎません。何が怖いんだ、ということです。

われわれは通常時、LTV(純負債/保有株式価値)を25%以内にコントロールするという財務方針を堅持していますが、現在はそれを大幅に下回っています。

現在の株価(6,500円)の「倍の資産」がある

その1割程度の借り入れを差し引いて、純粋に残っているわれわれの株主価値、すなわちネットアセットバリュー(NAV)は、現在74兆円あります。

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年6月24日開催)にて、株主価値の構造をグラフで解説する孫正義氏。時価総額37兆円に対し、保有するアーム(arm)の株式価値だけで55兆円、純有利子負債を差し引いた実質的な株主価値(NAV)は74兆円(すべて2026年6月23日時点)に達し、現在の株価の約倍に相当する資産を保有していることを示すスライド画面

つまり、われわれの時価総額の約倍の価値の株を、われわれは保有しているのです。大半の会社はすでに上場しており、毎日市場で値段がついています。今日の相場で時価評価されている資産を、ソフトバンクの株式時価総額に対して倍も持っているということなのです。

言い換えれば、皆さまが今持っているソフトバンクの株価が、昨日の終値ベースで6,500円程度だとします。1株当たりの値段が6,500円であるのに対して、われわれが保有しているArmの株、OpenAIの株、ソフトバンクジャパンの株などを全て足し、借金を差し引いた実質的な価値は、1株当たり1万3,000円分あるのです。

市場は、実質価値の「半分」しか見ていない

ですから、半信半疑というのはまさにこのことだと思います。皆さまの手の中にあるお財布の価値、そのお財布の中に入っているお金の価値の、半分しか市場は評価していないということになります。

しかし、ここにおられる株主の皆さまは、半信半疑というよりは、信じているからこそ今も株を持ってくださっているのだと思います。皆さま、実はもっと金持ちなのです。含み益を含めた実質的な価値は、皆さまが今見ている株価の倍はあるということです。

「でも、それは売るまでは現金じゃないから」と言われるかもしれません。では、ちょっとわれわれの歴史を振り返ってみましょう。

「金の卵」は3個から74個へ。ガチョウの価値の証明

16年前、新30年ビジョンを株主総会の場で語りました。その当時、われわれが持っている株の価値は5兆円でした。

その際、私は「ガチョウと金の卵」の話をしました。価値を分かりやすく数えるために、ここでは「金の卵1個 = 1兆円」と定義しましょう。

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)の大画面スクリーンに映し出された「16年前」の財務状況とガチョウの比喩。保有株式価値5兆円(金の卵5個分)から純有利子負債2兆円を差し引き、実質的な株主価値(NAV)が3兆円(金の卵3個分)だった当時の資産構造を説明する孫正義氏

16年前、持っている株の価値は5兆円分、つまり「金の卵5個分」でした。しかし、当時は借り入れが2兆円ありました。借金を差し引くと、株主の皆さまの実質的な価値であるネットアセットバリュー(NAV)、すなわち株主価値は3兆円、「卵3個分」だったのです。

当時、ソフトバンクの時価総額も3兆円でした。3兆円の時価総額に対して、借金を引いた実質的な株主価値も3兆円。ということは、当時の市場は「ガチョウの価値はゼロだ」と評価していたのです。

ガチョウは金の卵を産む存在であるにもかかわらず、持っている金の卵の価値だけがソフトバンクの時価総額と見なされ、ガチョウそのものの価値はゼロだと評価されていました。

しかし、皆さま考えてみてください。この16年間で金の卵は増えました。実質的な株主価値は3兆円から74兆円になったのです。つまり、金の卵の数は3個から74個に増えたわけです。

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)にて、「卵は卵を産まない 3 → 74 増加分=71個」と書かれた大画面スライドを背に語る孫正義氏。16年間で実質的な株主価値(NAV)を3兆円から74兆円へと拡大させ、金の卵(資産)を生み出し続ける投資会社・製造工場としてのガチョウ(SBG)の価値を証明するプレゼンテーション画面

卵は自ら卵を産みません。卵を産むのはガチョウです。増えた71個の卵は、ソフトバンクというガチョウが産み落としたものなのです。

時期 株式価値(卵の数) ネットアセットバリュー(NAV)
16年前 5兆円(5個) 3兆円(3個)
現在(2026年) 80数兆円 74兆円(74個)

卵の将来価値については、すでに現在の市場価格に織り込まれて値段がついています。しかし、卵が増えたのはガチョウのおかげです。それなのに、16年前はガチョウの価値がゼロだと評価されていました。

この16年間、私は「いや、ガチョウにこそ価値があるんだ」と言い続けてきましたが、それが歴史によって証明されたわけです。ガチョウの価値は、実は71個分(71兆円分)あったのではないか、ということです。

上場以来の歴史を振り返ってみると、上場したときの時価総額は2,000億円でした。その10年ほど前、私は資本金1,000万円だけでこの会社を始めました。当時はベンチャーキャピタルなんてありませんでしたから、1,000万円で始めた会社が2,000億円になって上場した。

そこから16年間で、まず15倍にまで増えました。ソフトバンクというガチョウが15倍に増え、価値を金の卵で表すと先ほどの例のように3個になった。しかし、そこからの16年間で、もう一回25倍になったのです。15倍になり、そこからさらに25倍になり、合計で約400倍になったということです。卵の数は74個になりました。Armもその一つです。

直近の15年間、たまたま増やしたわけではありません。それ以前の期間も含めて、一体何年間やり続ければ私は証明できるのかと。一体何年間増やし続けたら、皆さまが最後に「ガチョウも頑張ったね」と認めてくださるのか。ですから、皆さまが数えるべきは、今目に見えている金の卵の数だけではないと思うのです。

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)にて、「見るべきは卵ではない ガチョウそのもの(本当の価値=産み続ける力)」と書かれたスライドを背に横を向く孫正義氏。表面上の保有資産(金の卵)だけでなく、データセンターやロボットなど、まだ世に出ていない事業を内包する「卵を生み出す工場・ガチョウの力(SBG)」を見てほしいと40年間の実績を交えて語る場面

「ガチョウのお腹の中に、着々と準備されている卵。先ほどビデオで紹介したロボットや、AIのデータセンターなど、まだ世の中にデビューしていない準備中の卵が、ガチョウのお腹の中にたくさんいるのです」(孫さん)

ですから、目に見えている卵の数だけではなく、卵を生み続ける「ガチョウの力」を見ていただきたい。私はそれを40年間、証明し続けてきました。

ここに集まっておられる大半の方は、それを信じているからこそ来てくださっているのだと思います。世の中の人はまだ十分には信じていない。ということは、株主の皆さまにとっては、それこそがチャンスだということであります。

外せば「ペテンハゲ」。それでも千兆円を宣言する

過去を振り返って「ああ、よかったね」で終わるのでは意味がありません。「この先どうなんだろう?」という気持ち、そうです、あの「半信半疑」がまた皆さまの心の中に生まれるのではないかと思います。

新30年ビジョンの半分、ちょうど16年間が過ぎました。これまでの16年間で15倍、そしてそこからさらに25倍と、2回続けて拡大させてきました。ここから先、同じ16年間で、私はここで宣言します。

「千兆円」であります。

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)にて、将来の株主価値(NAV)目標として「1,000兆円」を宣言した孫正義氏のプレゼンテーションスライド。1994年の2,000億円から2010年の3兆円(16年で15倍)、2026年6月23日時点の74兆円(16年で25倍)という過去の実績推移を踏まえ、ここから先の16年間で約14倍となる1,000兆円への急激な成長曲線を描く予測図

皆さま、これは決して冗談や思いつきで言っているわけではありません。こうして公の場で宣言するというのは、経営者として結構勇気が要ることなのです。これが外れると、また世間から「ペテンハゲ」とか言われてしまいます(会場笑)。

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)にて、大画面スクリーンに映し出された自身の姿を背に、ユーモアを交えて語る孫正義氏。株主価値1,000兆円の宣言が決して冗談や思いつきではなく、外れれば非難を浴びるリスクを背負いながらも、言ったことは必ずやり遂げるという経営者としての覚悟を示す場面

でもね、皆さま。私には一つだけ、小さなプライドがあるのです。

創業以来、ソフトバンクは何十回と決算発表を行ってきましたが、世の中の多くの上場会社が発表するような「来期の利益予想」を、私はあえて数字で出してきませんでした。

なぜなら、われわれは投資会社であり、持ち株会社ですから、市場の状況によって株価は上がったり下がったりします。それなのに、確実ではない来年の数字を適当に言って外してしまったら、それこそペテン師と言われてしまうからです。

ですから、私は普段は言いません。ただ、私がたまに具体的な数字を口にしたときは、実は創業以来、一度もその目標を下回ったことがないのです。中期経営計画などで数字を出したときは、必ず達成してきました。

それは私の経営者としてのプライドであり、良心であり、意地です。「言ったことは必ずやり遂げる」という強い覚悟があるからこそ、今回この「千兆円」という数字を口にするのには、非常に大きな勇気が必要でした。

日本経済に足りないのは「大ボラ」

よく日本で「大ボラを吹く」と言いますよね。私は、この「大ボラ」というのは経営において非常に大事なことだと思うのです。

これを英語に直すと「ビッグビジョン(Big Vision)」、つまり中長期の明確なビジョンがあるということです。

先に見ている偉大な夢があって、その夢を、期限と数字でより具体的に、そしてイメージを鮮明に、まるで未来に行って見てきたかのように思い描く。まるで最初から分かっているかのように、すでに見えているかのように語る。これこそが、ビッグビジョンです。

日本の経済がこの30年間元気がなかったのは、日本の大企業の経営者に、この「ビッグビジョン」、すなわち「大ボラ」が足りなかったからではないかと、私は思うのです。

松下 幸之助さんも、本田 宗一郎さんも、盛田昭夫さんも、かつての偉大な創業者たちはみんなビッグビジョンを語り、それを実現してきました。それがいつの間にか、サラリーマン経営者が増えるような形で、大企業が守りに入ってしまった。

自分で言ってしまうのは、確かに勇気が要ります。自分がゼロから育てたという自信や責任があるからこそ言えるわけですが、私はあえて語りたい。「千兆円」です。

ソフトバンクGは、金の卵を育む「製造工場」

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)にて、SBGの本質を「金の卵の製造工場」として表現したスライドを提示する孫正義氏。ガチョウの内部構造が工場パイプラインのようになっており、次々と「ASI」と刻まれた金の卵が生産ラインから生み出されているビジュアルを通じて、投資会社としての育成力と価値創造の本質を説明する場面

先ほど申し上げたように、卵の数を3個から74個に増やす中で、卵が自ら卵を産んだわけではありません。ガチョウが卵を産んだのです。

このガチョウ、すなわちSBGの本質とは、実は「金の卵の製造工場」だったということです。

ガチョウとしての役割は、それぞれの事業会社が金の卵になるように、あるいは将来、金の卵になるだろうという芽を持った、まだ海のものとも山のものともつかないような会社に投資をし、われわれのグループに迎え入れて育むことです。

それを一生懸命に育成し、大きくして、金の卵に成長させて上場させていく。なぜ上場させるのかというと、それぞれの企業の経営陣が自ら主役となって、しっかりと舞台に立つべきだからです。

上場して舞台に立ち、毎日株主やアナリスト、ジャーナリストから厳しく評価され、時に批判をされながら、自らの会社のために一生懸命に頑張っていく。

われわれはそれを「群戦略」という形で、それぞれが孤立するのではなく、お互いに助け合ってシナジーを生み出し、共に大きくなっていけるように、ガチョウの親方としての役割を果たしているのです。

目に見える卵の価値(NAV)が74兆円であるのに対して、ガチョウそのものの価値、卵を生み出し続ける工場の価値が市場ではプラスアルファとして評価されていないのは、本来おかしいのです。

ガチョウが今からさらに卵を100個、数百個と増やしていくのであれば、本当のガチョウの価値は、今見えているものより遥かに大きいはずです。

「ガチョウの価値だけで900兆円だ」という話になれば、時価総額と合わせて千兆円という数字も見えてくる。もう今から私のことを「孫ガチョウ」と呼んでいただいてもいいくらいです(会場笑)

AIバブル論は、AIに対する冒涜

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)にて、「AIはバブルなのか?」と書かれたシャボン玉の背景スライドを背に表情を引き締める孫正義氏。半導体やAI関連株の急騰に対するバブル懸念に触れつつ、現在の状況は「AI革命が始まったばかり」であり、バブル論はテクノロジーの本質に対する冒涜であると反論する場面

しかし、皆さまの心の中には、「変に最近AIや半導体、メモリの株が看板になって、どんどん上がっているけれど、これはドットコムバブルのときのような、一時のバブルではないのか?」という一抹の不安があるかもしれません。

確かにインターネットの黎明期、ドットコムバブルのときは、株価が急激に上がって、そのあと急激に下がるといった激しい動きがありました。

しかし、その後の30年間を振り返ってみてください。当時バブルだと言われていたインターネットの世界から、時価総額で世界を牽引するトップ企業がバンバン誕生しました。

現在の状況と比べると、今はまだ「AI革命が始まったばかり」の段階です。始まったばかりのこの状況を捉えて「バブルだ」などと言うのは、AIというテクノロジーの本質を冒涜しています。AIの底力は、ここから一気に、地球規模で広がっていくのです。

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)にて、「AI革命はまだ始まったばかり」であると強調する孫正義氏。Amazon、Microsoft、Googleの創業期を引き合いに出し、現在のAIテクノロジーの過熱感をバブルと呼ぶことは本質を冒涜していると指摘。AIの底力が一気に世界へ広がる段階であり、今こそ投資の好機であることを主張するプレゼンテーションの姿

もし、皆さまがタイムマシンに乗って過去に戻れるとするなら、創業してまだ3年目以内だった当時のAmazonや、当時のMicrosoft、当時のGoogleの株をどうしますか? もう目をつぶって、全財産をはたいて買いまくりますよね。

まさに、現在のAIの世界は、実質的に始まってまだ3年目の状態と同じなのです。ここからあっという間に、想像を超える巨大な世界が広がっていきます。

ですから、私は先ほど「千兆円」という大ボラを吹きました。しかし、私は心の中で、これを決して大ボラだとは思っていません。この一気に大きくなっていくAI、超知性の世界において、世界一の四隅の角を絶対に取りに行く。

そのような偉大な夢を語っている人は、少なくとも現在の日本には1人もいません。アメリカを広く見渡しても、どこか1箇所の角をピンポイントで取りに行っている企業はありますが、四隅を網羅的に、群戦略で一気に取りに行おうとしているのはわれわれだけです。

これほどのチャンスを目の前にして、私が今引退してしまうわけにはいかないのです。

父の最後の言葉と、AIにかける私の原点

実は2年半前に父を亡くしました。壮絶な最期でした。肺がんになって、骨や肝臓など体中にがんが転移し、本当にきつい状況で毎日を過ごしていました。

亡くなったその日のちょうど2時間くらい前、もう意識も朦朧としてしゃべれない状態でした。目をつぶって、うなり続けている。その状況で、最後の最後に親父がですね、私と弟の泰蔵(孫 泰蔵氏)の2人を呼びました。大声でずっと叫び、泣きながら叫びたくなるような状態で、何てしゃべったか。

ガッと目を見開いて、こう言ったのです。

「虎は死して皮を残す、人は死して名を残す」

それが親父の最後の言葉でした。もう全身が震えました。弟と一緒に泣き叫びました。

それからこの2年半、私はしょっちゅう「親父はあの時、本当は何が言いたかったのだろうか。最後の力を振り絞って、何を伝えたかったのだろうか」と考えていました。

何百万、何億の人々を幸せにする人に

第46回ソフトバンクグループ定時株主総会(2026年)のプレゼンテーションの終盤、自身の経営原点を語る孫正義氏。5歳や6歳の頃に父親の膝の上で「お金のためではなく、何百万、何億の人を幸せにするために生きるんだ」と諭された言葉を回想し、SBGが推進するAI革命やASI(超知性)開発はすべて「人々を幸せにするため」であると伝える姿

子どものとき、5歳や6歳のときからの記憶が鮮明にあります。親父が仕事をして帰ってきて、酔っ払っておじさんたちと楽しく食事をして、お酒を飲んでいるとき、私はいつも親父に抱きかかえられて、膝の上に乗せられました。親父はいつもこう言ってくれたのです。

「正義、お前は天才だ。だから生きていくのに、ただ金を稼ぐようなことはするな。金のための人生じゃない。人を幸せにするために、何百万、何億の人を幸せにするために、お前は生きるんだぞ」

金の卵だとか、時価総額だとか、そういう小さな話ではありません。金のためではない、やはり「人々」なのです。100万、1億、全ての人々に幸せになってもらいたい。

何のためのAIか、何のためのテクノロジーか。それは、人を幸せにするためにこの技術を開発し、人々に幸せになってもらいたい、それだけなのです。

AI革命を行う、情報革命を行う。ロボットが人をいじめるのではありません。人を助けるAIが病気から救ってくれ、AIが子どもたちを教育してくれる。AIがわれわれ人々に笑顔をもたらす。そのためのソフトバンクです。

本日は私の熱が入ってしまい、予定時間を少しオーバーしてしまいましたが、私の「千兆円」に懸ける思い、ガチョウの真の力は十分に伝わったのではないかと思います。

本当はあと5時間くらいは平気で喋れますが(会場笑)、これにて終了とさせていただきます。これからもしっかりと事業を通じて結果を証明し、来年の株主総会で、さらに大きく成長したガチョウの姿を皆さまにご報告できればと思います。本日はお越しいただき、本当にありがとうございました。

【質疑応答】

質問1:Arm以外の主要事業の成長見通しはいかがでしょうか。

孫:これは先ほどのプレゼンテーションでも申し上げた通りです。AIのインフラ、AIのモデル、そしてロボティクス(フィジカルAI)。この三つの領域が一気にこれから成長していきます。Armがその中心となり、これらの領域を牽引しながら伸びていきます。

質問2:データセンター事業のROI(投資利益率)や、収益見通しの確保はどうなっていますか。

孫:データセンターについては先ほどお伝えしたように、米国オハイオ州でダントツ世界最大となる、原発10基分に相当する規模のプロジェクトが動いています。周辺も含めて非常に規模が大きく、収益も相当に見込まれます。

現在、大手顧客との間でMOU(覚書)を交わしているところであり、これが間もなく正式契約になります。大変大きな利益が確定できる見通しが立っておりますので、ぜひ楽しみにしていてください。

このオハイオだけでも、ものすごい利益が出ます。まさに金の卵がザーザーと産まれてくるほどの規模ですが、並行してテキサス州など複数の場所でも同時に準備を進めています。さらにフランスもありますし、いずれは日本でももっと拡張していきます。ガチョウのお腹の中でどーんと準備中ですので、ものすごい利益が出ます。ぜひ楽しみにしていただきたい。

質問3:インテル(Intel)に出資した狙いを教えてください。

孫:はい。約半年ほど前にインテルに投資し、約3,000億円を入れました。投資した直後は、世間や専門家から「なんでインテルなんかに投資するのか」と言われたものです。

しかし、この半年ほどで、この3,000億円がすでに5倍から6倍になっています。時価ベースでいえば、すでに兆円単位の利益が出ているのです。

なぜ投資したのか。これまで世界の半導体ファウンドリ(製造受託メーカー)は、TSMCが圧倒的なナンバーワンで、2番手がインテル、3番手が韓国のサムスン電子という状況でした。インテルは2番手とはいえ、1位のTSMCとの間にはものすごい差が開いていました。

しかし、これからのナショナルセキュリティー(国家安全保障)の観点、そして現在の台湾を取り巻く国際情勢などを考えると、米国政府としてはアメリカ国内に製造基盤を持つインテルを絶対に育てないわけにはいかないのです。

そこでわれわれは、「Armと一緒にやりましょう」ということも視野に入れながら、3,000億円を投資しました。直近のニュースでも、インテルがNVIDIAやAppleといったそうそうたる企業と製造契約を交わした(あるいは交わす予定である)ということが出始めており、状況は急激に変わってきました。

質問4:フィジカルAIの使い道について質問です。プレゼンでは既存の仕事を置き換えるイメージでしたが、フィジカルAIロボットが「ロボット自体を自ら作る」とか、「AIデータセンター自体を建築する」といった、自己増殖的な考えはありますか?

孫:はい、あります。これはまだ公式発表していないので言うべきか悩むところですが……実はすでに、ある工場で、われわれのフィジカルAIロボットが「ロボットの量産」を開始しています。

今日言うつもりはなかったのですが、聞かれたので(笑)。おそらく世界で初めて、AIがAI(ロボット)の量産を開始している状況です。もうじき正式に色々と発表できると思います。そのときは、おそらく皆さま驚かれると思います。やります。

質問5:SBGが世界No.1を目指す上で、真のライバルはどこになりますか?

孫:われわれのライバルは、当然皆さまの想像がつく通り、現在の世界の時価総額トップ10に名を連ねるような、圧倒的な力を持つ巨大テック企業たちです。彼らもあらゆる角度からAIに全力でアプローチしています。

彼らに比べれば、現在のSBGの時価総額はまだはるかに小さい。しかしそれは、逆に見れば「伸びしろが一番大きい」ということでもあります。

彼らは強力なライバルですが、同時に重要なパートナーでもあります。われわれはオセロの四隅を押さえていますから、最後にバタバタバタと石をひっくり返す、あの快感を必ず形にしたいと思っています。

質問6:ArmのCPUにおける強みについて教えてください。NVIDIA、インテル、AMDなどの競合がいる中で、Armが圧倒的に勝てる理由は何でしょうか?

孫:非常によくご存知ですね。Armの最大の強みは「電力あたりの計算能力(電力効率)」が圧倒的に高いことです。

野球に例えるなら、AI進化の「第1回戦」は、会話や画像を生成するグラフィック(GPU)の領域であり、ここはNVIDIAの独壇場でした。しかし、今年から始まった「第2回戦」は、AIが自律的に考えて24時間働き続ける「エージェンティックAI」の時代です。ここではCPUがより中心的な役割を果たします。CPUの領域であれば、世界一のArmがこれから必ず勝つと確信しています。

同じCPU市場におけるインテルやAMDの技術は、パフォーマンスを出すために電気をもの凄く消費します。現在、世界中のデータセンターで「電力不足」が最大のボトルネックになっていますが、ArmのCPUは彼らに比べて2倍効率がいい。つまり、同じ計算をするのに電気が半分で済むのです。

データセンターの電気が足りない時代だからこそ、インテル・AMDの時代から、Arm圧倒的勝利の時代へとシフトします。3.4兆円で買収したArmが、現在すでに70兆円規模の価値になり、当時「バカな買収だ」と叩かれた私への評価も変わりました。しかし、私が頭の中で見ている「50手先」のうち、まだ今は10手目くらいです。Armは進めば進むほど勝つ。

せっかくですので、今日参加しているArmのCEOのレネ・ハースからも一言どうぞ。

レネ・ハース(Arm CEO):孫社長がほとんど言ってくださったので付け加えることはありませんが、エージェンティックAIの時代へと移行するにつれ、必要とされる計算資源(コンピュート)は爆発的に増加します。

AIエージェントが生成・処理する膨大な「トークン」の処理は、CPUにしか行えません。そしてその膨大な処理を行うためには、世界で最も電力効率(省電力)に優れたCPU、すなわちArmの技術が必要不可欠になります。私たちはこれからの成長に非常に強い自信を持っています。

質問7:日本の企業がASIの世界でトップを獲る姿を見たいです。ただ、脳の領域を担うOpenAIについて、先日のアンソロピック(Anthropic)の機能規制のように、米国政府から利用制限などのリスクを課される懸念はありませんか?

孫:アンソロピックの一部の機能にサイバーアタックのリスク(攻撃性)が見つかり、一時的に機能制限がかかるようなことは技術的なルール作りとしてあり得ます。

しかし、米国政府がOpenAIやGoogle、アンソロピックといったAIの利用を全面的に禁止するようなことは絶対にありません。なぜなら、アメリカが全面禁止すれば、規制のない中国が一気にAI領域で独走し、アメリカは国として完全に負けてしまうからです。

米中、そして各テック企業が激しく切磋琢磨していく中で、AIが暴走しないための「交通ルール(規制)」が整備されていくのは健全なことです。ルールを守っている限り、サービスが使えなくなるリスクは極めて低いと考えています。

質問8:AIインフラについてです。米国やフランスで大規模な投資を発表されましたが、日本国内のデータセンター構築において、電力確保がボトルネックになると思います。東京電力のグループ化、あるいは提携といったパートナーシップについてどのようにお考えですか?

孫:東京電力さんの次のオーナー候補として、われわれの国内通信子会社である「ソフトバンク株式会社」が今、正式に名乗りを上げています。 何社かの候補の中で、重要な候補として今も残っております。

もしこれが実現できれば、日本国内にAIデータセンターをどんどん建設したいと考えています。そうしないと、日本は世界から完全に遅れてしまいます。

現在の日本は、許認可を申請するだけで6年もかかるようながんじがらめの規制だらけで、電力も足りません。もし東京電力さんがわれわれのグループに加われば、電力を抜本的に増やし、最先端のAIデータセンターを日本に一気に持ってきて、日本のAI革命を私たちが力強く牽引できると考えています。

質問9:PaaS(Platform as a Service)やフィジカルAIを含めた、今後のAIサービスの収益見通しについて教えてください。

孫:先週、米国で「PaaS」に関する新たな最先端サービスを発表しました。

現在のAIモデル(超知性)は、悪用されれば高度なサイバーアタックを自動で仕掛けることも可能になってしまっています。守るためには、まず攻撃側の技術を知り尽くす必要があります。われわれはそれらを防ぎ、日本のインフラや企業を守るためのサイバーセキュリティーサービスを開発し、これから米国をはじめグローバルに提供していきます。

これはインフラを守る「使命」としての事業ですが、インターネット上の「セコム」や「ALSOK」のような役割を担うわけですから、膨大な計算資源とともに、非常に健全で大きな収益を上げられるビジネスになると考えています。

質問10:「スターゲート計画」の規模拡大はありますか?

孫:あります。スターゲート計画は、われわれとOpenAI、そしてオラクルなどが共同で、OpenAIのための超巨大なAI計算基盤(データセンター)を構築していく設備投資計画です。これは予定通り、あるいは予定以上に前倒しで、より大きな規模で現在建設を進めています。

ソフトバンクにとっては、OpenAIだけでなく、AIデータセンターを渇望している世界中のハイパースケーラー(巨大テック企業)が何社も顧客として控えています。彼らの需要に合わせ、続々と最先端のデータセンターを提供し、われわれのインフラ事業として莫大な規模へ拡大させていきます。

編集/玉城智子(編集部)

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