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「触ってみないと、分かるわけがない!」異業種からメタバースへダイブしたさわえみかの「まずは自分でやってみる」ポリシー

働き方

世を賑わす新しいテクノロジーに興味をそそられつつ、「自分で触る余裕はない」「仕事にできるイメージが湧かない」と、遠巻きに眺めてしまう人もいるのでは?

そんな人たちに「面白そうな技術を触らない選択肢なんてない」と喝を入れるのが、VRイベントの開催やVR開発エンジンの提供を行う株式会社HIKKYで取締役COO 兼 クリエイティブ責任者CQOを務めるさわえみかさんだ。

さわえさんのキャリアのスタートは、ヘアメイクアーティスト。

異なる業界からVRの世界に転身した理由を「面白そうだったから」と何でもないことのように語る。

そんな彼女のキャリア選択のポリシーとは?

プロフィール画像

株式会社HIKKY
取締役COO 兼 クリエイティブ責任者CQO
さわえみかさん

大阪モード学園ヘアメイク学科卒業。ヘアメイクアーティストとして活躍した後、イラストレーターに転向。ファッションイラストなどを手掛け、2017年末からメタバース空間での活動を開始。18年より株式会社HIKKYの立ち上げに携わり、現職

「明日東京来ない?」の電話で夜行バスに乗り、大阪から飛び出した

――現在はVR空間で大半を過ごしている、というさわえさんですが、キャリアのスタートは全く別の業界だったとか?

そうなんですよ。専門学校を卒業して最初に就いたのはヘアメイクの仕事でした。

私は絵を描くのが好きだったんですけど、「それって仕事になるの?」って思って。当時はソーシャルゲームもなく世の中の仕事をよく知らなかったので、美術の先生くらいしか思い浮かばなかったんですよね(笑)

いろいろ考えてみた結果、キャンバスの上に描くのも、顔の上に描くのも同じようなものじゃない? っていう軽い気持ちで、ヘアメイクを学ぶことにしたんです。

大阪でヘアメイクの師匠につきながら、ブライダルや広告の仕事をしていました。盛髪全盛期のキャバ嬢の方のヘアセットなんかもやっていたんですよ。

一般の方のヘアメイクも楽しかったのですが、MVやテレビなど、モデルさんに触れるキラキラした世界にもあこがれて。しかしそういった現場はやはり東京中心。

当時は大阪に住んでいたのですが、東京の有名なヘアメイクアーティストに「弟子入りしたい」と履歴書を送り続けました。

そうしたら、ある日突然「明日の朝、都内で撮影があるけど来れる?」と電話があって。「行きます!」と即答して、その日の夜行バスで東京へ行きました。

その時は寝泊まりする場所があるかどうかなんて何も考えていなかった。完全に勢いだけでしたね。

さわえみかさん

ーーそこからどのようにして、現在のお仕事をするに至ったのでしょうか?

東京でメイクアップアーティストとして独立した後、CMの絵コンテを描く仕事も同時に請けるようになりました。

とあるテレビCMの現場で、プロデューサーが「さわえちゃん、絵が得意なら絵コンテ描いてよ!」と声をかけてもらったんです。

次第にヘアメイクよりも絵の方をほめられることが多くなっていって。「やっぱり私、絵を描く方が向いているのかも」と感じて、思い切ってイラストレーターに転向しました。

ゲームが好きだったので、イラストレーターとしての目標はゲームのキービジュアルを描くことでした。

でも、私より絵が上手な人はいくらでもいるから、依頼を待っているだけじゃいつまでたってもかなわない。「だったら自分でゲームをつくるしかないでしょ!」と恩師に言われて、それもそうだなと思ったんですよね。そこで、一枚のイラストを描くイラストレーターという仕事から、世界観を作っていくアートディレクターという立場に徐々にシフトして、スマホゲームなどの制作に携わるようになりました。

ゲームをつくるのには、とても時間とお金がかかる。つくった後はプロモーションを行うんですが、開発よりも短い期間に、多額の広告費を使うことも多いです。

アサインされたタレントさんも、全員がゲームに詳しいわけではない。リリース前のタイトルなのでそれは仕方がないことなのですが、ゲームの良さを存分に伝える方法は他にもあるんじゃないかと考えていました。

そんな時、個人がVRでキャラクターを動かしている動画を見て、「ゲームの宣伝を、ゲームの中のキャラクターがやっちゃえば面白いんじゃないか!?」と思ったんです。

当時のプロデューサーにお願いして、予算をちょっと分けてもらって、ゲームのキャラクターやプロデューサーたちを3Dモデル化して、現実で撮影したCMのパロディを作りました。それがすごくバズったんですよ。

VRがきっかけでたくさんの方に出会い、仲間もできた。みんなワクワクしながら新しい技術を開拓していってる人たちで、私もたくさん学ばせてもらいました!

「これからはバーチャルでもさまざまなものを作っていけるようにしたい!」と、もともとやっていた制作チームから独立した形で新チームを立ち上げたのが、HIKKYです。

さわえみかさん

「面白い」と思えるものと出会ったら、とにかく自分が手を動かす

――VRに関する知識はどうやって身に付けたんですか?

基本的には独学です。当時は「VR 入り方」などのキーワードでとにかく調べまくりました。ゲームのCMをVRでつくろうと思った時も、とりあえずヘッドセットを買ってみて、SteamVRをインストールして……と、まずは触ってみることから始めました。

ヘッドセットで3点トラッキングして、VRの世界に入ることはできたのですが、オリジナルアバターをアップロードしたり、VR上での撮影は調べただけではやりたいレベルのことまではできなかった。

明確に「私にはできない」というラインが分かったところで、Twitterで力を貸してくれる仲間を探しました。

――なかなか体当たりですね。

何事も、まずは自分で触ってみることを大切にしてるんです。そうすれば、自分にできること、できないことと、人に頼むべきことが明確になりますからね。

HIKKYでは2018年から毎年『バーチャルマーケット』というVRイベントを開催しているのですが、これも「こんなことやってみよう!」というメンバーが集まってできたものです。

私も、自分にできるビジュアル面で関わってますが、「やってみたい」と思ったことを開拓し続けている同じ志のチームメンバーの姿にワクワクしました!

イベントには絶対開催しないといけない期日があります。制作も、開発も、HPの公開などプロモーションに至っても期日だらけです。とりあえずそこまでに何とかする! 出す! これをずっと繰り返しています。

納期までに何が何でもアウトプットを出す!! これはヘアメイク時代からの共通点ですかね。

ヘアメイクって、たとえタレントさんが遅刻してきても、肌の調子が悪くても、時間までに絶対キレイに仕上げなくちゃならない。まあこれはどんな仕事でもあることだとは思いますが(笑)

さわえみかさん

もちろん、計画を立てて失敗しないようにしてから始めた方が、完成度は上がるかもしれない。でも、それってどれくらい時間がかかるの? とも思うんです。夢を語っているだけじゃ、いつまでも何も生まれないじゃないですか。

やりたいことがあるなら、まずは締め切りを決めて、そこまでに何らかのアウトプットをする。最初は7割のアウトプットだっていいと思っています。

一回やってみれば流れがつかめるし、失敗したとしても、「次はここの部分は人に頼もう」というラインが見えてくる。最初から人に頼んでしまうと、うまくいかない理由や相場も分からないですからね。

メタバースを、もっと多くの人がアクセスしやすい空間へ

――メタバース技術の習得は、ハードルが高く感じませんでしたか?

ハードルを感じる前にまず触ります! というのも、私の知識ってめちゃくちゃ「広くて浅い」んですよ(笑)。UnitiyやBlenderは初心者程度には触れますが、それを専門に仕事ができるほどじゃない。

昔は何でも自分でやろうと意気込んでいたこともありますが、人には得意不得意があります。例えば私がものすごく時間をかけてモデリングをしても、プロのモデラーの方が短期間でクオリティーの高い3Dモデルを仕上げられると思います。

やりたいレベルでモノを作るとき、自分がやるべきか、他の人に頼むべきか判断できることが重要です。ただ、基本的な知識はあるので、問題が起きたとき、原因がどこにあってどうすれば解決できるかくらいは何となく分かる。

COOの立場として「この状況はマズい」「これなら大丈夫」を判断するだけの知識は持っておきたいですから。「この人にここを聞けばこれは解決できる」というのを把握しておくことも重要ですね。

――知識を付けることへの前向きさを感じるさわえさんですが、最近はどんな技術を勉強しているんですか?

昨年くらいからNFTを使って作品をつくるクリエイターが周りに増えてきたので、ブロックチェーンの技術をどうメタバースの生活に落としこんでいけるか、を勉強しています。

最初はYouTubeなどを見て勉強してたのですが、そのチャンネル運営者の方が新プロジェクトのメンバー募集をしていて。Daoに入るチケットのNFTの購入が応募条件だったので、やり方を調べてウォレットをつくり、はじめてNFTを買いました。

さわえみかさん

――行動力がすごいですね。

やっぱり、何事も「自分でやってみる」ことが大事だと思うんです。

触れてないのに「こうするべきだ」「それじゃだめだ」って話をしてくる人、たまにいますよね。

VR界隈でも、メタバース空間に入ったこともないのに「メタバースってこう」って語る人は少なくない。正直、心の中で「なんやねん!」って思ってます(笑)

――さわえさんがキャリア選択をする上で大切にしていた軸は何でしょうか?

自分が「面白そう」だと思えてそれを「面白いよね」と言い合える人が身近にいる場所に身を置いてきた結果、いつの間にかここにたどり着いていたという感覚です。

ただ、「面白い」と思っていたことも、時間が経つと新鮮味が薄れて、退屈になってしまうことがある。だからいつも「何か面白そうなことはないかな」と探しています。

最近はAIに触れているのですが、メタバースとの組み合わせで面白いものをつくろうと模索しています。

――さわえさんが魅了されるメタバースの魅力とは、一体どこにあるのでしょうか?

メタバースという空間は、私にとって人と気軽に出会える場所。仕事でも、VRChat上で初めて会って、アバターの状態で挨拶して……なんてことが日常です。

プライベートでは1歳と3歳の子どもがいるので、夜は子どもを寝かしつけたらもうクタクタ。すっぴんだし、出掛ける気力はないですが、メタバース空間なら気軽に行けて、そこでまた新しい人と出会える。子育て中もインプットが減らなかったのは、メタバースのおかげといっても過言ではないですね。

ただ、私のよくいるメタバース空間に入るには、ゲーミングパソコンなどある程度整った環境が必要。その環境がない人にはまだまだ「遠い国」のような話に聞こえてしまう。

なので、もっと簡単にアクセスでき、遊べるメタバースを作れる『Vket Cloud(ブイケットクラウド)』というものを今開発しています。

それを使って、今まで環境がなくメタバースに来れなかった人も、クリエイティブで評価がを受けられたり稼ぐことができたら、メタバースにどんどん面白いものが増えて、楽しくなりますよね!

ワクワクし続けられる世界を作っていって、おばあちゃんになってもアバターでも楽しく過ごしていける世界をつくりたいです!

取材・文/古屋 江美子 編集/秋元 祐香里(編集部)

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