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AIで案件が減った?「正社員に戻るしかない」と焦るフリーランスエンジニアに澤円が問うこと

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澤円の「モヤモヤ言語化ラボ」

元・日本マイクロソフト業務執行役員であり、“プレゼンの神”こと、澤円さんが、エンジニア読者のモヤモヤや気になるニュースを、分かりやすく“言語化”。「どう考えたらいいか分からない」を「そう考えればいいのか」に変える、頭と心の整理の場です。あなたが前に進むためのヒントを一緒に見つけていきましょう。

皆さんこんにちは、澤です。

今回の相談者さんは、「AIが仕事を奪う」という雰囲気を肌で感じているようです。

相談内容

数年前に会社員を辞め、フリーランスのエンジニアとして独立しました。

自由な働き方とそれなりの収入を得られて満足していたのですが、ここ最近の「AI台頭」で少し風向きが変わったと感じています。

これまでは問題なく獲得できていた案件が減った印象で、単価の下落圧力も強まっているように感じています。

このままフリーランスで粘るべきか、それともプライドを捨てて正社員に戻るべきか。企業から(AIではなく)「あなたに頼みたい」と言われる存在になるには、何をインプット、あるいは変えていく必要がありますか。

これはあちこちで聞かれるようになっているお話ですね。

特に、フリーランスで働いておられる方々が、なんとなく仕事が減ってきていることを感じていたり、価格交渉が難しいと感じたりしているという声がSNSなどにも上がっています。

ちょっとここで背景を整理していきたいと思います。

腕に自信のあるエンジニアの方が、一定の条件がそろった段階でフリーランスになるのは、一つの成功パターンにもなっていました。

組織に属していると「仕事のための仕事」をする機会も多く、エンジニアとしての仕事に割り当てる時間を最大化できないことにストレスを感じていた方が、自由を求めてフリーランスの道を選んでいました。

屋外でノートPCを開き、プログラミングをするエンジニア。組織に属して「仕事のための仕事」に時間を割くことへのストレスから、エンジニアとしての仕事に集中できる自由な働き方を求め、フリーランスを選ぶ人が増えてきた背景を示す

エンジニアが身に着けてきたスキルは、非エンジニアには一朝一夕で得ることはできません。

そして、世の中はDXという旗印のもとに、あらゆるところでエンジニアの活躍の場がありました。

しかし、2022年11月のChatGPTの登場に象徴されるように、生成AIが一気に世の中に広がっていき、エンジニアを取り巻く環境は一気に変化しました。

最初は「プロンプトエンジニア」が「稼げる仕事」としてもてはやされていましたが、生成AIの機能向上によって、あっという間にすたれてしまいましたね。

そして、Claude CodeやCodex、Gemini CLIなどの登場でプログラミングのあり方が根本的に変化を遂げ、エンジニアたちはふるまいのアップデートを突きつけられました。

ということで、多くのフリーランスのエンジニアはちょっとした危機感を持っているのではないでしょうか。

ここで相談者さんの言葉をピックアップして考えていきます。

「AIで案件が減った」は本当?

「これまでは問題なく獲得できていた案件が減った印象で、単価の下落圧力も強まっているように感じています」

ここがまだフワッとしていますね。

漠然とした不安を持ってはいるものの、その正体がつかみ切れていない。
ということで、現状を解像度高く把握しておくことを強くお勧めします。

「減った印象」ではなく、数値で増減を測る。
「単価の下落圧力」は具体的にどのようなものなのか。

これを明確にしなくては、次の一手が打てません。どの案件が取りにくくなり、どの案件は安定的に取れているのかを分析すれば、「まだニーズのある案件」を知ることができますよね。

フリーランスであれば、言うまでもなく仕事を取ることも仕事のうち。どんな仕事がマーケットにあるのかアンテナを張っておくことは死活問題です。

そのためにも、まずは手元の案件の種類をしっかり精査する必要があるでしょう。

そんなときにもAIは頼れる相棒になってくれるはずです。自分のやってる仕事の仕分けをAIと一緒に考えてみましょう。

クライアントとの秘密保持契約を順守するというベースラインは説明不要の話として、自分だけで責任のとれるデータはどんどんAIと共有し、今後伸びていきそうな領域の仕事を定義してみましょう。

そして、キャリアの選択肢についても考えます。

正社員に戻るのは「負け」なのか?

「このままフリーランスで粘るべきか、それともプライドを捨てて正社員に戻るべきか」

ここはひとつ厳しいツッコミを。

「プライドを捨てた結果が正社員になること」と考えている人を雇いたい経営者は、ボクの知る限りいるとは思えません。

この思考は、会社員であることを侮辱しすぎでは?と思いますね。

フリーランスで働いていれば、お金を稼ぐ大変さは身にしみてわかっているはずです。

経営者は、「会社という器を使って社会に貢献し、売り上げの中から社員に給料を払う」という、とんでもない重責を負っているのです。

「自分の生活のためにプライド捨てて入りますわ」って考えの人に、お給料を払いたくなるでしょうか?

そして、このような考えを持った状態でいざ転職活動をしたらどうなるでしょうか?

ボクが面接官だったとして、本音をそのまま話されたら、採用する可能性はゼロです。

もしかしたら、うまーく嘘をつきとおせば面談は通るかもしれませんが、今度は入ってからがしんどそうです。

ということで、正社員になることも選択肢にするのであれば、ここはしっかり考えを改めた方が、いい結果を手に入れやすくなるでしょう。

「あなたに頼みたい」はどうつくる?

そして最後に。

「企業から(AIではなく)「あなたに頼みたい」と言われる存在になるには、何をインプット、あるいは変えていく必要がありますか」

声がかかる人がやっていることは、インプットではなくアウトプットです。これは、前回の記事でもその大事さについて触れさせてもらいました。

連休を「無駄に過ごした」と落ち込むエンジニアへ。澤円が教える、自己嫌悪を解きほぐす“テキトーなアウトプット”のススメ
連休を「無駄に過ごした」と落ち込むエンジニアへ。澤円が教える、自己嫌悪を解きほぐす“テキトーなアウトプット”のススメ

とにかく、どんどんアウトプットして知ってもらうことが大事。SNSが登場してからというもの、誰もがアウトプットを簡単にできるようになりました。この手段を使わない手はありません。

そして、エンジニア界隈の中にはSNSを使って仕事をしまくっている人が、本当にたくさんおられます。

「今さらやっても遅いのでは」なんて尻込みする必要は一切ありません。とにかく、自分の考えを発信して自分の存在を世に知らしめましょう。

言うまでもないことですが、バズり狙いで誰かを攻撃したり、いたずら動画をアップしたりするのはやめましょう。仕事が逃げていきますので(笑)

技術的な気づき、学びをどんどん発信していくのがよいのではないでしょうか。

多くの人を前にマイクを持って発信する登壇者。AI時代にフリーランスエンジニアが「あなたに頼みたい」と声をかけられる存在になるには、インプットだけでなく、技術的な気づきや学びをSNSやイベントなどで継続的にアウトプットすることが重要だと澤円氏は語る

GitHubやQiitaは、エンジニア界隈にとっては居心地のいいプラットフォームですが、フリーランスとしてチャンスを広げていきたいのであれば、XやLinkedInを活用するのがよいでしょう。

Xはとにかく広範囲にリーチできますし、LinkedInは仕事への距離が近い。また、リアルイベントにもどんどん行って、コミュニティに参加しましょう。

ご自身の得意な技術領域のイベントなどに行って、仲間を作るのは生存戦略として重要です。

生成AI時代、「他人とうまくやっていく」は必須条件になります。めちゃくちゃ社交的であったり、プレゼンテーションが上手だったりする必要はありません。

大事なことは「相手のことを考える」という姿勢です。会話の時、相手の話をどれだけ聞けるか、相手に興味を持てるか。これが大事になっていきます。

これからの「デキる」エンジニアは「自分の知っていることを伝える」に加えて、「相手の求めていることを聞き出す」さらには「相手の気づいていない課題を言語化する」も併せて必要になっていきます。

これは深堀りしがいがあるテーマなので、また別の記事でも触れていきたいですね。

この時代、フリーランスとして不安な気持ちをもつのは、ある意味当然です。とはいえ、まだまだ世の中にエンジニアは必要です。前を向いて進んで行きましょう!


澤円 書籍 The Giver 人を動かす方程式
The Giver 人を動かす方程式(文藝春秋)

AI時代のできる人は、Giver(=与える人)である

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株式会社圓窓 代表取締役
澤 円(@madoka510)

立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、日本マイクロソフトに転職、2020年8月に退職し、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。武蔵野大学専任教員。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。 著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界No.1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」』(プレジデント社)/『「疑う」から始める。これからの時代を生き抜く思考・行動の源泉』(アスコム社)/『「やめる」という選択』(日経BP社) Voicyチャンネル:澤円の深夜の福音ラジオ オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム

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