事情通・久松剛が読み解く!
エンジニア転職の「勝ち筋」「どの会社を選ぶべきか」「今、動くべきか待つべきか」エンジニアの転職は、情報の読み方ひとつで結果が大きく変わります。本連載では話題の採用ニュースや業界動向を題材に、エンジニア組織と転職市場の“裏側”を熟知する久松 剛さんが、転職時に意識しておきたいポイントを独自の考察をもとに解説します。
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事情通・久松剛が読み解く!
エンジニア転職の「勝ち筋」「どの会社を選ぶべきか」「今、動くべきか待つべきか」エンジニアの転職は、情報の読み方ひとつで結果が大きく変わります。本連載では話題の採用ニュースや業界動向を題材に、エンジニア組織と転職市場の“裏側”を熟知する久松 剛さんが、転職時に意識しておきたいポイントを独自の考察をもとに解説します。
転職フェアと聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。
気になる企業のブースを回り、会社説明を聞いて、良さそうならそのまま選考へ進む。そんな「応募先を探す場所」というイメージを持つ人が多いかもしれません。
しかし先日、久しぶりに転職フェアへ足を運んでみて、私は少し違うことを考えました。
特に気になったのが、SESから別のSESへ、仕事内容も待遇もそれほど変わらないまま転職しようとしている人たちです。
もちろん、今の会社に不満があるなら環境を変えること自体に意味はあります。ただ、案件を変えれば仕事内容が変わる可能性もあるし、単価交渉ができる場合もある。それなのに、なぜわざわざ会社まで変えて、似たような環境へ「スライド転職」するのでしょうか。
せっかく多種多様な企業が一堂に会する転職フェアに来ているのに、知っている企業や今と似た会社だけを見て帰ってしまう。それではあまりにもったいない。
むしろ転職フェアの価値は、これまで自分が考えていなかった会社や仕事と偶然出会い、自分のキャリアの選択肢を広げることにあります。
今回は、十数年ぶりに転職フェアを歩いてみて改めて感じた、「転職フェアの使い方」についてお話しします。
博士(慶應SFC、IT)
合同会社エンジニアリングマネージメント社長
久松 剛さん(@makaibito)
2000年より慶應義塾大学村井純教授に師事。動画転送、P2Pなどの基礎研究や受託開発に取り組みつつ大学教員を目指す。12年に予算都合で高学歴ワーキングプアとなり、ネットマーケティングに入社し、Omiai SRE・リクルーター・情シス部長などを担当。18年レバレジーズ入社。開発部長、レバテック技術顧問としてキャリアアドバイザー・エージェント教育を担当する。20年、受託開発企業に参画。22年2月より独立。レンタルEMとして日系大手企業、自社サービス、SIer、スタートアップ、人材系事業会社といった複数企業の採用・組織づくり・制度づくりなどに関わる傍ら、ITエンジニアや学生からのキャリア相談を受け付けている
以前、私がある会社で採用に携わっていた頃、事業会社側の開発組織と、SES事業の両方で採用面接を担当していたことがあります。その中で意外といたのが、「将来的には事業会社で働きたいけれど、いきなり行くのは怖い。まずSESに転職して、慣れてから事業会社へ移りたい」という人です。
私は当時から、「なんでワンバンするんだろう?」と思っていました。
もちろん、今の自分では希望する企業に届かないから、必要な経験を積むために別の会社を挟む。そんな戦略的な転職なら分かります。でも、目的が曖昧なまま「とりあえず今とは違う会社へ」と転職すると、結局似たような仕事、似たような待遇、似たような環境へ移るだけになりがちです。
また最近は「社内SEになりたい」という相談もよく聞きます。ですが、そもそもなぜ社内SEなのでしょうか。
客先常駐をやめたいのか。年収を上げたいのか。働き方を変えたいのか。事業に近いところで仕事をしたいのか。そこが整理されていなければ、「今とは違いそう」というだけで次の会社を選ぶことになります。
転職で重要なのは、会社を変えることそのものではありません。今回の転職で、自分は何を変えたいのか。まずはそこを、それなりにでも言語化しておく必要があります。
では、「今回の転職で何を変えたいのか」が見えてきたら、その条件に合う企業だけを効率よく探せばいいのでしょうか。
私は、それもちょっと違うと思っています。なぜなら、自分で考えた転職軸が、本当に自分にとって最適とは限らないからです。
例えば「次もインフラエンジニア」「SESから別のSESへ」と、今までの経験の延長線上だけで求人を探していると、それ以外の選択肢はそもそも目に入りません。自分では「これが現実的だ」と思っていても、別の職種や会社の話を聞いて初めて、「こっちの働き方の方が自分には合っているかもしれない」と気付くことがあります。
その意味で、転職フェアの大きなメリットの一つが偶発的な出会いです。
今の転職活動は非常に効率化されています。求人サイトでは希望条件に近い求人が表示され、スカウトではこれまでの経歴をもとに声が掛かる。人材紹介でも、経験や希望にマッチしやすい求人が提案されます。便利な一方で、選択肢が「これまでの自分」や「すでに考えている希望条件」の延長線上に寄りやすい。
一方、転職フェアでは、多種多様な企業が同じ空間に並んでいます。知らなかった会社の社員から声を掛けられたり、たまたま目に入ったブースで話を聞いたりする。そこで初めて、自分では検索しなかった仕事やキャリアの可能性を知ることができます。
例えば、もともとは「社内SE」を候補にしていた人が、別の企業の話を聞く中で「自分が欲しかったのは社内SEという肩書きではなく、ユーザーとの距離が近い環境だった」と気付くこともあるでしょう。
逆に、興味があると思っていた仕事も、実際に社員の話を聞くと「これは違う」と分かるかもしれません。そうした「想定外との比較」があるから、自分の希望条件の解像度が上がります。
大事なのは、単に知らない会社をたくさん知ることではありません。思ってもみなかった選択肢と比べることで、「自分は本当は何を変えたいのか」が見えてくることです。それが、スライド転職から抜け出すきっかけになります。
では、実際に転職フェアの会場ではどう動けばいいのでしょうか。ここからは、十数年ぶりに私が転職フェアを歩いて感じたおすすめの「活用法」を紹介します。
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編集/今中康達(編集部)
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