アイキャッチ

「振り返るだけでは成長しない」そーだいが毎日繰り返す自己ハックの習慣

NEW!  スキル

新しい技術の習得、難易度の高いプロフェッショナルな仕事への挑戦、失敗からの学びと改善。

どれも成長に欠かせない要素だと分かっていても、それを継続するのは容易ではない。年齢や立場を重ねるごとに職場での責任は重くなり、家庭やプライベートとの両立を考えると、時間や体力のリソースは限られていく。

エンジニアとしての市場価値と守備範囲をいかに拡張し続けるか。その取捨選択はどのようにすれば良いのだろうか。

警察官からエンジニアへと転身し、社内SE、受託開発、独立、CTO、プレイヤー、そして再びCTO兼COOへと立場を変えながら、データベースやインフラ、組織設計、事業経営へと領域を広げてきた曽根壮大(そーだい)さんの話から、「自己ハック」の戦略を探った。

プロフィール画像

合同会社 Have Fun Tech 代表社員
株式会社リンケージ CTO兼COO
曽根壮大さん|そーだい(@soudai1025)

数々の業務システム、Webサービスなどの開発・運用を担当し、2017年に株式会社はてなでサービス監視サービス「Mackerel」のCRE(Customer Reliability Engineer)、株式会社オミカレの副社長/CTOなどを経て、合同会社 Have Fun Techを起業。その後、リンケージのCTOとしてジョインし、HaveFunTechの経営と二足の草鞋を履きこなしている。コミュニティでは、Microsoft MVPをはじめ、日本PostgreSQLユーザ会の理事として勉強会の開催を担当し、各地で登壇している。 builderscon 2017、YAPC::Kansaiなどのイベントでベストスピーカーを受賞し、分かりやすく実践的な内容のトークに定評がある。 他に、岡山Python勉強会を主催し、オープンラボ備後にも所属。著書『失敗から学ぶRDBの正しい歩き方』(技術評論社)

キャリアは「自分を攻略」し続けるゲーム

警察官、社内SE、独立、そして事業会社のCTO兼COOへ。そーだいさんの歩みは、大胆で自由奔放なキャリアチェンジの連続に見える。

事実、本人も「10年後のために目標を決めて積み上げるタイプではなく、目の前のことにベストを尽くすタイプ」だと語る。しかし、現在はCTO兼COOとして数年先の事業成長を見据える立場だ。

短期的集中と中長期的な戦略形成は、いかに両立しているのか。

「もともと問題解決とか設計とか、『攻略法を考えること』が好きなんです。格闘ゲームでも将棋でも、目の前の一戦に勝つことだけでなく、10戦後、20戦後にどう勝利を収めるかという戦略を練り、それを自ら実行することが面白い。

将棋でもビジネスでも、一局ごとの戦術は相手の出方によって変化しますよね。この手法で勝てるなら継続し、通用しないなら即座に次の一手を出す。100回試行すれば相手の傾向が見えるので、目の前の最適解を打ち続けながら、得られたデータをもとに戦略を修正していく感覚です」

目の前の一手を積み重ねながら、結果を見て戦略を修正していく。その思想の原点は、エンジニア以前に経験した警察官時代にあるという。

「警察組織では、3〜5年単位の治安維持に関する計画を立てます。治安はいきなり良くも悪くもならないので、毎日やるべきことをしっかり積み重ねていく。そこで、ゴール(目的)を見失わずに、その時点でベストな一手を打ち続ける重要性を学びました」

あらかじめ用意された正解へ直線で進むのではない。状況に応じて自らの「攻略法」を更新し続けることこそが、そーだいさんのキャリア形成の本質だ。

複数人で会議しているイメージカット

意思決定しないと視座は上がらない

エンジニアとして経験を重ねる中で「もっと視座を高めよ」と求められる場面は多い。しかし、思考力を意識だけで向上させることは困難だ。

そーだいさんは、視座を高める唯一のトリガーは「意思決定の経験」にあると断言する。

「責任のある立場で意思決定を行わない限り、視座は上がりません。例えば『明日の晩ご飯』を決めるのは簡単だけど、『予算内で1週間分、さらに1カ月分の献立を管理する』となれば、前回の反省を活かした計画性が必要ですよね。

仕事も同じ。1週間、1カ月というワンスプリントの範囲で、自らが責任を持って意思決定を下す。その積み重ねで、視座が少しずつ上がっていくんです」

重要なのは、タスクの範囲を広げることではなく、「自ら考え、決定し、その結果を引き受ける」プロセスそのものだ。そーだいさん自身、解きたい課題のスケールに伴って自らの決定権限の範囲を拡張してきた。

「個人的にはCTOになるメリットはあまりないと思うのですが(笑)、一つ挙げるとしたら、決定できる裁量の大きさです。人事権や組織文化、事業の方向性など、現場の立場だけでは根本解決できない構造的課題が存在するからです」

例えば、一緒に働きたい人がいても、一エンジニアの立場では採用を決められない。新しい技術に投資したくても、予算を動かせなければ実現できない。解きたい問題が大きくなるほど、それに必要な裁量も大きくなる。

「僕の場合は、解きたい問題があって、それを解決するためにCTOになる必要があったという感覚ですね。

解きたい課題が大きくなるにつれ、必要な裁量も増す。コードを書くことと事業経営は一見異なりますが、『具体的な問題を抽象化し、構造を比較しながら解決策を導く』という本質的なプロセスは同じなんです」

「悩む・決める・振り返る」日報でのPDCAの仕組み化

ただし、単に意思決定を繰り返すだけで、判断の精度が高まるわけではない。そのためには「振り返りとネクストアクションの設定」が不可欠となる。

「学習と成長には三つのフェーズがあります。第一に『悩む』、第二に『決める』、そして第三に『振り返る』ことです。

多くの人は『決める』止まり、または『振り返る“だけ”』で終わってしまいます。ですが、振り返った上で『次に何をするか』を決めるところまでをセットで運用して初めてレベルが上がっていきます」

このループを日常生活に組み込むため、そーだいさんが長年実践しているのが「GitHubを用いた毎日の日報と週次レビュー」だ。

「その日にやったことを書いて、次の日に『昨日やって分かったこと』を書くんです。そこから今日のToDoをつくって、何かチャレンジしてみる。それがうまくいったのか、失敗したのか、そもそもやれなかったのかを、また次の日に振り返る。そうやってサイクルを回しています。

さらに、1週間分の記録をまとめて見返すことも大事です。『今週は分かったことが少ないな』と思ったら、振り返りがちゃんとできていないのか、新しいことにチャレンジしていないのかもしれない。そうやって見直してますね」

PCで作業する男性のイメージ

キャパシティは有限。「やらないこと」を決めよ

極めてストイックな習慣に見えるが、原動力は忍耐や意志の強さではなく、純粋な「学習欲」だという。

「『成長したい』という強い欲求よりも、『知らなかったことが理解できるようになるプロセス』そのものが面白いんです。分からないことが見つかったら、『学べるチャンスが来た』と思うんです。

もちろん、成長しないよりした方がいい。でも、成長自体が目的というより、学習欲を満たしていたら自然と成長していったという感覚ですね」

好きではないことを頑張り続けるのは難しい。だから、何なら自然と続けられるのかを見つける必要がある。そーだいさんの場合は、「学ぶ」ことや「問題を解決する」ことがそれだった。

本を読むことや新しい技術を学ぶことだけでなく、飲み会ですらそーだいさんにとっては新しい知識や視点を得る機会になるという。

では、自分が本当に好きなことはどう見つければいいのか。そーだいさんが意識しているのが、「何をするのが好きか」を名詞ではなく動詞で考えることだ。

「継続の鍵は、自分が何に対してポジティブな感情を抱くかという『自己ハック』。例えば『料理が好き』という場合、好きなのは料理(名詞)ではなく『作る(動詞)こと』かもしれない。その場合、プラモデルを作るのも楽しいかもしれませんよね。

自分が価値を感じる『動詞』を特定し、その動詞を仕事の領域に適用していくことが、モチベーションを維持するコツです」

ただし、どれほど意欲があっても1日は24時間。利用可能なリソースには上限がある。だからこそ、「何をするか」と同等以上に「何を手放すか」が重要になる。

「僕が手放したのは『アニメを見ること』です。もともとオタクなので、見始めたら無限に時間を使っちゃうから。面白いのは分かっているので、老後の楽しみに取っておこうと思ってます」

限られた時間を何に使いたいかを考えた結果、本を読むことやコードを書くことを優先しているそーだいさん。手放すものを決める判断基準の一つは、「今しかできないかどうか」だ。

「時間を使うということは、その分、別の何かをやらないということです。子育ては今しかできないから手放さないけど、アニメは後からでも見られるから今は見ない。そのトレードオフは意識して決めています。

一日のToDoも、全部できない日の方が多くないですか? だから自分のキャパシティを知って、収まらないものの中から何を諦めるかを決めていく感じですね」

優先順位に悩む男性のイメージ

行動の精度を高めるのは年齢ではなく「試行回数」

あらゆる戦略や計画も、実行に移されなければ評価の対象となり得ない。そーだいさんにとって、失敗とはネガティブなイベントではなく、「選択肢が一つ削られたというデータ」に過ぎない。

「失敗は『うまくいかない手法が特定できた』という学びです。勝つまで試行を止めなければ、途中の失敗は負けにならない。

例えば、僕が毎年のように参加している競技プログラミングイベント『ISUCON』でも、望む結果が出なければ『来年頑張る』ではなく、今月・来月のスケジュールに具体的なトレーニング日を埋め込みます。精神論ではなく、即座に行動へ落とし込むことが重要ですね」

どれだけ考えても、実際に行動しなければ結果は出ないし、振り返る材料も得られない。次の一手をより良くするためにも、まずは一度やってみる必要がある。

だからこそ、これから成長していきたいエンジニアに何を勧めるかと尋ねると、そーだいさんの答えはシンプルだった。

「Just do it.(とにかくやってみる)、これに尽きます。それぞれの年代に適した挑戦がありますが、20代でやっていなければ、30代でも急にはできませんから」

無計画な突撃ではなく、悩み、決め、振り返り、修正して次の一手を打つ。この検証サイクルを回すことの重要性が、そーだいさんがいう「Just do it.」には込められている。

打席に立った経験の積み重ねこそが、自らのキャリアをハックしていく唯一の道なのだろう。

文・編集/今中康達(編集部)

エンジニアtypeが提供する「12種類のキャラタイプで分かる!エンジニアタイプ診断」へ誘導するバナー。コードの深淵を覗く「技術探求タイプ」など、ITエンジニアが自身の志向性や強みを客観的に自己分析し、キャリアパスや適した働き方を発見できるインタラクティブなWeb診断コンテンツへの導線を示す

Xをフォローしよう

この記事をシェア

RELATED関連記事

JOB BOARD編集部オススメ求人特集

RANKING人気記事ランキング





サイトマップ